マイヒーロー
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「セリス」
私は最愛の人によく似た後ろ姿を呼び止める。
彼…セリスは振り返り私に気付くと笑顔を見せてくれた。
「母上!どうされましたか?」
「あのね、ちょっと耳を貸して欲しいんだけど…」
セリスに耳打ちをすると彼は少し驚いたような反応をする。
「仮装…ですか?」
「うん。折角だから私達で仮装してシグルド様をおどかしてみたいなぁって」
私が提案したのは今年の収穫祭で二人で仮装をして、シグルド様の部屋に突撃訪問に行こうというものだった。
「私は構いませんが…父上は大丈夫なのでしょうか?」
「シグルド様、こういったお祭りごとは結構好きなんだよ。だからその流れで一緒に収穫祭に参加出来ると思うの」
「なるほど…それはいいですね」
そんなわけで私達は収穫祭で仮装をする事になった。
衣装はアンナさんに手伝ってもらって私は赤ずきんのような衣装、セリスは魔導師のような衣装、それからシグルド様には海賊の船長の衣装を用意した。
そして収穫祭当日……
「準備はいい?セリス」
「はっはい…大丈夫です」
私達は小さく頷き合うとその扉を勢いよく開ける。
「シグルド様、トリックオアトリート!!」
「です…!」
シグルド様の部屋に入ると、私はばっと両腕を広げてそう言った。
セリスは恥ずかしいのか、少し困ったように照れ笑いを浮かべている。
そういう肝心のシグルド様はというと…
「……ナマエにセリスじゃないか。どうしたんだい、そんな格好をして…」
彼の言葉に私は盛大にコケた。
まさか収穫祭を忘れていらしたとは……
予想外の事態になんとか体勢を立て直しながら口を開く。
「シっシグルド様、今日は収穫祭の日ですよ…!」
「私達はそのための仮装で父上をおどかそうと思いまして……」
私達が状況を説明すると、シグルド様はようやく理解したのかああ、と声を出す。
「そういえば今日だったのか。通りで外にカボチャがたくさん置いてあるわけだ…」
「それでですね、三人で収穫祭に行きたいと思っていまして…」
私は彼に用意していた仮装を差し出す。
「これは…?」
「シグルド様の分の仮装です。よければそれを着て行きませんか?」
彼は仮装を受け取るとうん、と頷いた。
「ああ、分かった。すぐに用意するから先に行って待っていてくれ」
私達は言われた通り一足先に会場へと足を運んだ。
そして待つ事数分…
「ナマエ、セリス。待たせてすまない」
会場に現れたシグルド様を見て私は思わず息を飲む。
かっ…カッコいい……
失礼かもしれないけど、海賊の船長の衣装がとてもよく似合う。
こんな船長だったらどんな命令でも受け入れられそうだよ…
「その…やはり可笑しかっただろうか」
「いいえ、よくお似合いですよ。母上が見惚れてしまう程に…」
「はっ…!」
セリスにクスクスと笑われた事で我に帰った。
「あ……えと、本当にすごく似合ってます…!本当に……」
「ふっ、ありがとう。二人もよく似合っているよ」
そう言って見せる笑顔に胸の高鳴りが止まらない。
あぁ…息子の前なんだからしっかりしなきゃ……
「とりあえず屋台でも見て回りましょうか」
「ああ、そうしよう」
私達は収穫祭を楽しむべくお祭りの中へと歩き出した。
「父上、母上、見てください!あんなに大きなカボチャが…!」
会場の中を進むと、広場のような場所にはとてつもなく大きなおばけカボチャが置かれていたのだ。
「わあ…すごい大きい…」
「ここまで大きなものは初めて見たな」
私達は感心するかのようにその大きなカボチャを見上げていた。
「…あ……二人とも、少し待っていてくれ」
シグルド様は何かを見つけると屋台の方へと走っていく。
「どうしたんだろう?」
「さあ……」
残された私とセリスはお互い顔を合わせて首を傾げる。
少ししてからシグルド様はこちらに戻ってきた。
「はい、これを二人に渡したかったんだ」
「これは…」
彼が私達それぞれに渡してくれたのはカボチャとオバケの形をした棒付きのキャンディー。
「さっきナマエ達が部屋へ来た時に渡せなかっただろう。夫として、それから父親としての収穫祭のお菓子を贈るよ」
