マイヒーロー
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※エフラム視点
なあ、お前の目は
いつ俺の事を映してくれるんだ…?
「ナマエ、無事か?」
戦闘が終わると俺は一番にナマエの元へと駆け寄る。
「エフラム。うん、大丈夫だよ。ありがとう」
「そうか…」
するとナマエの視線は俺から外れると少し離れたところに向いた。
俺もつられてそちらに目を向ける。
ナマエが目を向けた先にいたのは俺と同じ世界から来た仲間…ヒーニアスの姿。
あいつを見るナマエは、明らかに他の者達を見る時とは違う。
…無論、俺の時ともだが……
「……気になるのか」
「!え…?」
俺がそう尋ねると、ナマエは肩をビクリとさせてこちらに振り返った。
図星を突かれたからかその顔はほんのりと赤く染まっている。
「話し掛けなくていいのか?」
「…いいの。だって、彼は……」
そう言いかけたナマエの顔は次の瞬間、悲しそうなものに変わった。
その理由は…
「エイリーク、怪我は無かったか」
「はい、私は大丈夫です。お気遣い感謝致します」
ヒーニアスが声を掛けた相手はエイリークだ。
そしてヒーニアスがエイリークを見る目もまた…ナマエがあいつを見る目と同じ。
「ほら…ね?私が彼の瞳に映る事はない、から……」
「………」
今にも泣き出してしまうのではないかという彼女の声は震えていた。
俺は悔しさで拳を握りしめる。
この手で彼女を抱き締められたら、どれだけいいだろう。
彼女の瞳に俺が映れば…こんな思いをさせずに済んだのかもしれない。
俺は…どうしたら……お前を笑顔にする事ができる…?
「あはは…ごめんね、こんな事言われても困るよね。さあ、お城に帰ろうか」
明らかに無理をして作ったであろう笑顔でナマエは城へ帰還する為に歩き出す。
俺は結局何も出来ずに彼女の後をついて行った。
その日の夜、俺は何となしに城の廊下を歩いていた。
「……ナマエ…?」
窓の外を一人見ながら立っているナマエを見つけた。
俺は自然と彼女に歩いて行き声を掛ける。
「どうしたんだ、こんな所で」
「!エっエフラム…!?」
俺に気が付いた彼女は慌てて目元を拭い出す。
よく見れば目が赤い…
「…泣いているのか?」
「うっううん、違うよ!目にゴミが入っちゃっただけだから…」
これはまた定番な嘘をつくものだ。
…好きな女が泣いているかどうかなんてすぐに分かる。
「ヒーニアスの事…考えてたんだろう?」
「っ……」
俺の言葉に目元を拭う手がピタリと止まる。
本当に分かりやすいよな、ナマエは…
「なあ…どうしてあいつの事をそこまで好きになれるんだ?」
「どうして……うん…どうしてなんだろうね…」
ナマエは少し落ち着いたのかゆっくりと話し出す。
「私ね、前に彼と同じ部隊になった時、私が指示を誤って兵士を死なせてしまった時があったの。その事をずっと引きずっていたら…彼が言ってくれたの」
ナマエはその時の事を懐かしく、そして愛おしむように言葉を続ける。
「“完璧な人間なんていない。時には指示を間違える事だってあるだろう。君がそうやって命を散らした兵士を思ってくれるのなら、彼はそれだけでも救われるはずだ。だから君は前だけ見ていろ”って…その時からかな…私が彼を好きになったのは」
知らなかった。
ナマエにそんな事があったなんて…
俺は彼女の知らない所がまだまだある事を痛感した。
「でもね、やっぱりそれは私が仲間としての言葉に過ぎなかったんだ。私、馬鹿だからさ…少しでも舞い上がっちゃった時があって…最低だよね、人が亡くなってるのに……」
「そんな…」
「それからはヒーニアスがエイリークに接する態度を見てから、私はもう失恋しちゃってるんだけど…簡単には諦められそうにない、かな……」
窓の外を見ながらナマエは再び涙を流す。
