マイヒーロー
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※夢主成人設定
「ナマエ」
ある日の昼下がり、私に声を掛けてきたのはタクミだ。
「タクミ。どうしたの?」
「今日も…いいかな?」
「あ、うん。分かった。夜にいつものところで大丈夫?」
「うん。ありがとう…それじゃあ、また夜にね」
そう約束だけするとタクミは満足そうに去っていった。
私達はよく夜に街にあるバーで飲んでいる。
お酒を飲みながらただ色々な話をする…特に何がある訳でもなく本当にそれだけ。
この関係を一言で表すなら、まさに友達以上恋人未満…いや、寧ろ親友かな…?
本当は親友以上になりたいなんて思ってる事、タクミは知らないだろうな…
この心地良い関係を壊したくない…その思いが強いせいで、私はずっと自分の気持ちに嘘をつき続けていた。
「見つけた。こんなところにいたんだね…」
私の前に現れたのは英雄ではなく、特務機関の一兵士である男性だ。
この人は数日前から私につきまとってくる、言ってしまえばストーカーみたいなもの。
正直、名前も知らないし、しつこいから関わらないで欲しいんだけど…
同じ特務機関だからあまり下手な扱いは出来ないというか……
「!貴方…私に何か用ですか?」
「今日こそは僕のものになってもらおうと思ってね。そろそろ僕の気持ちに振り向いてくれないかな…?」
「悪いですがお断りします」
きっぱりとそう断ってから彼の横を通り過ぎる。
その瞬間、彼がニヤリと笑みを浮かべて口を開いた。
「…そう強気でいられるのも今のうちだ…今夜、君は僕のものになる。今から楽しみだよ……」
「…?」
彼はそれだけ言うとどこかへ行ってしまった。
いつもはもっとつきまとってくるのに、今日はやけに諦めるのが早い…
それに今の言葉はどういう意味…?
私は不気味に思いながらもタクミとの約束の夜を待った。
あれから何事も無く夜が訪れ、私は約束通り街のバーへと足を運んだ。
「あ、タクミ!」
「遅いよ。待ちくたびれちゃったじゃないか」
「ごっごめん…」
「嘘。そんなに落ち込まないでよ。ほら、ここ座りなよ」
私の様子を見て面白おかしく笑うタクミに軽く怒りながらも、私はいつものように彼の隣に座る。
「今日は何を飲まれますか?」
バーのマスターが聞いてくれて私は少し考えた。
…少し狙ってみようかな?
「あ…じゃあ、ブルーラグーンをお願いします」
「かしこまりました」
私の注文を聞いたマスターは心なしか楽しそうに笑ったように見えた。
何か、少し恥ずかしいかも…
私はチラッとタクミが既に頼んでいたカクテルに目を向けた。
「今日は何を飲んでるの?」
「え…?あっあぁ、マルガリータだよ」
「へぇ。結構強めのお酒だよね?大丈夫?」
「子供じゃないんだ、馬鹿にするなよ」
そう言うタクミの顔はもうほんのりと赤い気がする。
いつもはあまり強くないものを頼むのに…今日はどうしたんだろう。
「お待たせしました。ブルーラグーンでございます」
マスターが私の前にそっと差し出してくれたのは、澄んだ青色をしていてオレンジ、レモン、チェリーが添えられたカクテルだ。
一言マスターにお礼を伝えると、私は少しの間そのカクテルを見つめた。
タクミは…カクテルの意味、知ってるかな?
