マイヒーロー
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※特務機関の女モブ兵士視点
私は今日も物陰からあのお方を見つめている。
碧色の髪をした男性…英雄エフラム様。
どうして見てしまうのかというと、それは私が彼に対して恋心を抱いているから。
私がエフラム様を好きになったのはある戦闘での事……
召喚士であるナマエ様の指揮の下、私達特務機関は戦闘に赴いていた。
その戦闘で私が敵兵士と戦っていた時、不意を突かれそうになりやられるのを覚悟した瞬間があった。
けれど、エフラム様が身を呈して私の事を守ってくださったのだ。
こんな名前すら知らないただの一兵士である私を…
“大丈夫か?”
たったその一言だけだったけれど、彼はそう言葉を掛けてくれた。
その時からだ。
私が恋に落ちてしまったのは…
身分の差や住む世界が違う事など重々承知している。
けれど…それ以上に私の恋が叶わないという事は分かりきっていた。
だって……
「ナマエ、探したぞ」
「エフラム。どうかした?」
あの方の目に映るのは、最初からナマエ様だけなのだから…
夜、外では花火の上がる音が響いていた。
今日は街の方でお祭りがあったみたいで、夜にはこうして花火が上がるのが恒例行事になっているみたい。
私はお城の廊下の窓から一人で夜空に咲く大輪の花を眺めていた。
「……あ…」
ふと、視界の端に見えた影。
その後ろ姿は誰のものなのかは一瞬で分かった。
エフラム様だ…
お一人で花火を眺めていらっしゃるのだろうか。
…いや、きっとナマエ様を待たれているといったところだろう……
……でも…
私は軽い衝動にかられ、思わず彼の居る外へ飛び出していた。
外へ出てみたのはいいものの、いざとなるとなかなか声をかける事が出来ない。
私、何してるんだろう…
エフラム様はこんな私でも声をかければちゃんと対応してくださるお方だろう。
だけど、声をかけたからといって…
一人でそんな事を考えていると、夜空を見上げていたエフラム様が気配を察したのか私の方を振り返った。
「…お前は…?」
「あ……あっあの、エフラム様…!この間は助けてくださり本当にありがとうございました…!!」
思わず勢いでお辞儀をすると、エフラム様からは“ああ”と思い出してくれたかのような声がした。
「あの時の戦闘での兵士か。そんなお礼を言われる事じゃない、気にするな」
「!」
覚えていて、くださったんだ……
私はその事に嬉しさで舞い上がってしまいそうだった。
「わざわざそれを伝えるために来てくれたのか?」
「はっはい…貴方様は命の恩人ですから…!」
「律儀なやつだな。同じ仲間なんだから当然の事をしたまでだ」
ああ、こうしてエフラム様と話せるなんて夢みたい……
たとえ私の事はただの特務機関の仲間としか思われていなくても、私を見てくれている今この瞬間がたまらなく幸せだ。
「あの、エフラム様は…誰かを待たれているのですか?」
「え?あぁ……まあ、な…」
その少し照れたようにはにかんだ彼の顔を見れば、誰を待っているかなんてすぐに分かる。
後ろで上がる花火に照らされたお顔は本当に美しくて…
私がエフラム様に恋をしている顔と同じ……
「……エフラム様、私…っ!」
その瞬間、一際大きな花火が夜空を彩った。
「これはすごいな…見事なものだ」
エフラム様はその花火に釘付けになっているのか夜空に視線を向けたまま。
「…あ、ナマエだ。悪いが俺はもう行くな」
「あ……」
片手を軽く上げてこの場を去っていく彼の背中をただ黙って見る事しか出来ない。
エフラム様の行く先にはやはりナマエ様のお姿がある。
合流をされ仲睦まじく歩くお二人に私の胸は締め付けられるばかりだ。
「最初から、分かりきってたはずなんだけどなぁ……」
“貴方の事が好きです”
私が口にした想いは花火に掻き消されてしまった。
きっと彼の耳に届いていたとしても、相手になんてされないのは知っている。
それでも想いを伝えるのは私の自由だ。
たとえそれが決して叶わない想いだったとしても…
私はもう届かぬ想いを胸に、花火の音と火薬の匂いを静かに感じていた。
~end~
片想いのモブ視点のお話、如何でしたでしょうか?
