マイヒーロー
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今日の私は朝から少しばかり…いや、かなり気分が良かった。
何ならスキップでもしたい程だ。
私がこんなにも浮かれている理由、それは……
「あ、ナマエ!」
「ちょうど良かった!」
私を見かけて声を掛けてきてくれたのはエイリークとターナだ。
「エイリーク、ターナ!おはよう」
「おはようございます」
「おはよう!ふふふ、やっぱり浮かれてるわね~」
「う…だって……」
今日は私と彼…エフラムの恋人になってから一年になる日。
つまり一年記念日だ。
エフラムとこの世界で出会ってから恋人同士になるまで時間はかからなかった。
あの日からもうそんなに経ったという事実に正直驚いている。
「今日は一緒に過ごすんでしょう?」
「うん…」
「嬉しそうにしちゃって」
「お二人が結ばれてから一年…あっという間でしたね」
三人で一年前の思い出を巡らせていると、私達の脇を特務機関の女性兵士二人が通り過ぎる。
そして聞こえてきた会話に思わず耳を疑った。
「ねえ、あの噂って本当かしら?」
「エフラム様に限って有り得ない…と思いたいわ」
「やっぱりそうよね……まさかエフラム様が他の女性と過ごされるなんて…」
「「「!?」」」
通り過ぎる二人の後ろ姿に私達は一斉に顔を向けた。
「ねっねえ、今の話…」
「エフラムが…他の女の人と……?」
「兄上がそんな事するはずがありません!普段どれほどナマエの事を想っているのか、皆さん知っています」
エイリークの言葉に騒ついた心が少しだけ落ち着く。
それでも悪い意味で心臓の鼓動が早まるのは収まる事を知らない。
エフラムに限ってそんな事……第一、私が一番に信頼しないでどうするんだ。
「あんなのただの噂話よ!気にしなくていいわ」
「うん…そう、だよね」
「ナマエ…」
取り敢えずその場で私達は別れ、私は心を少しでも落ち着かせるため街へ遊びに行こうと思い城門へと向かう。
こんな気持ちじゃ…彼と過ごせないから……
「…あ」
外へ出る橋を渡ろうとした時、見慣れた碧色…エフラムの後ろ姿が視界に入った。
なんだか、声…掛けづらいな……
そう思ったのも束の間、次に目に飛び込んできた景色に私は体が凍りつくような感覚を覚えた。
誰かと話している様子は分かったが、その相手は知らない女性だったのだ。
装いからして特務機関の人ではない…街の人のようだけれど…
私はただその場に呆然と立ち尽くす事しか出来ない。
用が済んだのか、エフラムは女性と別れるとこちらに振り返った。
「ナマエ!?いつからそこに…」
私に気が付いた彼の表情はひどく驚いていて…
それだけで嫌な考えが頭をよぎってしまう。
「…いっ今来たばかりだよ…何も見てないから…!」
「ナマエ…?お前、どうした……」
エフラムの手が私に触れようとしたその時、思わず後ろに下がってしまった。
「!ナマエ…」
「ぁ……、ごめん…ちょっと、一人にさせて……っ」
「ナマエ!!」
そのまま彼を振り返る事なく、私は来た道を引き返し自分の部屋へ駆け込んだ。
もう頭の中、ぐちゃぐちゃだ…
何も考えたくない……
私は溢れる涙を抑えることもなく、部屋の扉を背に座り込んだのだった。
「ん……」
次に目が覚めた時、部屋の中は暗くなっていた。
あれ…私、何して……
……あぁ、泣き疲れていつの間にか寝ちゃってたのか……
もうこんな時間…
「今日…記念日なんだけどなぁ……」
「本当、そうだよな」
私のすぐ後ろ…つまり扉の向こうからその声は聞こえてきた。
反射的に振り返りその名前を口に出してみる。
「エっエフラム…?」
「急に悪い。お前が起きる気配がしたから…」
「起きる気配って…まさか……」
エフラム…私が部屋にこもってから今までずっと扉越しに居てくれてたって事……?
「あんな思いをさせた後だ、中に入れてもらおうなんて思えなくてな…このままでもいい、聞いてくれるか?」
私は返事をせずに黙って彼の言葉を待った。
「…昼間、俺が他の女性と居たの…見てたよな?ただの言い訳だと思われるのは承知だ。あれはナマエの思っているような事は何も無い」
「え…」
「こんな形で話すつもりではなかったんだったんだが…正直に全部話そう」
一呼吸置いてから彼はゆっくりと言葉を紡いだ。
「あの女性はアクセサリー屋の店主で、話していたのは指輪だ。お前に合うのはどんなものがいいのかをな」
「指、輪…?」
突然の話に少しだけ頭が混乱し始める。
どうして私に合う指輪なんかを…?
