マイヒーロー
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「ナマエ~いる?いるなら開けてちょうだい~!」
ある日、自室で読書をしていたら扉の外からアンナさんの声が聞こえてきた。
いつもはノックしてくれるのに珍しいな…?
「はい、今開けますね」
私は読んでいた本を閉じると扉に向かう。
そして扉を開けると彼女の姿に驚いた。
「アっアンナさん、どうしたんですかそれ…?」
「ああ、取り敢えず中に入るわね!」
「え、ちょ…!」
アンナさんはそのまま強引に部屋の中まで入ってくると、両手で持っていた“それ”をドスンと下ろした。
「ふぅ…結構重かったわぁ~」
「あの、これは一体…」
私の部屋に置かれたもの…それはこたつだ。
冬に大活躍しては人間を駄目にする、あれ。
「これね、アンナ商会の新商品でこの冬売り出してたんだけど、一つだけ売れ残っちゃったのよ。よかったら貴女にと思って持ってきたってわけ。あ、お代は取らないから安心してね!」
「私に?そんないいんですか?他にもっと欲しい人がいるんじゃ…」
私はなんだかんだ言ってアンナさんから結構色々とサービスしてもらっている。
しかも彼女にしては珍し…じゃなかった、ありがたい事にいつも無償で。
こたつなんて結構いい値段がするはずなのに本当にいいのかな…
「あ、今申し訳ないって思ってるでしょ?これは私からの純粋な好意だから気にしないでいいの!これでも他の英雄達にも色々とサービスしてるんだから。貴女はその中でも特に頑張ってるから、遠慮なく受け取ってちょうだい」
そこまで言われるとさすがに断れない。
…アンナさんの折角の好意なんだ、素直に受け取ろう。
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて受け取らせていただきますね」
「ええ、それでいいわ。あっ、これね、魔法で温かくなる仕組みなの。机の上に手をかざすと…ほら、これで温かくなったわよ」
彼女にこたつの中へ入るよう促されたので入ってみる。
「あ…本当だ、あったかい」
「でしょう?魔力がない人でも扱えるから便利なのよ~」
電気がないこの世界で一体どうやって使うのかと思ったら、そういう仕組みだったとは。
やっぱり魔法ってすごいな…
そしてこたつを譲り受けアンナさんが部屋から出て行くと、私はある人の顔が頭に浮かんだ。
「彼、呼んでみようかな…」
「なんだい?見せたいものって」
私が部屋に招いたのは彼…恋人のルフレだ。
どうせなら一緒に入ってゆっくりしたいな、なんて事を思ったから…
「えっとね、これなんだけど…」
彼にこたつをアンナさんから貰った事、一体どういうものなのかという事を説明した。
「へぇ、そんな凄いものを貰ったんだね」
「うん。だから…一緒にどうかなぁと思って」
少し恥ずかしかったけれど本音を言ってみた。
ルフレは少し驚いたような顔でこちらに目を向ける。
「え、僕が一緒に入ってもいいのかい?」
「もちろんだよ。ルフレだから…ルフレじゃなきゃ嫌だよ」
「ナマエ…クスッ、ありがとう」
次の瞬間、彼から軽くキスをされた。
あまりにも急過ぎて目開けたままだったよ…
高鳴る胸を押さえながら、二人それぞれこたつの中に入る。
「凄く温かいね。これは動きたくなくなるな…」
「あはは、その気持ち分かる」
その時私は蜜柑があるのを思い出した。
こたつで過ごす時の定番だよね。
「ルフレ、蜜柑食べる?」
「いいね。いただくよ」
彼にも蜜柑を分けると二人して皮を剥いていく。
皮が剥けて実を一つ取った時、少し思い付いた。
「…ね、ちょっと口開けて?」
「え?う、うん」
私の言う通り彼が口を開いたら、私はその中に蜜柑の実を一つ入れてあげた。
ルフレはビックリして蜜柑が入ったと同時に口を閉じる。
「珍しいね…君がこんな事してくれるなんて」
「ふふ、たまにはいいかな~と」
「じゃあ、僕もお返ししてあげるよ」
今度はルフレからあーんをしてもらった。
…面と向かってやられるのはやっぱり恥ずかしい……
そして蜜柑も食べ終わり、二人して何をするわけでもなくまったりと過ごす。
「そういえば…久しぶりだよね。こうやって二人でゆっくりするの」
「確かに。最近は戦い続きであまり時間が取れなかったから」
「うん。…ルフレ、手を借してくれる?」
ルフレは不思議そうな顔をしながらも手を出してくれた。
私もこたつから手を出すと、彼の手に自分の手をキュッと絡める。
「急にどうしたの?」
「何か、手繋ぎたくなっちゃって」
「良かったらそっちに行こうか?」
彼の申し出に私は首を横に振った。
「ううん。今はただ…こうしていたいな」
「…そっか。うん、しばらくはこのままでいよう」
キュッと彼の手も握り返してくれて、それだけで胸が暖かくなる。
ずっとこうしていたいな……
冬の寒いある日、私達は穏やかで温かな時を過ごしたのだった。
~end~
リクエストのルフレ夢でした!
消化が遅過ぎて季節外れになってしまいましたね…申し訳ありません(;_;)
もしお気に召しませんでしたら遠慮なくお申し付けください。
この度は本当にありがとうございました!!
