※リリーナ視点




私は今日も幼馴染の“彼”を探してお城の中を歩いていた。


「！ロイ……」


少し離れたところにロイを見つけて、私は彼の名前を呼んだけれどその声は小さくなっていった。



「ナマエ！」
「あ、ロイ。こんにちは」



ロイは私の声が届くよりも先にナマエの姿を見つけると、そのまま彼女の元に駆け寄って行ったから…


「そんなに大量の本、どうしたんだい？」
「ああ、この前借りた本を図書館に返しに行くところなの」
「それなら僕も手伝うよ。ほら、貸して」
「え、そんなの悪いよ！」
「このくらい平気さ。さあ、一緒に行こう」
「ロイ…ありがとう」



「………」



私はその光景を見た後、静かにその場を離れた。



分かってた…はずなんだけどな……



この世界にロイや私が召喚されて、ナマエと出会って…

ロイはナマエと出会ってからいつも彼女を目で追っていた。
それはもう、誰が見ても分かるくらいの好意をナマエに向けている。


当の本人だけは気付いていないみたいだけれど…


ナマエはロイだけでなく、他の英雄達の心を無意識のうちに掴むくらい魅力的な人だ。



無論、私も彼女に魅了されている訳で…



「リリーナ」



後ろから声を掛けられ、振り向けばそこにはセシリアさんが立っていた。


「セシリアさん…」
「泣きたい時くらい、泣けばいいのよ」
「え…」


彼女はただ微笑みながらそう言ってくれた。



「辛い時は思いっきり甘えなさい」
「セシリアさ…っ…うぅ……！」
私はセシリアさんに駆け寄ると、そのまま彼女に抱き付いて涙を流した。



ロイはこの世界に来る前は女の子に対して特別な感情なんて抱かなかった。

幼馴染の私が彼に想いを寄せていても、それすらも気付いてくれないくらいに鈍感で…


でも、ナマエと出会ってロイは恋を知った。

きっと…ナマエがロイの運命の相手なんだろうな。


大好きな二人だからこそ幸せになって欲しいのに…



心のどこかで、二人が結ばれる事が嫌な自分がいるの……



「我慢なんてしなくていいの。貴女は貴女のままでいいんだから…」
「ぅっ…あぁ……ッ」



ごめんね、ロイ、ナマエ…


今だけは、自分の気持ちに素直でいさせて……





～end～
リリーナ視点で悲恋夢でした。
うーん、本当最低なんですけど…私、他の女の子が夢主に嫉妬するみたいな感じのお話書くの大好きなんです(
でも、女の子が悪くなるようにだけは書きたくないのでそこは気を付けてます笑
こんな夢書いといてなんですが、リリーナは個人的には可愛くて大好きです…！