マイヒーロー
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耳に届くのは穏やかな笛の音。
それに合わせて華麗に舞うのは美しい踊り子。
私は音楽堂でニニアンとニルスによる踊りを見ていた。
ニルスが笛で演奏し、ニニアンが踊りをする…
目の前の美しく幻想的な光景に思わず目を奪われてしまう。
瞬きをする事すら忘れてしまうくらいに。
そして演奏と共に踊りが終わり、二人がお辞儀をしたところで私は大きな拍手を送った。
「ニニアンの踊りとニルスの演奏、とても素敵だった!」
「ありがとうございます…」
「ナマエさんにそう言ってもらえると嬉しいよ!」
そう言って二人は笑顔を見せてくれる。
こうして見ると本当に姉弟なんだと実感するなぁ。
「そういえばニルス… ナマエ様に
お願いがあるんじゃない?」
ニニアンにそう言われるとニルスは“あっ!”と声を出して私の元に駆け寄ってきた。
?どうしたんだろう…
「あのね、ナマエさんに僕の演奏で踊ってもらいたいんだ」
突然のお願いに瞬きを数回繰り返す。
驚くのはもちろん、何故自分が?という疑問が強い。
「私が、踊りを?」
「うん!ダメ…かな?」
「ダメというか…私、踊りなんて出来ないど素人だよ?」
最後に踊りをしたのはいつだったかな…
元の世界での体育の授業でちょっとやった事がある、本当にそんな程度。
だから踊りは出来ないも同然であるわけで…
「踊りなら私がお教えします」
「ニニアンもこう言ってるからさ。お願い!」
両手を合わせてお願いをされると、さすがにもう断れない。
うーん…何事も経験が大事って言うし…
ニニアンが教えてくれるなら、私でもある程度は出来るかもしれないよね。
「…分かった。私でよければお願いします」
「ほんとう!?やったー!ありがとう、ナマエさん!」
万歳して喜んでくれるニルスに自然と頬が緩む。
本当、可愛いなぁ…
「では、早速ですが…一度練習してみますか?」
「あ…うっうん。お願いします…!」
その場で踊りを練習する事になり、途端に少し緊張してきた。
果たして私がちゃんと身に付けられるのか…
「そんなに緊張なさらなくても大丈夫です。肩の力を抜いて、深呼吸してみてください…」
彼女に言われた通り力を抜いて深呼吸をしてみる。
そしたら緊張も解れてきたのか、さっきよりも明らかに自然体でいられる気がした。
「そうそう、そんな感じ!」
「ふふ…では、いきましょうか」
それからしばらくの間、私はニニアンから踊りを教わった。
初めはど素人丸出しの動きしか出来なかったけど、彼女の的確なアドバイスのおかげで何とか一通り踊れるようになってきた。
流石にニニアンみたいには踊れないけど…!
「すごいよ、ナマエさん!この短時間でここまで踊れちゃうなんて」
「私も驚きました…ナマエ様には踊り子の素質がおありなのではないでしょうか…?」
「ええ?それはないと思うな…ニニアンの教え方が上手いからだよ」
私がそう言うとニニアンは照れたように首を横に振る。
妹弟揃って可愛すぎるよ…
「そろそろ僕の演奏に合わせて踊ってみる?」
「こっこんなので大丈夫なの?」
「全然大丈夫だよ!すごく上手だもんっ」
ニコッと笑うニルスに、ニニアンも笑って頷いてくれた。
自分ではあんまり分からないけど…
二人がこう言ってくれるなら、きっと大丈夫なんだろう。
私は覚悟を決めてニルスの演奏と共に踊る事を決めた。
「よし、じゃあ…いくよ!」
彼が息を吸ってから笛を奏でると、私もそれと同時に踊り出す。
さっき二人から教わった事を頭の中で思い浮かべながら…
私は、私なりの踊りを。
たとえニニアンみたいに綺麗に踊れなくても。
そして途中何回か間違えそうになりながらも何とか踊り切る事が出来た。
踊り終えて一息つくと、ニニアンとニルスが拍手をして笑ってくれる。
「やっぱり僕の見込んだ通りだったね!」
「とてもお上手でした。ナマエ様の踊りは思わず見惚れてしまいます…」
「そんな大袈裟だよ。でも…二人のおかげでこんな風に踊れたんだ。ありがとう」
改めて彼女達に感謝を込めて頭を下げた。
「あ… ナマエさん、この後ちょっといいかな?」
突然ニルスにそう聞かれたけれど、私は断る理由もなく頷く。
「そっか。じゃあニニアン、また後でね!」
「ええ…頑張ってね」
彼に手を引かれながら音楽堂を後にする。
外に出て人気のない場所まで来ると、ニルスは大きく深呼吸をしたみたいだった。
?なんか…緊張してる?
