マイヒーロー
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
輝くシャンデリアの下、流れる優雅な音楽に合わせて踊る煌びやかな男女。
その光景だけで何だか胸がいっぱいになってしまう。
でも、それ以上に私の胸をときめかせるのは…
「ナマエ、手を」
「エルトシャン様…はい」
私に手を差し出してくれたのはエルトシャン様。
この日の舞踏祭に合わせて見繕われた衣装は本当によく似合っている。
彼以外にも、シグルド様やキュアン様も特別な衣装を着られているけれど…
正直、エルトシャン様が一番輝いていてカッコいい。
ディアドラ様やエスリン様にとって一緒に踊っている彼が一番であるように、私にとってもそれは同じだ。
「さっきからぼーっとしているようだが、平気か?」
突然そう聞かれた事により意識が戻る。
私の顔を見るエルトシャン様の顔はどこか心配そう…
「!すっすみません…!つい……」
「つい?」
言葉の先を促されてどうしようかと迷う。
本当の事なんて、いくら恋人同士だからといえど恥ずかしくて言える訳がない…
「あ…えと、その……」
「ふ…すまない、あまり聞くものではなかったな」
クスリと笑う彼に思わず驚いて顔をあげる。
もしかして…分かっちゃったのかな……?
「俺にとってもナマエが一番美しく見える。お前から視線を外すのが惜しい程に」
「!エルトシャン様…」
やっぱり何でもお見通しだった。
恥ずかしいし、照れるけど…それ以上に嬉しさが勝ってしまう。
だから自然と笑顔になるんだ。
そして一曲目が終わり、私達も一度踊りを止める。
「あ…エルトシャン様、次はラケシス王女と踊られては如何でしょうか?」
今日の準備をしている時、ラケシス王女はエルトシャン様と踊るのをとても楽しみにしていた。
もちろん私とエルトシャン様が踊るのを優先してくれていたけれど、彼女も彼と踊るべきだ。
「ラケシスと?それは構わないが…」
「私は向こうで少し休憩させていただきますので…どうかラケシス王女ともお踊りください」
「…分かった。では、また後で」
彼の腕から手を離す時、少しだけ名残惜しく感じたのは…きっと気のせいなんかじゃない。
そう感じるのは、離れる寂しさと……嫉妬の感情も入ってる。
ラケシス王女と踊って欲しいのは本当だ。
でも…こんなの、矛盾してる…
「はぁ…もっと大人にならないと…」
「ため息なんて君らしくないな」
横を向けば、シグルド様夫妻がこちらに歩いてきた。
彼らも休憩しにきたのかな。
「シグルド様、ディアドラ様…」
「舞踏祭、楽しめているかい?」
「はい、それはもちろん。ただ…」
無意識のうちにホールへと目が向いてしまう。
たくさんの男女の中でも迷わず見つけられる、愛おしい人の姿。
今は…私以外の女性がその目に映っているけれど……
「ふふ、大丈夫です。ナマエ様」
するとディアドラ様が優しく微笑んで私の手を取った。
「何も心配はいりません。エルトシャン様はいつだって貴女を見ています」
「ディアドラ様…」
どうしてみんな、私の考えている事が分かるんだろう。
顔に出やすいのかな。
だとしたら気を付けないと…
でも…今の彼女の言葉で、心がスッと落ち着くのが分かった。
「さて、私達は踊りに戻るとするよ」
「失礼致します」
ドレスの裾を持ち上げて会釈をすると、彼女はシグルド様とホールへ戻っていく。
あのお二人はお互い違う相手と踊っていたとしても、きっと嫉妬の感情は抱かないんだろうな。
それは強く信頼し合っているから。
目に映っているのが違う人でも、心の中ではいつだってお互いの姿しかいない。
ディアドラ様は…それを伝えたかったんだと思う。
