マイヒーロー
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「ナマエ、ここにいたのか」
飛空城にあるエナジーの泉の端に腰をかけて本を読んでいると、聞き慣れた声で名前を呼ばれた。
ドラゴンから降りてこちらに歩いてくる彼…クロードに本から視線を移す。
「クロード。どうしたの?」
「ちょっとお前さんを連れ出しにな。どうだ?空の散歩にでも」
私は本を閉じて立ち上がると、あっと声を出して思い出す。
「どうした?」
「畑の手入れするの忘れてた…ごめん、ちょっと待ってて」
私は足早に畑へと向かう。
まだ芽が出たばかりだから気は抜けない。
「いつもご苦労さんだな。畑の仕事くらい他の英雄達に任せればいいだろう?」
「そうも言ってられないよ。みんなはただでさえ戦闘で頑張ってくれてるんだから、こういう仕事は私がやらないと」
そう話しながら私はジョウロで水をやっていく。
「……」
「…クロード?」
急に黙ったクロードが気になり水をやる手を止めて彼を見た。
「あ、いや…ちょっと思い出してな」
「思い出す?」
「前にもお前が俺にそう話してくれたのを…さ」
前……そう言われても、“この世界”の私の記憶にはない。
今隣に立つクロードは私の知る級長を務める彼ではなく、その五年後に成長した姿の彼だ。
クロードの言う前に私から言われた…というのは、彼の左手薬指に付けられた緑の石が光る指輪が物語っている。
「…“奥さんのナマエ”に言われたんだ?」
「まあ、そんなところだな」
分かっていたけれど、ほんの少しだけ胸が締め付けられるのを感じた。
だって…彼の中にある思い出は、私とのものであって私じゃない。
本人は特に悪気がないのは分かっている。
ただ、その事が…少し寂しいだけ……
「どうした?具合でも悪いのか?」
「ううん、何でもない……もう終わったから大丈夫だよ。行こう」
「…ああ」
私はクロードに手を引かれてドラゴンに乗せてもらう。
そして空の散歩へと繰り出した。
「うん、やっぱりいいね。空のお散歩…」
「だろ?俺もお前と飛ぶのが一番好きだ」
その何気ない一言に胸が高鳴る。
さっき落ち込んだばっかりなのに、今度はドキドキしたり…私って単純だなぁ……
「ほら、危ないからもう少し寄れって」
「うん……」
言われた通りもう少し後ろに下がればクロードと体が密着する。
心臓の鼓動、背中越しでも伝わってるのかな…
「元の世界でもお前はこうやって散歩するのが好きでさ。いつも嬉しそうな顔するんだよ」
「………」
ダメだ、落ち着け…
胸のざわめきを抑えたくて私はぎゅっと自分の胸元を握る。
「……なあ、ナマエ。俺はたとえ世界が違っても好きな奴は変わらないと思うぞ」
「え…?」
クロードに目を向ければ彼は真剣な顔で私を見つめていた。
「今目の前にいるお前を見て欲しいって気持ちは分からんでもない。だが、俺にとってナマエはナマエだ。世界が違ったって、俺の好きなナマエに変わりはないさ。お前だってきっとそうだろう?」
「!クロード……」
気付いてたんだ……
私は彼の言葉につくづく自分の器が小さい事に気付かされる。
クロードの言う通りだ…彼が違う私と結ばれていたとしても、それは紛れもなく同じ私なのだから……
私が彼に愛されている事には変わりない。
今だって…最初からクロードは私を見てくれていた。
「ごめんね、クロード…ありがとう」
「ははっ、礼と謝罪をいっぺんに言われるとはな。…そろそろ降りるか」
地上に戻ってくると、乗る時と同じように彼は私を下ろしてくれる。
彼に抱きとめられてそのまま降ろしてくれるのかと思いきや、何故か降ろさずに抱き上げたままだ。
「あの、クロード…?」
「悪い…幸せだなと、柄にもなくそう思っちまった。ナマエ、今夜はあんたを寝かせるつもりはないんだが…どうだ?」
「!そんなの…聞かないでよ……」
クロードは満足そうに笑うと、抱き上げている私にキスをしたのだった。
~end~
リクエストのクロード夢でした!
五年後の彼を、という意見もあったので今回は五年後のクロードで書かせていただきました。
何かいつか書いたエリウッドの話みたいになってしまいましたね…すみません汗
もしお気に召しませんでしたら遠慮なくお申し付けください(>_<)
では、この度は本当にありがとうございました!!