「… ナマエさん、今から言う事…笑わないで聞いてくれる?」
「もちろん。笑うわけないよ」
そう返せば彼は少し間を置いた後、私の目を真っ直ぐに見つめ返してきた。
その真剣な赤い瞳にドキッとして、囚われたみたいに逸らせなくなる。
「あのね……僕、ナマエさんの事が好きだよ」
突然の告白に思わず思考が停止した。
彼がどれだけの勇気を振り絞って言ってくれたのかが分かるから、これが何の好きなのかは流石に理解できる。
「まさか人を好きになるなんて思いもしなかったよ。ニニアンがエリウッド様を想う気持ちが…今なら分かるんだ」
少し顔を赤くさせながらも話していくニルスに私の胸がキュッとなるのが分かる。
「僕、竜だから…人間よりも長く生きてるけど、まだまだ子供なのは分かってる。それがナマエさんから見てもって事も。でも…僕は貴女が好きなんだ。一人の、女性として」
今までずっと可愛い弟みたいにしか思っていなかった。
…ううん、そう無理矢理思わせていたのかもしれない。
だって、彼は私よりも遥かに長く生きている竜だけれど、それ以前に少年だ。
私がニルスを好きになっても、彼が青年になる頃には私はきっと…
だから自分の本当の気持ちには気付かないふりをしていたんだ。
「ナマエさんは…僕の事、ただの弟みたいな存在としか思ってない…よね……」
段々と声が小さくなって、ズボンを握る拳に力が入っていく。
その体は少し震えていて…
だから私は堪らずニルスに近付いて抱き締めた。
「え… ナマエさん…?」
「ねえ、ニルス。確かに私達は生きる時間も成長する時間も全然違う。でも…こうして想い合う時間は変わらないんじゃないかな」
私がそう言えば彼はガバッと顔を上げて私を見る。
大きな赤い瞳には私の笑う顔が。
「想い合うって…ええ!?まさか、そんな…」
「ふふ…そのまさか、かな」
次の瞬間、ニルスの顔がみるみるうちに赤くなっていく。
可愛いなぁって、もう何度思ったかも分からない。
「どっどうしよう…僕、絶対に相手にされてないと思ってたのに…」
「嫌、だった?」
「そんな訳ない!嬉し過ぎて…今すぐニニアンに報告したいくらいだよ!」
そういえば…音楽堂を出る時、ニニアンがニルスに頑張ってねって言ってたよね…?
あれはそういう意味だったのかな。
「じゃあ、これから報告しにいく?」
「え…!?や、やっぱりちょっと心の準備が…それに……」
「それに?」
「もう少し…こうしていたい、な…」
照れたようにぎゅっと抱き締め返してくるニルスにドキドキが止まらない。
これ…私、大丈夫かな…?
でも……好きになっちゃったんだから仕方ないよね。
私達はもうしばらくの間、二人だけの時間を楽しんだのだった。
~end~
初ニルス夢です。
ずっと書こうと思っていて、やっと書けました(^^;
彼は少年ですが竜だからセーフだと思っています(?)