カクテルからタクミへ視線を移すと目が合った。
ドキリと胸が高鳴り、少し緊張してしまう。
「ナマエ、あのさ…」
そのまま彼が何かを言おうと口を開いた時だった。
「ナマエさん、待ったかい?」
急に名前を呼ばれたかと思いきや、バーに入ってきたのは昼間に会ったあの男性。
そして何の断りもなく私の空いている左隣へと腰を下ろした。
「なっ何ですか。どうして貴方がここに…」
「つれないなぁ…そんなに照れなくてもいいのに。あ、マスター、ハイライフを頼むよ」
マスターに注文を済ませると、彼はカウンターに肘をついてニヤニヤしながら私を見つめてくる。
「言っただろう?今夜、君は僕のものになるって…」
「知りません、そんなの」
すると右隣に座るタクミがクッと私の腕を引っ張り、不機嫌そうに男性を見ながら聞いてきた。
「ねえ、誰なの?そいつ…随分とナマエに馴れ馴れしいみたいだけど」
「おっと、自己紹介が遅れました。僕は特務機関に属する兵士で、ナマエさんの恋人となる男です。以後お見知り置きを…英雄タクミ様」
「なっ…恋人って、何言ってるんだ!?」
男性のとんでも発言にただ目を丸くする事しか出来ない。
正直、ここまでブッとんでるとは思わなかったというか…
……いや、今までのストーカー行為からしたらそこまでおかしくもないのかも…
「そのままの意味ですよ。僕はナマエさんにとって相応しい…そうだろう?」
「っ…!いやっ!」
彼は私の顎を指でクッと上げさせ、私は思わず顔を背けるとタクミが席を立ち間に入ってくれた。
「こんなにも嫌がられてるのによくそんな事が言えたものだね。逆に清々しいよ」
「彼女は嫌がっているのではなくただ照れているだけですよ。それに、自分の気持ちをいつまでも素直に伝えられない貴方に言われたくはありませんねぇ?」
男性の言葉にタクミはどこか引っかかったような表情を見せると拳を握り締めていた。
タクミ…?
「英雄と謳われる貴方も所詮は気持ちすら伝えられない臆病な方なんですね~?やはりナマエさんに相応しいのはこの僕…」
「違う…」
男性の言葉を遮るように口を開いたのはタクミだ。
その顔は怒りではなく、とても真剣なもので…
「あんたはナマエの何を知ってる?彼女が毎回犠牲を出さないために、どれだけ悩んで戦場で指示を出しているか知ってるか?英雄達だけじゃない、あんた達兵士一人一人の事もちゃんと考えてるんだ。そんな影で苦労している事も知らないような人間に、ナマエに相応しいだなんて言う資格はない!」
タクミの声がバーに静かに響いた。
男性も彼の気迫に怖気付いたのか少し後ずさっている。
「なっなんだよ…それと気持ちを伝えるのと何の関係があるんだよ!?」
「重さだよ。ナマエの事を何も知らないから軽々しくあんな事が言えるんだ。人の上に立って指揮する者はただでさえ色々な事を背負ってる…そんな人に自分の気持ちを伝えたら、もしかしたらそれがさらなる負担になるかもしれない。僕はそれが怖い…自分がナマエの重荷なる事が何よりも…」
私はそこまで聞くと、タクミの背中にそっと寄り添った。
「ううん、そんな事ない…そんな事ないよ、タクミ。貴方の気持ちが私の負担になるなんて事…だって、私も同じ気持ちだから」
私がそう口にすると彼はこちらに向き直った。
その顔は目を見開いていて驚いているみたいだ。
「え…僕と同じ気持ちって…」
「私はタクミが好き。ずっと前から好きだった。貴方にあんな事言われたら、もう自分の気持ちを伝えずにはいられないよ…」
すると次の瞬間、私はタクミに抱き締められていた。
「僕も…君が好きだよ、ナマエ…!ずっと怖かったんだ…もしこの関係が壊れたらって思うと……」
「ふふ、私と同じ事考えてる。でも、もう大丈夫…だよね?」
「ナマエ…」
お互いしばらく見つめ合うと、ふとここがバーである事を思い出した。
そしてある事に気付く。
「あれ…そういえばあの人は?」
「本当だ…居なくなってる」
「あのお方は顔を真っ赤にされてお帰りになられましたよ。まだ飲まれていなかったのに…不思議ですねぇ」
マスターは笑いながらそう話してくれて私達も釣られて笑い出す。
「さて…仕切り直しといこうか。夜はまだこれからなんだから」
「もちろん。喜んで」
~end~
リクエストのタクミ夢でした!
ちゃんとご希望に添えられていますでしょうか…?
ちなみに、お話に出て来た各々のカクテル言葉は
ブルーラグーン…誠実な愛
マルガリータ…無言の愛
ハイライフ…私は貴方に相応しい
となっているのですが、キャラそれぞれにカクテル言葉の設定が生かされていたかは微妙なところですね…
これも私の力不足です、本当に申し訳ありません…!
もしお気に召しませんでしたら、遠慮なくお申し付けください汗
では、この度は本当にありがとうございました!!