飛空城にあるエナジーの泉の端に腰をかけて本を読んでいると、聞き慣れた声で名前を呼ばれた。
ドラゴンから降りてこちらに歩いてくる彼…クロードに本から視線を移す。
「クロード。どうしたの?」
「ちょっとお前さんを連れ出しにな。どうだ?空の散歩にでも」
私は本を閉じて立ち上がると、あっと声を出して思い出す。
「どうした?」
「畑の手入れするの忘れてた…ごめん、ちょっと待ってて」
私は足早に畑へと向かう。
まだ芽が出たばかりだから気は抜けない。
「いつもご苦労さんだな。畑の仕事くらい他の英雄達に任せればいいだろう?」
「そうも言ってられないよ。みんなはただでさえ戦闘で頑張ってくれてるんだから、こういう仕事は私がやらないと」
そう話しながら私はジョウロで水をやっていく。
「……」
「…クロード?」
急に黙ったクロードが気になり水をやる手を止めて彼を見た。
「あ、いや…ちょっと思い出してな」
「思い出す?」
「前にもお前が俺にそう話してくれたのを…さ」
前……そう言われても、“この世界”の私の記憶にはない。
今隣に立つクロードは私の知る級長を務める彼ではなく、その五年後に成長した姿の彼だ。
クロードの言う前に私から言われた…というのは、彼の左手薬指に付けられた緑の石が光る指輪が物語っている。
「…“奥さんのナマエ”に言われたんだ?」
「まあ、そんなところだな」
分かっていたけれど、ほんの少しだけ胸が締め付けられるのを感じた。
だって…彼の中にある思い出は、私とのものであって私じゃない。
本人は特に悪気がないのは分かっている。
ただ、その事が…少し寂しいだけ……
「どうした?具合でも悪いのか?」
「ううん、何でもない……もう終わったから大丈夫だよ。行こう」
「…ああ」
私はクロードに手を引かれてドラゴンに乗せてもらう。
そして空の散歩へと繰り出した。
「うん、やっぱりいいね。空のお散歩…」
「だろ?俺もお前と飛ぶのが一番好きだ」
その何気ない一言に胸が高鳴る。
さっき落ち込んだばっかりなのに、今度はドキドキしたり…私って単純だなぁ……
「ほら、危ないからもう少し寄れって」
「うん……」
言われた通りもう少し後ろに下がればクロードと体が密着する。
心臓の鼓動、背中越しでも伝わってるのかな…
「元の世界でもお前はこうやって散歩するのが好きでさ。いつも嬉しそうな顔するんだよ」
「………」
ダメだ、落ち着け…
胸のざわめきを抑えたくて私はぎゅっと自分の胸元を握る。
「……なあ、ナマエ。俺はたとえ世界が違っても好きな奴は変わらないと思うぞ」
「え…?」
クロードに目を向ければ彼は真剣な顔で私を見つめていた。
「今目の前にいるお前を見て欲しいって気持ちは分からんでもない。だが、俺にとってナマエはナマエだ。世界が違ったって、俺の好きなナマエに変わりはないさ。お前だってきっとそうだろう?」
「!クロード……」
気付いてたんだ……
私は彼の言葉につくづく自分の器が小さい事に気付かされる。
クロードの言う通りだ…彼が違う私と結ばれていたとしても、それは紛れもなく同じ私なのだから……
私が彼に愛されている事には変わりない。
今だって…最初からクロードは私を見てくれていた。
「ごめんね、クロード…ありがとう」
「ははっ、礼と謝罪をいっぺんに言われるとはな。…そろそろ降りるか」
地上に戻ってくると、乗る時と同じように彼は私を下ろしてくれる。
彼に抱きとめられてそのまま降ろしてくれるのかと思いきや、何故か降ろさずに抱き上げたままだ。
「あの、クロード…?」
「悪い…幸せだなと、柄にもなくそう思っちまった。ナマエ、今夜はあんたを寝かせるつもりはないんだが…どうだ?」
「!そんなの…聞かないでよ……」
クロードは満足そうに笑うと、抱き上げている私にキスをしたのだった。
~end~
リクエストのクロード夢でした!
五年後の彼を、という意見もあったので今回は五年後のクロードで書かせていただきました。
何かいつか書いたエリウッドの話みたいになってしまいましたね…すみません汗
もしお気に召しませんでしたら遠慮なくお申し付けください(>_<)
では、この度は本当にありがとうございました!!
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