「今日の記念日に合わせて贈ろうと思ってたんだが…まさかナマエを傷付けるような事に繋がるとは……完全に俺のせいだ。申し訳なかった…」
「そんな…っ」
「…もしナマエが嫌になったら、俺から離れてもらっても構わない。お前の嫌がるような真似はもうこれ以上はしたくないからな…」
そう言うと、彼の気配が扉越しから離れていくのを感じた。
ダメだ…
このままで終わっていい訳がない……
「エフラムっ!!」
私は扉を勢いよく開けて少し離れたところを歩く後ろ姿に向かって叫んだ。
彼は驚いたような顔をしてこちらを振り返る。
エフラムの顔を見た途端、私は堪らなくなりそのまま走って思い切り彼の体に抱きついた。
「ナマエ、お前…」
「ごめんなさい…そんな事だとは知らずに、私が勝手に勘違いして傷付いて……私が貴方を嫌になるなんて絶対に有り得ない…!だから…っ」
顔を上げるとそこにはエフラムの優しく笑った顔が。
次に彼は私を抱き締め返すと口を開いた。
「その言葉を聞けて安心した。正直、本当に愛想を尽かされたらどうしようかと思っていたんだ…」
「そんな訳ないじゃない…でも、どうして指輪なんか……」
そう尋ねると、体を離されエフラムは何かを取り出す。
そして私の左手を取ると薬指に何かを嵌め込んだ。
「!エフラム…」
「半年前くらいから考えてたんだ。ずっと俺の隣にナマエが居てくれる未来を…それで一年記念日に指輪を贈ろうと決めていた。お前を誰にも渡したくない…俺の独占欲が強過ぎた結果でもある。だから…」
エフラムはそこまで言うとその場に跪く。
「ナマエを俺の妻…ルネス王国の王妃に迎えたい。俺と、結婚してください」
心臓が大きく高鳴る。
自然と胸の前で左手を握る右手に力が入った。
密かに憧れていた好きな人からのその言葉…
その返事はもう考えるまでもない。
「はいっ…よろしくお願いします…!」
「!ナマエっ!!」
次の瞬間、私の体は彼によって抱き上げられた。
「ありがとう…俺の一生をかけて幸せにするからな」
「うん…っ」
そしてエフラムのプロポーズから数日後…
「おめでとう、二人とも!」
「お幸せにー!!」
フラワーシャワーが降り注ぐ中、私とエフラムは仲間達から盛大な祝福を受けていた。
季節は6の月…誰もが憧れるジューンブライド。
それもエフラムが叶えてくれたんだ。
「ナマエ、ブーケ!」
アンナさんが投げろと言わんばかりに合図をしてきて思わず笑ってしまう。
「どうせなら二人で投げるか?」
「そうだね。じゃあ、いくよ…そーれっ!」
エフラムと一緒にブーケをみんなの方へと投げると、ちょうど誰かの手にすっぽりと収まった。
「なっ…私だと!?」
「次に結婚するのはヒーニアスか」
ブーケを手にしたのはまさかのヒーニアス。
本人が一番驚いているみたいだけど。
「ナマエがエフラムと結婚してしまったというのに、私に結婚する機会があるというのか…」
「ヒーニアス王子、ブーケを受け取れて良かったですね」
そこへエイリークがヒーニアスにそう笑いかけた。
「!あっああ…そうだな……」
「あいつ……」
「まあまあ…温かく見守っていこうよ」
二人の様子に若干震えるエフラムの手にそっと手を添える。
エフラムは落ち着いてくれたのか、溜息を吐いてこちらに向き直った。
「…よしっ」
「え、わあっ!」
次の瞬間、私は彼に横抱きにされ反射的に彼の首に腕を回す。
それを見た英雄達からはわっと歓声が上がり、嬉しいけど少し照れくさくも感じてしまう。
「愛してる、ナマエ。これからもずっと一緒だ」
「はい…私も愛してます、エフラム」
私達は誓いのキスよりも長い、幸せなキスを交わしたのだった。
~end~
花嫁ネタというよりエフラムとの結婚ネタを書きたかっただけです、はい笑
今更ですが、このエフラムは伝承バージョンの設定で書いたつもりです。
何が一番言いたいかというと、扉越しって良いよねっていう…笑
何ならスキップでもしたい程だ。
私がこんなにも浮かれている理由、それは……
「あ、ナマエ!」
「ちょうど良かった!」
私を見かけて声を掛けてきてくれたのはエイリークとターナだ。