「ナマエ」
ある日の昼下がり、私に声を掛けてきたのはタクミだ。
「タクミ。どうしたの?」
「今日も…いいかな?」
「あ、うん。分かった。夜にいつものところで大丈夫?」
「うん。ありがとう…それじゃあ、また夜にね」
そう約束だけするとタクミは満足そうに去っていった。
私達はよく夜に街にあるバーで飲んでいる。
お酒を飲みながらただ色々な話をする…特に何がある訳でもなく本当にそれだけ。
この関係を一言で表すなら、まさに友達以上恋人未満…いや、寧ろ親友かな…?
本当は親友以上になりたいなんて思ってる事、タクミは知らないだろうな…
この心地良い関係を壊したくない…その思いが強いせいで、私はずっと自分の気持ちに嘘をつき続けていた。
「見つけた。こんなところにいたんだね…」
私の前に現れたのは英雄ではなく、特務機関の一兵士である男性だ。
この人は数日前から私につきまとってくる、言ってしまえばストーカーみたいなもの。
正直、名前も知らないし、しつこいから関わらないで欲しいんだけど…
同じ特務機関だからあまり下手な扱いは出来ないというか……
「!貴方…私に何か用ですか?」
「今日こそは僕のものになってもらおうと思ってね。そろそろ僕の気持ちに振り向いてくれないかな…?」
「悪いですがお断りします」
きっぱりとそう断ってから彼の横を通り過ぎる。
その瞬間、彼がニヤリと笑みを浮かべて口を開いた。
「…そう強気でいられるのも今のうちだ…今夜、君は僕のものになる。今から楽しみだよ……」
「…?」
彼はそれだけ言うとどこかへ行ってしまった。
いつもはもっとつきまとってくるのに、今日はやけに諦めるのが早い…
それに今の言葉はどういう意味…?
私は不気味に思いながらもタクミとの約束の夜を待った。
あれから何事も無く夜が訪れ、私は約束通り街のバーへと足を運んだ。
「あ、タクミ!」
「遅いよ。待ちくたびれちゃったじゃないか」
「ごっごめん…」
「嘘。そんなに落ち込まないでよ。ほら、ここ座りなよ」
私の様子を見て面白おかしく笑うタクミに軽く怒りながらも、私はいつものように彼の隣に座る。
「今日は何を飲まれますか?」
バーのマスターが聞いてくれて私は少し考えた。
…少し狙ってみようかな?
「あ…じゃあ、ブルーラグーンをお願いします」
「かしこまりました」
私の注文を聞いたマスターは心なしか楽しそうに笑ったように見えた。
何か、少し恥ずかしいかも…
私はチラッとタクミが既に頼んでいたカクテルに目を向けた。
「今日は何を飲んでるの?」
「え…?あっあぁ、マルガリータだよ」
「へぇ。結構強めのお酒だよね?大丈夫?」
「子供じゃないんだ、馬鹿にするなよ」
そう言うタクミの顔はもうほんのりと赤い気がする。
いつもはあまり強くないものを頼むのに…今日はどうしたんだろう。
「お待たせしました。ブルーラグーンでございます」
マスターが私の前にそっと差し出してくれたのは、澄んだ青色をしていてオレンジ、レモン、チェリーが添えられたカクテルだ。
一言マスターにお礼を伝えると、私は少しの間そのカクテルを見つめた。
タクミは…カクテルの意味、知ってるかな?