それに合わせて華麗に舞うのは美しい踊り子。
私は音楽堂でニニアンとニルスによる踊りを見ていた。
ニルスが笛で演奏し、ニニアンが踊りをする…
目の前の美しく幻想的な光景に思わず目を奪われてしまう。
瞬きをする事すら忘れてしまうくらいに。
そして演奏と共に踊りが終わり、二人がお辞儀をしたところで私は大きな拍手を送った。
「ニニアンの踊りとニルスの演奏、とても素敵だった!」
「ありがとうございます…」
「ナマエさんにそう言ってもらえると嬉しいよ!」
そう言って二人は笑顔を見せてくれる。
こうして見ると本当に姉弟なんだと実感するなぁ。
「そういえばニルス… ナマエ様に
お願いがあるんじゃない?」
ニニアンにそう言われるとニルスは“あっ!”と声を出して私の元に駆け寄ってきた。
?どうしたんだろう…
「あのね、ナマエさんに僕の演奏で踊ってもらいたいんだ」
突然のお願いに瞬きを数回繰り返す。
驚くのはもちろん、何故自分が?という疑問が強い。
「私が、踊りを?」
「うん!ダメ…かな?」
「ダメというか…私、踊りなんて出来ないど素人だよ?」
最後に踊りをしたのはいつだったかな…
元の世界での体育の授業でちょっとやった事がある、本当にそんな程度。
だから踊りは出来ないも同然であるわけで…
「踊りなら私がお教えします」
「ニニアンもこう言ってるからさ。お願い!」
両手を合わせてお願いをされると、さすがにもう断れない。
うーん…何事も経験が大事って言うし…
ニニアンが教えてくれるなら、私でもある程度は出来るかもしれないよね。
「…分かった。私でよければお願いします」
「ほんとう!?やったー!ありがとう、ナマエさん!」
万歳して喜んでくれるニルスに自然と頬が緩む。
本当、可愛いなぁ…
「では、早速ですが…一度練習してみますか?」
「あ…うっうん。お願いします…!」
その場で踊りを練習する事になり、途端に少し緊張してきた。
果たして私がちゃんと身に付けられるのか…
「そんなに緊張なさらなくても大丈夫です。肩の力を抜いて、深呼吸してみてください…」
彼女に言われた通り力を抜いて深呼吸をしてみる。
そしたら緊張も解れてきたのか、さっきよりも明らかに自然体でいられる気がした。
「そうそう、そんな感じ!」
「ふふ…では、いきましょうか」
それからしばらくの間、私はニニアンから踊りを教わった。
初めはど素人丸出しの動きしか出来なかったけど、彼女の的確なアドバイスのおかげで何とか一通り踊れるようになってきた。
流石にニニアンみたいには踊れないけど…!
「すごいよ、ナマエさん!この短時間でここまで踊れちゃうなんて」
「私も驚きました…ナマエ様には踊り子の素質がおありなのではないでしょうか…?」
「ええ?それはないと思うな…ニニアンの教え方が上手いからだよ」
私がそう言うとニニアンは照れたように首を横に振る。
妹弟揃って可愛すぎるよ…
「そろそろ僕の演奏に合わせて踊ってみる?」
「こっこんなので大丈夫なの?」
「全然大丈夫だよ!すごく上手だもんっ」
ニコッと笑うニルスに、ニニアンも笑って頷いてくれた。
自分ではあんまり分からないけど…
二人がこう言ってくれるなら、きっと大丈夫なんだろう。
私は覚悟を決めてニルスの演奏と共に踊る事を決めた。
「よし、じゃあ…いくよ!」
彼が息を吸ってから笛を奏でると、私もそれと同時に踊り出す。
さっき二人から教わった事を頭の中で思い浮かべながら…
私は、私なりの踊りを。
たとえニニアンみたいに綺麗に踊れなくても。
そして途中何回か間違えそうになりながらも何とか踊り切る事が出来た。
踊り終えて一息つくと、ニニアンとニルスが拍手をして笑ってくれる。
「やっぱり僕の見込んだ通りだったね!」
「とてもお上手でした。ナマエ様の踊りは思わず見惚れてしまいます…」
「そんな大袈裟だよ。でも…二人のおかげでこんな風に踊れたんだ。ありがとう」
改めて彼女達に感謝を込めて頭を下げた。
「あ… ナマエさん、この後ちょっといいかな?」
突然ニルスにそう聞かれたけれど、私は断る理由もなく頷く。
「そっか。じゃあニニアン、また後でね!」
「ええ…頑張ってね」
彼に手を引かれながら音楽堂を後にする。
外に出て人気のない場所まで来ると、ニルスは大きく深呼吸をしたみたいだった。
?なんか…緊張してる?