「エイリーク、ターナ!おはよう」
「おはようございます」
「おはよう!ふふふ、やっぱり浮かれてるわね~」
「う…だって……」
今日は私と彼…エフラムの恋人になってから一年になる日。
つまり一年記念日だ。
エフラムとこの世界で出会ってから恋人同士になるまで時間はかからなかった。
あの日からもうそんなに経ったという事実に正直驚いている。
「今日は一緒に過ごすんでしょう?」
「うん…」
「嬉しそうにしちゃって」
「お二人が結ばれてから一年…あっという間でしたね」
三人で一年前の思い出を巡らせていると、私達の脇を特務機関の女性兵士二人が通り過ぎる。
そして聞こえてきた会話に思わず耳を疑った。
「ねえ、あの噂って本当かしら?」
「エフラム様に限って有り得ない…と思いたいわ」
「やっぱりそうよね……まさかエフラム様が他の女性と過ごされるなんて…」
「「「!?」」」
通り過ぎる二人の後ろ姿に私達は一斉に顔を向けた。
「ねっねえ、今の話…」
「エフラムが…他の女の人と……?」
「兄上がそんな事するはずがありません!普段どれほどナマエの事を想っているのか、皆さん知っています」
エイリークの言葉に騒ついた心が少しだけ落ち着く。
それでも悪い意味で心臓の鼓動が早まるのは収まる事を知らない。
エフラムに限ってそんな事……第一、私が一番に信頼しないでどうするんだ。
「あんなのただの噂話よ!気にしなくていいわ」
「うん…そう、だよね」
「ナマエ…」
取り敢えずその場で私達は別れ、私は心を少しでも落ち着かせるため街へ遊びに行こうと思い城門へと向かう。
こんな気持ちじゃ…彼と過ごせないから……
「…あ」
外へ出る橋を渡ろうとした時、見慣れた碧色…エフラムの後ろ姿が視界に入った。
なんだか、声…掛けづらいな……
そう思ったのも束の間、次に目に飛び込んできた景色に私は体が凍りつくような感覚を覚えた。
誰かと話している様子は分かったが、その相手は知らない女性だったのだ。
装いからして特務機関の人ではない…街の人のようだけれど…
私はただその場に呆然と立ち尽くす事しか出来ない。
用が済んだのか、エフラムは女性と別れるとこちらに振り返った。
「ナマエ!?いつからそこに…」
私に気が付いた彼の表情はひどく驚いていて…
それだけで嫌な考えが頭をよぎってしまう。
「…いっ今来たばかりだよ…何も見てないから…!」
「ナマエ…?お前、どうした……」
エフラムの手が私に触れようとしたその時、思わず後ろに下がってしまった。
「!ナマエ…」
「ぁ……、ごめん…ちょっと、一人にさせて……っ」
「ナマエ!!」
そのまま彼を振り返る事なく、私は来た道を引き返し自分の部屋へ駆け込んだ。
もう頭の中、ぐちゃぐちゃだ…
何も考えたくない……
私は溢れる涙を抑えることもなく、部屋の扉を背に座り込んだのだった。
「ん……」
次に目が覚めた時、部屋の中は暗くなっていた。
あれ…私、何して……
……あぁ、泣き疲れていつの間にか寝ちゃってたのか……
もうこんな時間…
「今日…記念日なんだけどなぁ……」
「本当、そうだよな」
私のすぐ後ろ…つまり扉の向こうからその声は聞こえてきた。
反射的に振り返りその名前を口に出してみる。
「エっエフラム…?」
「急に悪い。お前が起きる気配がしたから…」
「起きる気配って…まさか……」
エフラム…私が部屋にこもってから今までずっと扉越しに居てくれてたって事……?
「あんな思いをさせた後だ、中に入れてもらおうなんて思えなくてな…このままでもいい、聞いてくれるか?」
私は返事をせずに黙って彼の言葉を待った。
「…昼間、俺が他の女性と居たの…見てたよな?ただの言い訳だと思われるのは承知だ。あれはナマエの思っているような事は何も無い」
「え…」
「こんな形で話すつもりではなかったんだったんだが…正直に全部話そう」
一呼吸置いてから彼はゆっくりと言葉を紡いだ。
「あの女性はアクセサリー屋の店主で、話していたのは指輪だ。お前に合うのはどんなものがいいのかをな」
「指、輪…?」
突然の話に少しだけ頭が混乱し始める。
どうして私に合う指輪なんかを…?