「ナマエ」
いつの間にか二曲目が終わっていて、エルトシャン様が私の前に来てくれていた。
「エルトシャン様。もうよろしいのですか?」
「ああ。あいつの事だから暫くは一緒に踊るのかと思ったが、もう十分だからお前の元に戻ってやれと言われてな」
「ラケシス王女が…?」
彼女の方へと視線を向けると、今はもうフィンさんと一緒に踊っている。
私…本当に自分が恥ずかしい……
やっぱり一番大人になれてなくて、すごく子供みたいだ。
この短い間でそれを物凄く痛感出来たよ…
「…エルトシャン様、申し訳ありません」
私は唐突にエルトシャン様に謝罪をした。
そんな私に彼は当然戸惑う訳で。
「どうした?急に謝って…」
「私…少し、嫉妬していたんです。エルトシャン様がラケシス王女と踊られている事に…自分から勧めておいて、失礼なのは分かっています……」
余裕がない子供みたいな私が、本当に彼の隣に居てもいいのだろうか。
こんなにも高貴なお方、私にはもったいない。
分かってる…そんなのは分かっているけれど。
もう離れられないくらい、私は彼の事を……
「顔を上げてくれ、ナマエ」
そう言われると同時に私に影が落ちる。
反射的に顔を上げれば、今度は唇に温もりが落とされた。
軽く触れるだけのものだったけれど、とても長く感じたんだ。
「そうやって本音を言ってくれるのは、素直に嬉しい。お前は中々こういう事を言わないからな」
「そっそれは…」
「ナマエ、俺だって同じだ。お前が別の男と話しているのを見ると、気分が優れなくなる。だが、不安は一度も感じた事はない」
私の頬に手を添えて、優しく微笑んでくれる。
その美しさに目が離せる訳がなかった。
「俺を映す時の目と他の者を映す時の目が、全く違うものだというのを知っているからだ」
「あ…」
“エルトシャン様はいつだって貴女を見ています”
さっきのディアドラ様が言ってくれた言葉が頭に過る。
そっか…こういう事だったんだね……
私が気付いていない所を、彼はちゃんと分かってくれていたんだ。
「そう、ですね…私、もう大丈夫です」
そう言えば、エルトシャン様は微笑みを残したまま頷いてくれる。
そしてもう一度手を差し出してくれるんだ。
「さあ、まだまだこれからだ。今夜は踊り明かそう」
「ふふ…喜んで」
~end~
舞踏祭エルトシャン夢、如何でしたでしょうか?
初めて彼のイラストを見た時、あまりの格好良さに興奮しました笑
死の国衣装も大尊敬する先生が描いてくださって、エルトシャンのイラストはどれも素敵です( ˘ω˘ )
その光景だけで何だか胸がいっぱいになってしまう。
でも、それ以上に私の胸をときめかせるのは…
「ナマエ、手を」
「エルトシャン様…はい」
私に手を差し出してくれたのはエルトシャン様。
この日の舞踏祭に合わせて見繕われた衣装は本当によく似合っている。
彼以外にも、シグルド様やキュアン様も特別な衣装を着られているけれど…
正直、エルトシャン様が一番輝いていてカッコいい。
ディアドラ様やエスリン様にとって一緒に踊っている彼が一番であるように、私にとってもそれは同じだ。
「さっきからぼーっとしているようだが、平気か?」
突然そう聞かれた事により意識が戻る。
私の顔を見るエルトシャン様の顔はどこか心配そう…
「!すっすみません…!つい……」
「つい?」
言葉の先を促されてどうしようかと迷う。
本当の事なんて、いくら恋人同士だからといえど恥ずかしくて言える訳がない…
「あ…えと、その……」
「ふ…すまない、あまり聞くものではなかったな」
クスリと笑う彼に思わず驚いて顔をあげる。
もしかして…分かっちゃったのかな……?