俺はその時、彼女をとても美しいと思ってしまった。
涙を流すその横顔は、儚げで今にも消えてしまいそうで…
居ても立っても居られなくなり気付けば彼女を抱き締めていた。
「エフ、ラム……?」
「なあ…俺にしろよ。あいつじゃなくて、俺の事を見てくれよ…ナマエ……」
顔は見えないが、今の言葉を理解したナマエが驚いているように感じた。
「俺はずっとナマエが好きだった。それはお前がヒーニアスを好きになる前から…お前があいつを好きになってからも」
「わ、私…」
「俺ならお前を泣かせたりなんかしないし、こんな思いをさせたりなんかしない。…本当に好きなんだ、ナマエ……」
彼女を抱き締める腕に思わず力が入る。
そして最初こそ動揺していたが、次は落ち着いた声でナマエが口を開く。
「ありがとう、エフラム…私の事そうやって言ってくれてすごく嬉しい。でも…まだ彼の事、諦められそうにないんだ」
「それでもいい。俺はお前を…」
「…貴方は優しいね。私には勿体無いくらい…でも、こんな半端な気持ちで貴方の気持ちに答える事なんて出来ない」
俺はゆっくりナマエの体を離すと、彼女は俺の目を真っ直ぐに見つめ返して言葉を続ける。
「だから…私の気持ちにちゃんと整理がついたら、改めて返事をしてもいいかな…?」
「!ナマエ…ああ、もちろんだ」
「エフラム…ありがとう」
ナマエは礼を言いながら、まだ悲しさが残る顔で柔らかく微笑んだ。
その表情に胸がギュッと締め付けられる。
「どんな答えでも俺は受け止める。だから…いつか答えを聞かせてくれ」
「うん。必ず…」
「…よし、そろそろ部屋に戻るか。送っていく」
俺はナマエを部屋まで送り届けると、そのまま踵を返して自室へと歩き出す。
俺の事を考えてくれての言葉だというのは痛い程分かった。
ナマエの気持ちに区切りがつく時…それはいつになるかは分からない。
だが、俺はいつまでも待つつもりだ。
たとえ答えがどうであれ…
知らなかったこんな感情を教えてくれたナマエを、これからも支えていきたいのは変わらないからな。
~end~
失恋…かどうかは微妙なお話ですね汗
こういうエフラム→夢主→他の英雄みたいなの書いてみたかったんですよ~
意外にも話が長くなって驚いてます笑
この後のお話とかもまた書いてみたいですね。
なあ、お前の目は
いつ俺の事を映してくれるんだ…?
「ナマエ、無事か?」
戦闘が終わると俺は一番にナマエの元へと駆け寄る。
「エフラム。うん、大丈夫だよ。ありがとう」
「そうか…」
するとナマエの視線は俺から外れると少し離れたところに向いた。
俺もつられてそちらに目を向ける。
ナマエが目を向けた先にいたのは俺と同じ世界から来た仲間…ヒーニアスの姿。
あいつを見るナマエは、明らかに他の者達を見る時とは違う。
…無論、俺の時ともだが……
「……気になるのか」
「!え…?」
俺がそう尋ねると、ナマエは肩をビクリとさせてこちらに振り返った。
図星を突かれたからかその顔はほんのりと赤く染まっている。
「話し掛けなくていいのか?」
「…いいの。だって、彼は……」
そう言いかけたナマエの顔は次の瞬間、悲しそうなものに変わった。
その理由は…
「エイリーク、怪我は無かったか」
「はい、私は大丈夫です。お気遣い感謝致します」
ヒーニアスが声を掛けた相手はエイリークだ。
そしてヒーニアスがエイリークを見る目もまた…ナマエがあいつを見る目と同じ。
「ほら…ね?私が彼の瞳に映る事はない、から……」
「………」
今にも泣き出してしまうのではないかという彼女の声は震えていた。
俺は悔しさで拳を握りしめる。
この手で彼女を抱き締められたら、どれだけいいだろう。
彼女の瞳に俺が映れば…こんな思いをさせずに済んだのかもしれない。
俺は…どうしたら……お前を笑顔にする事ができる…?
