マイヒーロー
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私の見上げる先には、雨を降らし続けている暗い雲に覆われた空があった。
それはまるで今の私の心を表しているかのようで…
「ここにいたのだね、ナマエくん」
その声に私は振り返る事も返事をする事もなく、ただ雨が降り続ける空から視線を逸らさなかった。
「こんなところにいると風邪を引いてしまうよ?早く中に入りたまえ」
「……」
こちらに近付いてきた彼…ヴィオールに私は相変わらず何の反応も示さない。
「……まだ、気にしているのだね」
「っ……」
その言葉に数刻前の出来事が頭の中で蘇った。
今日、私達は一人の兵によりある場所でエンブラ軍が英雄達を引き連れてアスク領内を進行している事を知らされた。
その言葉を疑うこともなく、私はアルフォンス達いつもの三人に複数の英雄、そして小さな部隊を一つ引き連れて向かった。
だけど…目的地に着いた時、そこには何故か誰もいなかったのだ。
そして私達が混乱している隙に、物陰に潜んでいたのか伏兵達が一斉に襲いかかってきた。
あの報告してきた兵は特務機関の服装に扮したエンブラ兵であり、私達を騙してあそこまで誘き寄せたのだ。
必死に応戦するも、今回こちらが引き連れてきた兵数ではあまりに数が多く、さらに相手の力も相当なものだった事から逃げる手を取った。
たが逃げようにも敵軍からの追撃で部隊が壊滅状態に追いやられた時、小部隊が盾となり私達を逃がそうとしてくれた。
命を張って時間を稼ごうとしてくれた彼らを私は見捨てる事なんて出来なかった…けれど、アンナさん達に連れられ私達は何とかお城に戻って来ることが出来たのだ。
「彼ら…最期に笑ってた……笑ってこの世界の未来を、私達に託してくれた………」
「それが彼らの思いなのだよ。その思いに応えるために、君はこれからも私達を導いて欲しい…この世界を守るために」
「けど…仲間の一人も守れない私なんかが世界を守るなんて、出来ると思う……?私が無力だから、あの部隊の人達は…っ!」
そこまで言うと、ヴィオールは私の肩を掴んで遮るように口を開いた。
「無力だと思う相手を命を張ってまで逃がそうと思うかい!?心から信頼出来てこの世界の未来を託せる君だからこそ、彼らは自らを犠牲にして私達を逃してくれたんだ…!」
私は普段声を荒げない彼に少しだけ驚くと同時に、その言葉に俯いて黙り込んだ。
「誰一人も犠牲を出さずに、なんて…甘いのかもしれない。私達は戦をしてるのにね……それでも…仲間を救えないのは、辛いよ…っ……」
私の頬に一筋の涙が流れるも、降り注ぐ雨でもう涙なのかどうかも分からない。
「…心を痛めているのは、君だけじゃない。アルフォンス王子やシャロン王女、あの場から逃れられた者達皆がそうだろう。もちろん、私もその一人だ……」
少しの間があった後、彼は再び口を開いた。
「ナマエくん、君は私との盤面遊びでも犠牲を出さないようにしていたね。それは実戦においても同じ…その優しさと同時に心の強さも兼ね備えている。だから君はこれからも前を向いて歩いていくべきなのだよ」
「ヴィオール……私…この世界を守れるかな……?彼らの思いに、応えられるかな……?」
絞り出した声でそう聞くと、彼はフッと笑って答えてくれた。
「当たり前だろう?なんせこの私が保証するのだから。もしこの先にまた冷酷な判断を下すような事があれば、その時は私が君を支えよう…貴族的にね」
「ふふ、なにそれ……」
ヴィオールのいつもの口癖に思わず笑ってしまった。
「…ああ、やっと晴れたみたいだね」
空を見ると先ほどまでの暗い雲が嘘のように散って、太陽が雲の間から覗いていた。
「見たまえ、虹が出ているようだ」
「!本当だ…」
その言葉通りに、晴れた空には綺麗な虹が架かっていた。
「さて…暗雲も晴れた事だし、私とお茶でもいかがかね?」
「ヴィオールが淹れるお茶って雑草ハーブティーでしょ…?遠慮しておこうかな……」
「なっ…ここは乗るべきところだろうナマエくん!?」
「ふふ、はいはい…!」
~end~
リクエストのヴィオール夢でした!
思ったよりもシリアスになってしまった…
本当はギャグ甘とか書いてみたかったんですけど、こっちのネタが思い浮かんでからはいざという時には励ましてくれる貴族が書きたくなってこうなりました…笑
ちなみに、時期的には夢主がFEHの世界に召喚されたての頃でまだ英雄達が育ちきっていない時ですね。
この度は本当にありがとうございました!!