カクテルからタクミへ視線を移すと目が合った。
ドキリと胸が高鳴り、少し緊張してしまう。
「ナマエ、あのさ…」
そのまま彼が何かを言おうと口を開いた時だった。
「ナマエさん、待ったかい?」
急に名前を呼ばれたかと思いきや、バーに入ってきたのは昼間に会ったあの男性。
そして何の断りもなく私の空いている左隣へと腰を下ろした。
「なっ何ですか。どうして貴方がここに…」
「つれないなぁ…そんなに照れなくてもいいのに。あ、マスター、ハイライフを頼むよ」
マスターに注文を済ませると、彼はカウンターに肘をついてニヤニヤしながら私を見つめてくる。
「言っただろう?今夜、君は僕のものになるって…」
「知りません、そんなの」
すると右隣に座るタクミがクッと私の腕を引っ張り、不機嫌そうに男性を見ながら聞いてきた。
「ねえ、誰なの?そいつ…随分とナマエに馴れ馴れしいみたいだけど」
「おっと、自己紹介が遅れました。僕は特務機関に属する兵士で、ナマエさんの恋人となる男です。以後お見知り置きを…英雄タクミ様」
「なっ…恋人って、何言ってるんだ!?」
男性のとんでも発言にただ目を丸くする事しか出来ない。
正直、ここまでブッとんでるとは思わなかったというか…
……いや、今までのストーカー行為からしたらそこまでおかしくもないのかも…
「そのままの意味ですよ。僕はナマエさんにとって相応しい…そうだろう?」
「っ…!いやっ!」
彼は私の顎を指でクッと上げさせ、私は思わず顔を背けるとタクミが席を立ち間に入ってくれた。
「こんなにも嫌がられてるのによくそんな事が言えたものだね。逆に清々しいよ」
「彼女は嫌がっているのではなくただ照れているだけですよ。それに、自分の気持ちをいつまでも素直に伝えられない貴方に言われたくはありませんねぇ?」
男性の言葉にタクミはどこか引っかかったような表情を見せると拳を握り締めていた。
タクミ…?
「英雄と謳われる貴方も所詮は気持ちすら伝えられない臆病な方なんですね~?やはりナマエさんに相応しいのはこの僕…」
「違う…」
男性の言葉を遮るように口を開いたのはタクミだ。
その顔は怒りではなく、とても真剣なもので…
「あんたはナマエの何を知ってる?彼女が毎回犠牲を出さないために、どれだけ悩んで戦場で指示を出しているか知ってるか?英雄達だけじゃない、あんた達兵士一人一人の事もちゃんと考えてるんだ。そんな影で苦労している事も知らないような人間に、ナマエに相応しいだなんて言う資格はない!」
タクミの声がバーに静かに響いた。
男性も彼の気迫に怖気付いたのか少し後ずさっている。
「なっなんだよ…それと気持ちを伝えるのと何の関係があるんだよ!?」
「重さだよ。ナマエの事を何も知らないから軽々しくあんな事が言えるんだ。人の上に立って指揮する者はただでさえ色々な事を背負ってる…そんな人に自分の気持ちを伝えたら、もしかしたらそれがさらなる負担になるかもしれない。僕はそれが怖い…自分がナマエの重荷なる事が何よりも…」
私はそこまで聞くと、タクミの背中にそっと寄り添った。
「ううん、そんな事ない…そんな事ないよ、タクミ。貴方の気持ちが私の負担になるなんて事…だって、私も同じ気持ちだから」
私がそう口にすると彼はこちらに向き直った。
その顔は目を見開いていて驚いているみたいだ。
「え…僕と同じ気持ちって…」
「私はタクミが好き。ずっと前から好きだった。貴方にあんな事言われたら、もう自分の気持ちを伝えずにはいられないよ…」
すると次の瞬間、私はタクミに抱き締められていた。
「僕も…君が好きだよ、ナマエ…!ずっと怖かったんだ…もしこの関係が壊れたらって思うと……」
「ふふ、私と同じ事考えてる。でも、もう大丈夫…だよね?」
「ナマエ…」
お互いしばらく見つめ合うと、ふとここがバーである事を思い出した。
そしてある事に気付く。
「あれ…そういえばあの人は?」
「本当だ…居なくなってる」
「あのお方は顔を真っ赤にされてお帰りになられましたよ。まだ飲まれていなかったのに…不思議ですねぇ」
マスターは笑いながらそう話してくれて私達も釣られて笑い出す。
「さて…仕切り直しといこうか。夜はまだこれからなんだから」
「もちろん。喜んで」
~end~
リクエストのタクミ夢でした!
ちゃんとご希望に添えられていますでしょうか…?
ちなみに、お話に出て来た各々のカクテル言葉は
ブルーラグーン…誠実な愛
マルガリータ…無言の愛
ハイライフ…私は貴方に相応しい
となっているのですが、キャラそれぞれにカクテル言葉の設定が生かされていたかは微妙なところですね…
これも私の力不足です、本当に申し訳ありません…!
もしお気に召しませんでしたら、遠慮なくお申し付けください汗
では、この度は本当にありがとうございました!!
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