「父上…」
「ふふ、ありがとうございますっ」
本当に、こういう時でも律儀な人だな…
…そういうところも大好きだけれど。
それから三人で色々な場所を回ったりしていると、魔女の仮装をしたアンナさんが声を掛けてきた。
「そこのご家族三人の方ー!ちょっといいかしら?」
「アンナさん。どうしたんですか?」
不思議に思っていると彼女は一冊の魔道書を取り出した。
「まずはそこに並んでちょうだい。ほら、もうちょっとくっついて!」
「ええ?」
言われるがままに私達はセリスを真ん中に横に並ぶ。
「じゃあ、いくわよー。はい、チーズ!」
一瞬フラッシュが焚かれて呆気にとられる。
「アンナさん、今のって…」
「風景を焼き付ける魔道書よ。今度は笑ってちょうだいねー?」
それから何枚か写真を撮ってもらうと、その場で現像した物をアンナさんからもらう事ができた。
「しかし、今の魔法技術は予想以上に進歩しているんだな」
「私も驚きました。ですが、三人の思い出を形として残してもらえたのは良かったです」
セリスが撮ってもらった写真を見ながら笑ってそう話す。
何だか嬉しくて私は彼を自分の腕の中に閉じ込める。
「わっ、母上…!?急にどうされたのですか…!」
「ふふ…やっぱり貴方は私達の息子だなーと思って」
「奇遇だな。私も同じ事を考えていたよ」
今度はシグルド様が私とセリスを横から抱き抱えてくれた。
「……ねえ、セリス…元の世界に戻っても、この日の事…忘れないでね」
「!…はい、もちろんです。父上と母上と過ごした事、絶対に忘れません……」
「私達は離れていても家族だ。この先、どんな事が起きても…ずっと…」
この世界で作った家族の思い出は、決して色褪せる事はないだろう。
どんなに時が経っても、それは変わることの無い…永遠の宝物なんだ。
~end~
リクエストのシグルド夢でした!
あんまりハロウィン要素無くてすみません…汗
もしお気に召しませんでしたら遠慮なくお申し付けください(>_<)
では、この度は本当にありがとうございました!!
私は最愛の人によく似た後ろ姿を呼び止める。
彼…セリスは振り返り私に気付くと笑顔を見せてくれた。
「母上!どうされましたか?」
「あのね、ちょっと耳を貸して欲しいんだけど…」
セリスに耳打ちをすると彼は少し驚いたような反応をする。
「仮装…ですか?」
「うん。折角だから私達で仮装してシグルド様をおどかしてみたいなぁって」
私が提案したのは今年の収穫祭で二人で仮装をして、シグルド様の部屋に突撃訪問に行こうというものだった。
「私は構いませんが…父上は大丈夫なのでしょうか?」
「シグルド様、こういったお祭りごとは結構好きなんだよ。だからその流れで一緒に収穫祭に参加出来ると思うの」
「なるほど…それはいいですね」
そんなわけで私達は収穫祭で仮装をする事になった。
衣装はアンナさんに手伝ってもらって私は赤ずきんのような衣装、セリスは魔導師のような衣装、それからシグルド様には海賊の船長の衣装を用意した。
そして収穫祭当日……
「準備はいい?セリス」
「はっはい…大丈夫です」
私達は小さく頷き合うとその扉を勢いよく開ける。
「シグルド様、トリックオアトリート!!」
「です…!」
シグルド様の部屋に入ると、私はばっと両腕を広げてそう言った。
セリスは恥ずかしいのか、少し困ったように照れ笑いを浮かべている。
そういう肝心のシグルド様はというと…
「……ナマエにセリスじゃないか。どうしたんだい、そんな格好をして…」
彼の言葉に私は盛大にコケた。
まさか収穫祭を忘れていらしたとは……
予想外の事態になんとか体勢を立て直しながら口を開く。
「シっシグルド様、今日は収穫祭の日ですよ…!」
「私達はそのための仮装で父上をおどかそうと思いまして……」
私達が状況を説明すると、シグルド様はようやく理解したのかああ、と声を出す。
「そういえば今日だったのか。通りで外にカボチャがたくさん置いてあるわけだ…」
「それでですね、三人で収穫祭に行きたいと思っていまして…」
私は彼に用意していた仮装を差し出す。
「これは…?」