「… ナマエさん、今から言う事…笑わないで聞いてくれる?」
「もちろん。笑うわけないよ」
そう返せば彼は少し間を置いた後、私の目を真っ直ぐに見つめ返してきた。
その真剣な赤い瞳にドキッとして、囚われたみたいに逸らせなくなる。
「あのね……僕、ナマエさんの事が好きだよ」
突然の告白に思わず思考が停止した。
彼がどれだけの勇気を振り絞って言ってくれたのかが分かるから、これが何の好きなのかは流石に理解できる。
「まさか人を好きになるなんて思いもしなかったよ。ニニアンがエリウッド様を想う気持ちが…今なら分かるんだ」
少し顔を赤くさせながらも話していくニルスに私の胸がキュッとなるのが分かる。
「僕、竜だから…人間よりも長く生きてるけど、まだまだ子供なのは分かってる。それがナマエさんから見てもって事も。でも…僕は貴女が好きなんだ。一人の、女性として」
今までずっと可愛い弟みたいにしか思っていなかった。
…ううん、そう無理矢理思わせていたのかもしれない。
だって、彼は私よりも遥かに長く生きている竜だけれど、それ以前に少年だ。
私がニルスを好きになっても、彼が青年になる頃には私はきっと…
だから自分の本当の気持ちには気付かないふりをしていたんだ。
「ナマエさんは…僕の事、ただの弟みたいな存在としか思ってない…よね……」
段々と声が小さくなって、ズボンを握る拳に力が入っていく。
その体は少し震えていて…
だから私は堪らずニルスに近付いて抱き締めた。
「え… ナマエさん…?」
「ねえ、ニルス。確かに私達は生きる時間も成長する時間も全然違う。でも…こうして想い合う時間は変わらないんじゃないかな」
私がそう言えば彼はガバッと顔を上げて私を見る。
大きな赤い瞳には私の笑う顔が。
「想い合うって…ええ!?まさか、そんな…」
「ふふ…そのまさか、かな」
次の瞬間、ニルスの顔がみるみるうちに赤くなっていく。
可愛いなぁって、もう何度思ったかも分からない。
「どっどうしよう…僕、絶対に相手にされてないと思ってたのに…」
「嫌、だった?」
「そんな訳ない!嬉し過ぎて…今すぐニニアンに報告したいくらいだよ!」
そういえば…音楽堂を出る時、ニニアンがニルスに頑張ってねって言ってたよね…?
あれはそういう意味だったのかな。
「じゃあ、これから報告しにいく?」
「え…!?や、やっぱりちょっと心の準備が…それに……」
「それに?」
「もう少し…こうしていたい、な…」
照れたようにぎゅっと抱き締め返してくるニルスにドキドキが止まらない。
これ…私、大丈夫かな…?
でも……好きになっちゃったんだから仕方ないよね。
私達はもうしばらくの間、二人だけの時間を楽しんだのだった。
~end~
初ニルス夢です。
ずっと書こうと思っていて、やっと書けました(^^;
彼は少年ですが竜だからセーフだと思っています(?)
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