「今日の記念日に合わせて贈ろうと思ってたんだが…まさかナマエを傷付けるような事に繋がるとは……完全に俺のせいだ。申し訳なかった…」
「そんな…っ」
「…もしナマエが嫌になったら、俺から離れてもらっても構わない。お前の嫌がるような真似はもうこれ以上はしたくないからな…」
そう言うと、彼の気配が扉越しから離れていくのを感じた。
ダメだ…
このままで終わっていい訳がない……
「エフラムっ!!」
私は扉を勢いよく開けて少し離れたところを歩く後ろ姿に向かって叫んだ。
彼は驚いたような顔をしてこちらを振り返る。
エフラムの顔を見た途端、私は堪らなくなりそのまま走って思い切り彼の体に抱きついた。
「ナマエ、お前…」
「ごめんなさい…そんな事だとは知らずに、私が勝手に勘違いして傷付いて……私が貴方を嫌になるなんて絶対に有り得ない…!だから…っ」
顔を上げるとそこにはエフラムの優しく笑った顔が。
次に彼は私を抱き締め返すと口を開いた。
「その言葉を聞けて安心した。正直、本当に愛想を尽かされたらどうしようかと思っていたんだ…」
「そんな訳ないじゃない…でも、どうして指輪なんか……」
そう尋ねると、体を離されエフラムは何かを取り出す。
そして私の左手を取ると薬指に何かを嵌め込んだ。
「!エフラム…」
「半年前くらいから考えてたんだ。ずっと俺の隣にナマエが居てくれる未来を…それで一年記念日に指輪を贈ろうと決めていた。お前を誰にも渡したくない…俺の独占欲が強過ぎた結果でもある。だから…」
エフラムはそこまで言うとその場に跪く。
「ナマエを俺の妻…ルネス王国の王妃に迎えたい。俺と、結婚してください」
心臓が大きく高鳴る。
自然と胸の前で左手を握る右手に力が入った。
密かに憧れていた好きな人からのその言葉…
その返事はもう考えるまでもない。
「はいっ…よろしくお願いします…!」
「!ナマエっ!!」
次の瞬間、私の体は彼によって抱き上げられた。
「ありがとう…俺の一生をかけて幸せにするからな」
「うん…っ」
そしてエフラムのプロポーズから数日後…
「おめでとう、二人とも!」
「お幸せにー!!」
フラワーシャワーが降り注ぐ中、私とエフラムは仲間達から盛大な祝福を受けていた。
季節は6の月…誰もが憧れるジューンブライド。
それもエフラムが叶えてくれたんだ。
「ナマエ、ブーケ!」
アンナさんが投げろと言わんばかりに合図をしてきて思わず笑ってしまう。
「どうせなら二人で投げるか?」
「そうだね。じゃあ、いくよ…そーれっ!」
エフラムと一緒にブーケをみんなの方へと投げると、ちょうど誰かの手にすっぽりと収まった。
「なっ…私だと!?」
「次に結婚するのはヒーニアスか」
ブーケを手にしたのはまさかのヒーニアス。
本人が一番驚いているみたいだけど。
「ナマエがエフラムと結婚してしまったというのに、私に結婚する機会があるというのか…」
「ヒーニアス王子、ブーケを受け取れて良かったですね」
そこへエイリークがヒーニアスにそう笑いかけた。
「!あっああ…そうだな……」
「あいつ……」
「まあまあ…温かく見守っていこうよ」
二人の様子に若干震えるエフラムの手にそっと手を添える。
エフラムは落ち着いてくれたのか、溜息を吐いてこちらに向き直った。
「…よしっ」
「え、わあっ!」
次の瞬間、私は彼に横抱きにされ反射的に彼の首に腕を回す。
それを見た英雄達からはわっと歓声が上がり、嬉しいけど少し照れくさくも感じてしまう。
「愛してる、ナマエ。これからもずっと一緒だ」
「はい…私も愛してます、エフラム」
私達は誓いのキスよりも長い、幸せなキスを交わしたのだった。
~end~
花嫁ネタというよりエフラムとの結婚ネタを書きたかっただけです、はい笑
今更ですが、このエフラムは伝承バージョンの設定で書いたつもりです。
何が一番言いたいかというと、扉越しって良いよねっていう…笑
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