それはまるで今の私の心を表しているかのようで…
「ここにいたのだね、ナマエくん」
その声に私は振り返る事も返事をする事もなく、ただ雨が降り続ける空から視線を逸らさなかった。
「こんなところにいると風邪を引いてしまうよ?早く中に入りたまえ」
「……」
こちらに近付いてきた彼…ヴィオールに私は相変わらず何の反応も示さない。
「……まだ、気にしているのだね」
「っ……」
その言葉に数刻前の出来事が頭の中で蘇った。
今日、私達は一人の兵によりある場所でエンブラ軍が英雄達を引き連れてアスク領内を進行している事を知らされた。
その言葉を疑うこともなく、私はアルフォンス達いつもの三人に複数の英雄、そして小さな部隊を一つ引き連れて向かった。
だけど…目的地に着いた時、そこには何故か誰もいなかったのだ。
そして私達が混乱している隙に、物陰に潜んでいたのか伏兵達が一斉に襲いかかってきた。
あの報告してきた兵は特務機関の服装に扮したエンブラ兵であり、私達を騙してあそこまで誘き寄せたのだ。
必死に応戦するも、今回こちらが引き連れてきた兵数ではあまりに数が多く、さらに相手の力も相当なものだった事から逃げる手を取った。
たが逃げようにも敵軍からの追撃で部隊が壊滅状態に追いやられた時、小部隊が盾となり私達を逃がそうとしてくれた。
命を張って時間を稼ごうとしてくれた彼らを私は見捨てる事なんて出来なかった…けれど、アンナさん達に連れられ私達は何とかお城に戻って来ることが出来たのだ。
「彼ら…最期に笑ってた……笑ってこの世界の未来を、私達に託してくれた………」
「それが彼らの思いなのだよ。その思いに応えるために、君はこれからも私達を導いて欲しい…この世界を守るために」
「けど…仲間の一人も守れない私なんかが世界を守るなんて、出来ると思う……?私が無力だから、あの部隊の人達は…っ!」
そこまで言うと、ヴィオールは私の肩を掴んで遮るように口を開いた。
「無力だと思う相手を命を張ってまで逃がそうと思うかい!?心から信頼出来てこの世界の未来を託せる君だからこそ、彼らは自らを犠牲にして私達を逃してくれたんだ…!」
私は普段声を荒げない彼に少しだけ驚くと同時に、その言葉に俯いて黙り込んだ。
「誰一人も犠牲を出さずに、なんて…甘いのかもしれない。私達は戦をしてるのにね……それでも…仲間を救えないのは、辛いよ…っ……」
私の頬に一筋の涙が流れるも、降り注ぐ雨でもう涙なのかどうかも分からない。
「…心を痛めているのは、君だけじゃない。アルフォンス王子やシャロン王女、あの場から逃れられた者達皆がそうだろう。もちろん、私もその一人だ……」
少しの間があった後、彼は再び口を開いた。
「ナマエくん、君は私との盤面遊びでも犠牲を出さないようにしていたね。それは実戦においても同じ…その優しさと同時に心の強さも兼ね備えている。だから君はこれからも前を向いて歩いていくべきなのだよ」
「ヴィオール……私…この世界を守れるかな……?彼らの思いに、応えられるかな……?」
絞り出した声でそう聞くと、彼はフッと笑って答えてくれた。
「当たり前だろう?なんせこの私が保証するのだから。もしこの先にまた冷酷な判断を下すような事があれば、その時は私が君を支えよう…貴族的にね」
「ふふ、なにそれ……」
ヴィオールのいつもの口癖に思わず笑ってしまった。
「…ああ、やっと晴れたみたいだね」
空を見ると先ほどまでの暗い雲が嘘のように散って、太陽が雲の間から覗いていた。
「見たまえ、虹が出ているようだ」
「!本当だ…」
その言葉通りに、晴れた空には綺麗な虹が架かっていた。
「さて…暗雲も晴れた事だし、私とお茶でもいかがかね?」
「ヴィオールが淹れるお茶って雑草ハーブティーでしょ…?遠慮しておこうかな……」
「なっ…ここは乗るべきところだろうナマエくん!?」
「ふふ、はいはい…!」
~end~
リクエストのヴィオール夢でした!
思ったよりもシリアスになってしまった…
本当はギャグ甘とか書いてみたかったんですけど、こっちのネタが思い浮かんでからはいざという時には励ましてくれる貴族が書きたくなってこうなりました…笑
ちなみに、時期的には夢主がFEHの世界に召喚されたての頃でまだ英雄達が育ちきっていない時ですね。
この度は本当にありがとうございました!!
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