「俺にとってもナマエが一番美しく見える。お前から視線を外すのが惜しい程に」
「!エルトシャン様…」
やっぱり何でもお見通しだった。
恥ずかしいし、照れるけど…それ以上に嬉しさが勝ってしまう。
だから自然と笑顔になるんだ。
そして一曲目が終わり、私達も一度踊りを止める。
「あ…エルトシャン様、次はラケシス王女と踊られては如何でしょうか?」
今日の準備をしている時、ラケシス王女はエルトシャン様と踊るのをとても楽しみにしていた。
もちろん私とエルトシャン様が踊るのを優先してくれていたけれど、彼女も彼と踊るべきだ。
「ラケシスと?それは構わないが…」
「私は向こうで少し休憩させていただきますので…どうかラケシス王女ともお踊りください」
「…分かった。では、また後で」
彼の腕から手を離す時、少しだけ名残惜しく感じたのは…きっと気のせいなんかじゃない。
そう感じるのは、離れる寂しさと……嫉妬の感情も入ってる。
ラケシス王女と踊って欲しいのは本当だ。
でも…こんなの、矛盾してる…
「はぁ…もっと大人にならないと…」
「ため息なんて君らしくないな」
横を向けば、シグルド様夫妻がこちらに歩いてきた。
彼らも休憩しにきたのかな。
「シグルド様、ディアドラ様…」
「舞踏祭、楽しめているかい?」
「はい、それはもちろん。ただ…」
無意識のうちにホールへと目が向いてしまう。
たくさんの男女の中でも迷わず見つけられる、愛おしい人の姿。
今は…私以外の女性がその目に映っているけれど……
「ふふ、大丈夫です。ナマエ様」
するとディアドラ様が優しく微笑んで私の手を取った。
「何も心配はいりません。エルトシャン様はいつだって貴女を見ています」
「ディアドラ様…」
どうしてみんな、私の考えている事が分かるんだろう。
顔に出やすいのかな。
だとしたら気を付けないと…
でも…今の彼女の言葉で、心がスッと落ち着くのが分かった。
「さて、私達は踊りに戻るとするよ」
「失礼致します」
ドレスの裾を持ち上げて会釈をすると、彼女はシグルド様とホールへ戻っていく。
あのお二人はお互い違う相手と踊っていたとしても、きっと嫉妬の感情は抱かないんだろうな。
それは強く信頼し合っているから。
目に映っているのが違う人でも、心の中ではいつだってお互いの姿しかいない。
ディアドラ様は…それを伝えたかったんだと思う。
「ナマエ」
いつの間にか二曲目が終わっていて、エルトシャン様が私の前に来てくれていた。
「エルトシャン様。もうよろしいのですか?」
「ああ。あいつの事だから暫くは一緒に踊るのかと思ったが、もう十分だからお前の元に戻ってやれと言われてな」
「ラケシス王女が…?」
彼女の方へと視線を向けると、今はもうフィンさんと一緒に踊っている。
私…本当に自分が恥ずかしい……
やっぱり一番大人になれてなくて、すごく子供みたいだ。
この短い間でそれを物凄く痛感出来たよ…
「…エルトシャン様、申し訳ありません」
私は唐突にエルトシャン様に謝罪をした。
そんな私に彼は当然戸惑う訳で。
「どうした?急に謝って…」
「私…少し、嫉妬していたんです。エルトシャン様がラケシス王女と踊られている事に…自分から勧めておいて、失礼なのは分かっています……」
余裕がない子供みたいな私が、本当に彼の隣に居てもいいのだろうか。
こんなにも高貴なお方、私にはもったいない。
分かってる…そんなのは分かっているけれど。
もう離れられないくらい、私は彼の事を……
「顔を上げてくれ、ナマエ」
そう言われると同時に私に影が落ちる。
反射的に顔を上げれば、今度は唇に温もりが落とされた。
軽く触れるだけのものだったけれど、とても長く感じたんだ。
「そうやって本音を言ってくれるのは、素直に嬉しい。お前は中々こういう事を言わないからな」
「そっそれは…」
「ナマエ、俺だって同じだ。お前が別の男と話しているのを見ると、気分が優れなくなる。だが、不安は一度も感じた事はない」
私の頬に手を添えて、優しく微笑んでくれる。
その美しさに目が離せる訳がなかった。
「俺を映す時の目と他の者を映す時の目が、全く違うものだというのを知っているからだ」
「あ…」
“エルトシャン様はいつだって貴女を見ています”
さっきのディアドラ様が言ってくれた言葉が頭に過る。
そっか…こういう事だったんだね……
私が気付いていない所を、彼はちゃんと分かってくれていたんだ。
「そう、ですね…私、もう大丈夫です」
そう言えば、エルトシャン様は微笑みを残したまま頷いてくれる。
そしてもう一度手を差し出してくれるんだ。
「さあ、まだまだこれからだ。今夜は踊り明かそう」
「ふふ…喜んで」
~end~
舞踏祭エルトシャン夢、如何でしたでしょうか?
初めて彼のイラストを見た時、あまりの格好良さに興奮しました笑
死の国衣装も大尊敬する先生が描いてくださって、エルトシャンのイラストはどれも素敵です( ˘ω˘ )
117/129ページ