「あはは…ごめんね、こんな事言われても困るよね。さあ、お城に帰ろうか」
明らかに無理をして作ったであろう笑顔でナマエは城へ帰還する為に歩き出す。
俺は結局何も出来ずに彼女の後をついて行った。
その日の夜、俺は何となしに城の廊下を歩いていた。
「……ナマエ…?」
窓の外を一人見ながら立っているナマエを見つけた。
俺は自然と彼女に歩いて行き声を掛ける。
「どうしたんだ、こんな所で」
「!エっエフラム…!?」
俺に気が付いた彼女は慌てて目元を拭い出す。
よく見れば目が赤い…
「…泣いているのか?」
「うっううん、違うよ!目にゴミが入っちゃっただけだから…」
これはまた定番な嘘をつくものだ。
…好きな女が泣いているかどうかなんてすぐに分かる。
「ヒーニアスの事…考えてたんだろう?」
「っ……」
俺の言葉に目元を拭う手がピタリと止まる。
本当に分かりやすいよな、ナマエは…
「なあ…どうしてあいつの事をそこまで好きになれるんだ?」
「どうして……うん…どうしてなんだろうね…」
ナマエは少し落ち着いたのかゆっくりと話し出す。
「私ね、前に彼と同じ部隊になった時、私が指示を誤って兵士を死なせてしまった時があったの。その事をずっと引きずっていたら…彼が言ってくれたの」
ナマエはその時の事を懐かしく、そして愛おしむように言葉を続ける。
「“完璧な人間なんていない。時には指示を間違える事だってあるだろう。君がそうやって命を散らした兵士を思ってくれるのなら、彼はそれだけでも救われるはずだ。だから君は前だけ見ていろ”って…その時からかな…私が彼を好きになったのは」
知らなかった。
ナマエにそんな事があったなんて…
俺は彼女の知らない所がまだまだある事を痛感した。
「でもね、やっぱりそれは私が仲間としての言葉に過ぎなかったんだ。私、馬鹿だからさ…少しでも舞い上がっちゃった時があって…最低だよね、人が亡くなってるのに……」
「そんな…」
「それからはヒーニアスがエイリークに接する態度を見てから、私はもう失恋しちゃってるんだけど…簡単には諦められそうにない、かな……」
窓の外を見ながらナマエは再び涙を流す。
俺はその時、彼女をとても美しいと思ってしまった。
涙を流すその横顔は、儚げで今にも消えてしまいそうで…
居ても立っても居られなくなり気付けば彼女を抱き締めていた。
「エフ、ラム……?」
「なあ…俺にしろよ。あいつじゃなくて、俺の事を見てくれよ…ナマエ……」
顔は見えないが、今の言葉を理解したナマエが驚いているように感じた。
「俺はずっとナマエが好きだった。それはお前がヒーニアスを好きになる前から…お前があいつを好きになってからも」
「わ、私…」
「俺ならお前を泣かせたりなんかしないし、こんな思いをさせたりなんかしない。…本当に好きなんだ、ナマエ……」
彼女を抱き締める腕に思わず力が入る。
そして最初こそ動揺していたが、次は落ち着いた声でナマエが口を開く。
「ありがとう、エフラム…私の事そうやって言ってくれてすごく嬉しい。でも…まだ彼の事、諦められそうにないんだ」
「それでもいい。俺はお前を…」
「…貴方は優しいね。私には勿体無いくらい…でも、こんな半端な気持ちで貴方の気持ちに答える事なんて出来ない」
俺はゆっくりナマエの体を離すと、彼女は俺の目を真っ直ぐに見つめ返して言葉を続ける。
「だから…私の気持ちにちゃんと整理がついたら、改めて返事をしてもいいかな…?」
「!ナマエ…ああ、もちろんだ」
「エフラム…ありがとう」
ナマエは礼を言いながら、まだ悲しさが残る顔で柔らかく微笑んだ。
その表情に胸がギュッと締め付けられる。
「どんな答えでも俺は受け止める。だから…いつか答えを聞かせてくれ」
「うん。必ず…」
「…よし、そろそろ部屋に戻るか。送っていく」
俺はナマエを部屋まで送り届けると、そのまま踵を返して自室へと歩き出す。
俺の事を考えてくれての言葉だというのは痛い程分かった。
ナマエの気持ちに区切りがつく時…それはいつになるかは分からない。
だが、俺はいつまでも待つつもりだ。
たとえ答えがどうであれ…
知らなかったこんな感情を教えてくれたナマエを、これからも支えていきたいのは変わらないからな。
~end~
失恋…かどうかは微妙なお話ですね汗
こういうエフラム→夢主→他の英雄みたいなの書いてみたかったんですよ~
意外にも話が長くなって驚いてます笑
この後のお話とかもまた書いてみたいですね。
95/129ページ