「シグルド様の分の仮装です。よければそれを着て行きませんか?」
彼は仮装を受け取るとうん、と頷いた。
「ああ、分かった。すぐに用意するから先に行って待っていてくれ」
私達は言われた通り一足先に会場へと足を運んだ。
そして待つ事数分…
「ナマエ、セリス。待たせてすまない」
会場に現れたシグルド様を見て私は思わず息を飲む。
かっ…カッコいい……
失礼かもしれないけど、海賊の船長の衣装がとてもよく似合う。
こんな船長だったらどんな命令でも受け入れられそうだよ…
「その…やはり可笑しかっただろうか」
「いいえ、よくお似合いですよ。母上が見惚れてしまう程に…」
「はっ…!」
セリスにクスクスと笑われた事で我に帰った。
「あ……えと、本当にすごく似合ってます…!本当に……」
「ふっ、ありがとう。二人もよく似合っているよ」
そう言って見せる笑顔に胸の高鳴りが止まらない。
あぁ…息子の前なんだからしっかりしなきゃ……
「とりあえず屋台でも見て回りましょうか」
「ああ、そうしよう」
私達は収穫祭を楽しむべくお祭りの中へと歩き出した。
「父上、母上、見てください!あんなに大きなカボチャが…!」
会場の中を進むと、広場のような場所にはとてつもなく大きなおばけカボチャが置かれていたのだ。
「わあ…すごい大きい…」
「ここまで大きなものは初めて見たな」
私達は感心するかのようにその大きなカボチャを見上げていた。
「…あ……二人とも、少し待っていてくれ」
シグルド様は何かを見つけると屋台の方へと走っていく。
「どうしたんだろう?」
「さあ……」
残された私とセリスはお互い顔を合わせて首を傾げる。
少ししてからシグルド様はこちらに戻ってきた。
「はい、これを二人に渡したかったんだ」
「これは…」
彼が私達それぞれに渡してくれたのはカボチャとオバケの形をした棒付きのキャンディー。
「さっきナマエ達が部屋へ来た時に渡せなかっただろう。夫として、それから父親としての収穫祭のお菓子を贈るよ」
「父上…」
「ふふ、ありがとうございますっ」
本当に、こういう時でも律儀な人だな…
…そういうところも大好きだけれど。
それから三人で色々な場所を回ったりしていると、魔女の仮装をしたアンナさんが声を掛けてきた。
「そこのご家族三人の方ー!ちょっといいかしら?」
「アンナさん。どうしたんですか?」
不思議に思っていると彼女は一冊の魔道書を取り出した。
「まずはそこに並んでちょうだい。ほら、もうちょっとくっついて!」
「ええ?」
言われるがままに私達はセリスを真ん中に横に並ぶ。
「じゃあ、いくわよー。はい、チーズ!」
一瞬フラッシュが焚かれて呆気にとられる。
「アンナさん、今のって…」
「風景を焼き付ける魔道書よ。今度は笑ってちょうだいねー?」
それから何枚か写真を撮ってもらうと、その場で現像した物をアンナさんからもらう事ができた。
「しかし、今の魔法技術は予想以上に進歩しているんだな」
「私も驚きました。ですが、三人の思い出を形として残してもらえたのは良かったです」
セリスが撮ってもらった写真を見ながら笑ってそう話す。
何だか嬉しくて私は彼を自分の腕の中に閉じ込める。
「わっ、母上…!?急にどうされたのですか…!」
「ふふ…やっぱり貴方は私達の息子だなーと思って」
「奇遇だな。私も同じ事を考えていたよ」
今度はシグルド様が私とセリスを横から抱き抱えてくれた。
「……ねえ、セリス…元の世界に戻っても、この日の事…忘れないでね」
「!…はい、もちろんです。父上と母上と過ごした事、絶対に忘れません……」
「私達は離れていても家族だ。この先、どんな事が起きても…ずっと…」
この世界で作った家族の思い出は、決して色褪せる事はないだろう。
どんなに時が経っても、それは変わることの無い…永遠の宝物なんだ。
~end~
リクエストのシグルド夢でした!
あんまりハロウィン要素無くてすみません…汗
もしお気に召しませんでしたら遠慮なくお申し付けください(>_<)
では、この度は本当にありがとうございました!!
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