マイヒーロー
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とても綺麗で、見つめていると吸い込まれそうな青い瞳。
けれど…いつもどこか遠くを見つめているような……
そんな貴方を、私は知りたいと思ったんだ。
「ディミトリ 」
私が名前を呼べば彼はその瞳に私を映してくれる。
陰りがない…そのいつもの青い瞳で。
「ナマエか。どうかしたのか?」
「今時間って大丈夫かな?」
「ああ、別に構わない」
その答えに安堵して私は要件を彼に伝える。
「あのね…もし迷惑でなければで良いんだけど…私に踊りを教えて欲しいの」
「踊りを?俺が…か?」
突然の頼みにディミトリは少し目を丸くして驚いているみたいだ。
当然の反応といえば当然だろう。
「うん。前に貴方の士官学校では舞踏会が行われるって話してくれたよね?それで…私も一度でいいから踊ってみたいなって……」
少し恥ずかしくなってしまい、後ろで手を触りながら俯き気味に話してしまう。
少しの間の後、彼から小さく笑う声が聞こえた。
「そうか。興味を持ってくれたんだな。俺を選んでくれて光栄だ」
「!じゃあ…」
「ああ、俺で良ければ相手になろう」
その言葉に私の心は喜びに満ち溢れていく。
断られなかったという安堵感と…
何よりもディミトリと踊れる嬉しさが大きかったんだ。
私達は許可を得て大広間へと移動した。
「人に踊りを教えるのは初めてだからな…頼りないかもしれないが、よろしく頼む」
「いいえ、とんでもない。こちらこそよろしくお願いします」
ディミトリは笑って頷くと私に手を差し出す。
「では…お手をどうぞ」
一瞬ドキッとしたが、慌てて気持ちを切り替えるとその手を取った。
腰に手を回され、片手を取られながらゆっくりとリードしてくれる。
「肩の力は抜いて、足はもう少し…そう、その調子だ」
「うっうん………わっ!」
足がもつれてしまい思わず倒れそうになる体を彼はすかさず受け止めてくれた。
「おっと…大丈夫か?」
「だ…大丈夫…!ありがとう」
うぅ、情けない……
こんなんじゃ足引っ張っちゃってるよね…
それからしばらくの間、ディミトリに踊りを教えてもらった。
「そろそろ少し休憩しよう。疲れただろう」
「あ……うん、ありがとう…」
彼に手を引いてもらいながら広間の端へと移動する。
こんなところまでちゃんとエスコートしてくれるなんて…
まるで物語に出てくる王子様みたい…本当に完璧だ。
「しかし驚いたな。初めてのわりには飲み込みが早くて上手かったぞ」
「そっそうかな?ディミトリの教え方が上手いからだよ」
「そう謙遜しなくていい。お前には踊りの素質があるのかもな」
ただ純粋にそう思ってくれているのが分かるため、余計に照れくさくなってしまう。
「…それにしてもディミトリはすごいね。戦闘もこなせて王族としての作法も完璧で…」
なんとなしにそう言えば、彼は私の顔をじっと見た後黙ってしまった。
「……なあ、もしも俺が…お前の思うような完璧な王子ではなかったら…どう思う?」
唐突な質問に思わず“え?”と聞き返す。
「本当は…俺の奥底には復讐心が燃えている、俺自身ただの憎しみの塊だと言ったら……突き放すか?」
「……」
彼の雰囲気が変わったのに気が付き私は少し息を飲む。
ディミトリは…冗談なんて言うような人じゃない。
ましてやこんな事なら尚更……
「…やっと本音、話してくれたんだね」
「え……?」
いつもどこか遠い所を見つめているディミトリが、今ようやく私を見てくれた気がする。
こうして彼の本当の思いも聞けて…
私はそのまま言葉を続けていく。
「貴方の負っているものは、私が想像しているよりも遥かに大きくて、恐ろしいものなのかもしれない。ずっとそんな気がしてたんだ…誰かといても、貴方は一人でいるような……」
ゆっくり歩きながら広間の天井を仰ぎ見る。
飾ってあるシャンデリアが少しだけ悲しげな色に見えた。
「だから私、ディミトリの事を知りたかったんだ。もっと貴方と親しくなりたい…だなんて、さすがに烏滸がまし過ぎだよね……」
あはは、と軽く笑って流そうとしたら、彼が私の元に歩いてきて前に立った。
「お前なら…ナマエとなら、俺は前を向けるかもしれない。俺がもしこの先自分を見失うような事があったら…お前は俺を支えてくれるだろうか…?」
私の目を真っ直ぐに見つめる瞳は真剣で、でもどこか救いを求めているような切なさを感じる。
そんな彼の頬に手を添えて私は口を開いた。
「私はいつでもディミトリの傍にいるよ。貴方が自分を見失ったら、私がまた見つけ出してみせる」
「!ナマエ…」
ディミトリは頬に添えられた私の手に自分の手を重ねて目を閉じた。
彼がどう思ってくれたのかは分からないけど…
その手に少しの力が込められた事で十分伝わった気がしたんだ。
「なあ、よければもう少しだけ踊らないか?」
「ふふ、喜んで」
彼に差し出された手を迷わず取り、広間の真ん中でもう一度二人して踊り出す。
静かに輝くシャンデリアの光が優しく私達を照らしてくれているようだった。
~end~
リクエストのディミトリ夢でした!
彼の事情を知っているためか、どうしても心の支え的な存在を作ってあげたくなりこんな感じになりましたが…ほのぼのなのか…?これは……
もしお気に召しませんでしたら遠慮なくお申し付けくださいませm(_ _)m
この度は本当にありがとうございました!!