ある日、自室で読書をしていたら扉の外からアンナさんの声が聞こえてきた。
いつもはノックしてくれるのに珍しいな…?
「はい、今開けますね」
私は読んでいた本を閉じると扉に向かう。
そして扉を開けると彼女の姿に驚いた。
「アっアンナさん、どうしたんですかそれ…?」
「ああ、取り敢えず中に入るわね!」
「え、ちょ…!」
アンナさんはそのまま強引に部屋の中まで入ってくると、両手で持っていた“それ”をドスンと下ろした。
「ふぅ…結構重かったわぁ~」
「あの、これは一体…」
私の部屋に置かれたもの…それはこたつだ。
冬に大活躍しては人間を駄目にする、あれ。
「これね、アンナ商会の新商品でこの冬売り出してたんだけど、一つだけ売れ残っちゃったのよ。よかったら貴女にと思って持ってきたってわけ。あ、お代は取らないから安心してね!」
「私に?そんないいんですか?他にもっと欲しい人がいるんじゃ…」
私はなんだかんだ言ってアンナさんから結構色々とサービスしてもらっている。
しかも彼女にしては珍し…じゃなかった、ありがたい事にいつも無償で。
こたつなんて結構いい値段がするはずなのに本当にいいのかな…
「あ、今申し訳ないって思ってるでしょ?これは私からの純粋な好意だから気にしないでいいの!これでも他の英雄達にも色々とサービスしてるんだから。貴女はその中でも特に頑張ってるから、遠慮なく受け取ってちょうだい」
そこまで言われるとさすがに断れない。
…アンナさんの折角の好意なんだ、素直に受け取ろう。
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて受け取らせていただきますね」
「ええ、それでいいわ。あっ、これね、魔法で温かくなる仕組みなの。机の上に手をかざすと…ほら、これで温かくなったわよ」
彼女にこたつの中へ入るよう促されたので入ってみる。
「あ…本当だ、あったかい」
「でしょう?魔力がない人でも扱えるから便利なのよ~」
電気がないこの世界で一体どうやって使うのかと思ったら、そういう仕組みだったとは。
やっぱり魔法ってすごいな…
そしてこたつを譲り受けアンナさんが部屋から出て行くと、私はある人の顔が頭に浮かんだ。
「彼、呼んでみようかな…」
「なんだい?見せたいものって」
私が部屋に招いたのは彼…恋人のルフレだ。
どうせなら一緒に入ってゆっくりしたいな、なんて事を思ったから…
「えっとね、これなんだけど…」
彼にこたつをアンナさんから貰った事、一体どういうものなのかという事を説明した。
「へぇ、そんな凄いものを貰ったんだね」
「うん。だから…一緒にどうかなぁと思って」
少し恥ずかしかったけれど本音を言ってみた。
ルフレは少し驚いたような顔でこちらに目を向ける。
「え、僕が一緒に入ってもいいのかい?」
「もちろんだよ。ルフレだから…ルフレじゃなきゃ嫌だよ」
「ナマエ…クスッ、ありがとう」
次の瞬間、彼から軽くキスをされた。
あまりにも急過ぎて目開けたままだったよ…
高鳴る胸を押さえながら、二人それぞれこたつの中に入る。
「凄く温かいね。これは動きたくなくなるな…」
「あはは、その気持ち分かる」
その時私は蜜柑があるのを思い出した。
こたつで過ごす時の定番だよね。
「ルフレ、蜜柑食べる?」
「いいね。いただくよ」
彼にも蜜柑を分けると二人して皮を剥いていく。
皮が剥けて実を一つ取った時、少し思い付いた。
「…ね、ちょっと口開けて?」
「え?う、うん」
私の言う通り彼が口を開いたら、私はその中に蜜柑の実を一つ入れてあげた。
ルフレはビックリして蜜柑が入ったと同時に口を閉じる。
「珍しいね…君がこんな事してくれるなんて」
「ふふ、たまにはいいかな~と」
「じゃあ、僕もお返ししてあげるよ」
今度はルフレからあーんをしてもらった。
…面と向かってやられるのはやっぱり恥ずかしい……
そして蜜柑も食べ終わり、二人して何をするわけでもなくまったりと過ごす。
「そういえば…久しぶりだよね。こうやって二人でゆっくりするの」
「確かに。最近は戦い続きであまり時間が取れなかったから」
「うん。…ルフレ、手を借してくれる?」
ルフレは不思議そうな顔をしながらも手を出してくれた。
私もこたつから手を出すと、彼の手に自分の手をキュッと絡める。
「急にどうしたの?」
「何か、手繋ぎたくなっちゃって」
「良かったらそっちに行こうか?」
彼の申し出に私は首を横に振った。
「ううん。今はただ…こうしていたいな」
「…そっか。うん、しばらくはこのままでいよう」
キュッと彼の手も握り返してくれて、それだけで胸が暖かくなる。
ずっとこうしていたいな……
冬の寒いある日、私達は穏やかで温かな時を過ごしたのだった。
~end~
リクエストのルフレ夢でした!
消化が遅過ぎて季節外れになってしまいましたね…申し訳ありません(;_;)
もしお気に召しませんでしたら遠慮なくお申し付けください。
この度は本当にありがとうございました!!
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