けれど…いつもどこか遠くを見つめているような……
そんな貴方を、私は知りたいと思ったんだ。
「ディミトリ 」
私が名前を呼べば彼はその瞳に私を映してくれる。
陰りがない…そのいつもの青い瞳で。
「ナマエか。どうかしたのか?」
「今時間って大丈夫かな?」
「ああ、別に構わない」
その答えに安堵して私は要件を彼に伝える。
「あのね…もし迷惑でなければで良いんだけど…私に踊りを教えて欲しいの」
「踊りを?俺が…か?」
突然の頼みにディミトリは少し目を丸くして驚いているみたいだ。
当然の反応といえば当然だろう。
「うん。前に貴方の士官学校では舞踏会が行われるって話してくれたよね?それで…私も一度でいいから踊ってみたいなって……」
少し恥ずかしくなってしまい、後ろで手を触りながら俯き気味に話してしまう。
少しの間の後、彼から小さく笑う声が聞こえた。
「そうか。興味を持ってくれたんだな。俺を選んでくれて光栄だ」
「!じゃあ…」
「ああ、俺で良ければ相手になろう」
その言葉に私の心は喜びに満ち溢れていく。
断られなかったという安堵感と…
何よりもディミトリと踊れる嬉しさが大きかったんだ。
私達は許可を得て大広間へと移動した。
「人に踊りを教えるのは初めてだからな…頼りないかもしれないが、よろしく頼む」
「いいえ、とんでもない。こちらこそよろしくお願いします」
ディミトリは笑って頷くと私に手を差し出す。
「では…お手をどうぞ」
一瞬ドキッとしたが、慌てて気持ちを切り替えるとその手を取った。
腰に手を回され、片手を取られながらゆっくりとリードしてくれる。
「肩の力は抜いて、足はもう少し…そう、その調子だ」
「うっうん………わっ!」
足がもつれてしまい思わず倒れそうになる体を彼はすかさず受け止めてくれた。
「おっと…大丈夫か?」
「だ…大丈夫…!ありがとう」
うぅ、情けない……
こんなんじゃ足引っ張っちゃってるよね…
それからしばらくの間、ディミトリに踊りを教えてもらった。
「そろそろ少し休憩しよう。疲れただろう」
「あ……うん、ありがとう…」
彼に手を引いてもらいながら広間の端へと移動する。
こんなところまでちゃんとエスコートしてくれるなんて…
まるで物語に出てくる王子様みたい…本当に完璧だ。
「しかし驚いたな。初めてのわりには飲み込みが早くて上手かったぞ」
「そっそうかな?ディミトリの教え方が上手いからだよ」
「そう謙遜しなくていい。お前には踊りの素質があるのかもな」
ただ純粋にそう思ってくれているのが分かるため、余計に照れくさくなってしまう。
「…それにしてもディミトリはすごいね。戦闘もこなせて王族としての作法も完璧で…」
なんとなしにそう言えば、彼は私の顔をじっと見た後黙ってしまった。
「……なあ、もしも俺が…お前の思うような完璧な王子ではなかったら…どう思う?」
唐突な質問に思わず“え?”と聞き返す。
「本当は…俺の奥底には復讐心が燃えている、俺自身ただの憎しみの塊だと言ったら……突き放すか?」
「……」
彼の雰囲気が変わったのに気が付き私は少し息を飲む。
ディミトリは…冗談なんて言うような人じゃない。
ましてやこんな事なら尚更……
「…やっと本音、話してくれたんだね」
「え……?」
いつもどこか遠い所を見つめているディミトリが、今ようやく私を見てくれた気がする。
こうして彼の本当の思いも聞けて…
私はそのまま言葉を続けていく。
「貴方の負っているものは、私が想像しているよりも遥かに大きくて、恐ろしいものなのかもしれない。ずっとそんな気がしてたんだ…誰かといても、貴方は一人でいるような……」
ゆっくり歩きながら広間の天井を仰ぎ見る。
飾ってあるシャンデリアが少しだけ悲しげな色に見えた。
「だから私、ディミトリの事を知りたかったんだ。もっと貴方と親しくなりたい…だなんて、さすがに烏滸がまし過ぎだよね……」
あはは、と軽く笑って流そうとしたら、彼が私の元に歩いてきて前に立った。
「お前なら…ナマエとなら、俺は前を向けるかもしれない。俺がもしこの先自分を見失うような事があったら…お前は俺を支えてくれるだろうか…?」
私の目を真っ直ぐに見つめる瞳は真剣で、でもどこか救いを求めているような切なさを感じる。
そんな彼の頬に手を添えて私は口を開いた。
「私はいつでもディミトリの傍にいるよ。貴方が自分を見失ったら、私がまた見つけ出してみせる」
「!ナマエ…」
ディミトリは頬に添えられた私の手に自分の手を重ねて目を閉じた。
彼がどう思ってくれたのかは分からないけど…
その手に少しの力が込められた事で十分伝わった気がしたんだ。
「なあ、よければもう少しだけ踊らないか?」
「ふふ、喜んで」
彼に差し出された手を迷わず取り、広間の真ん中でもう一度二人して踊り出す。
静かに輝くシャンデリアの光が優しく私達を照らしてくれているようだった。
~end~
リクエストのディミトリ夢でした!
彼の事情を知っているためか、どうしても心の支え的な存在を作ってあげたくなりこんな感じになりましたが…ほのぼのなのか…?これは……
もしお気に召しませんでしたら遠慮なくお申し付けくださいませm(_ _)m
この度は本当にありがとうございました!!
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