夢なので結局は夢主がおいしい思いするお話になっちゃいますが、こういうモブ視点のお話書いてみたかったんですよ…!
エフラムと夢主の絡み全然無くてすみません…
あと、このお話とタイトルはあるゲームとその音楽から影響を受けて書いたので、分かる人にはすぐに分かると思います笑
では、長文失礼致しましたm(_ _)m
私は今日も物陰からあのお方を見つめている。
碧色の髪をした男性…英雄エフラム様。
どうして見てしまうのかというと、それは私が彼に対して恋心を抱いているから。
私がエフラム様を好きになったのはある戦闘での事……
召喚士であるナマエ様の指揮の下、私達特務機関は戦闘に赴いていた。
その戦闘で私が敵兵士と戦っていた時、不意を突かれそうになりやられるのを覚悟した瞬間があった。
けれど、エフラム様が身を呈して私の事を守ってくださったのだ。
こんな名前すら知らないただの一兵士である私を…
“大丈夫か?”
たったその一言だけだったけれど、彼はそう言葉を掛けてくれた。
その時からだ。
私が恋に落ちてしまったのは…
身分の差や住む世界が違う事など重々承知している。
けれど…それ以上に私の恋が叶わないという事は分かりきっていた。
だって……
「ナマエ、探したぞ」
「エフラム。どうかした?」
あの方の目に映るのは、最初からナマエ様だけなのだから…
夜、外では花火の上がる音が響いていた。
今日は街の方でお祭りがあったみたいで、夜にはこうして花火が上がるのが恒例行事になっているみたい。
私はお城の廊下の窓から一人で夜空に咲く大輪の花を眺めていた。
「……あ…」
ふと、視界の端に見えた影。
その後ろ姿は誰のものなのかは一瞬で分かった。
エフラム様だ…
お一人で花火を眺めていらっしゃるのだろうか。
…いや、きっとナマエ様を待たれているといったところだろう……
……でも…
私は軽い衝動にかられ、思わず彼の居る外へ飛び出していた。
外へ出てみたのはいいものの、いざとなるとなかなか声をかける事が出来ない。
私、何してるんだろう…
エフラム様はこんな私でも声をかければちゃんと対応してくださるお方だろう。
だけど、声をかけたからといって…
一人でそんな事を考えていると、夜空を見上げていたエフラム様が気配を察したのか私の方を振り返った。
「…お前は…?」
「あ……あっあの、エフラム様…!この間は助けてくださり本当にありがとうございました…!!」
思わず勢いでお辞儀をすると、エフラム様からは“ああ”と思い出してくれたかのような声がした。
「あの時の戦闘での兵士か。そんなお礼を言われる事じゃない、気にするな」
「!」
覚えていて、くださったんだ……
私はその事に嬉しさで舞い上がってしまいそうだった。
「わざわざそれを伝えるために来てくれたのか?」
「はっはい…貴方様は命の恩人ですから…!」
「律儀なやつだな。同じ仲間なんだから当然の事をしたまでだ」
ああ、こうしてエフラム様と話せるなんて夢みたい……
たとえ私の事はただの特務機関の仲間としか思われていなくても、私を見てくれている今この瞬間がたまらなく幸せだ。
「あの、エフラム様は…誰かを待たれているのですか?」
「え?あぁ……まあ、な…」
その少し照れたようにはにかんだ彼の顔を見れば、誰を待っているかなんてすぐに分かる。
後ろで上がる花火に照らされたお顔は本当に美しくて…
私がエフラム様に恋をしている顔と同じ……
「……エフラム様、私…っ!」
その瞬間、一際大きな花火が夜空を彩った。
「これはすごいな…見事なものだ」
エフラム様はその花火に釘付けになっているのか夜空に視線を向けたまま。
「…あ、ナマエだ。悪いが俺はもう行くな」
「あ……」
片手を軽く上げてこの場を去っていく彼の背中をただ黙って見る事しか出来ない。
エフラム様の行く先にはやはりナマエ様のお姿がある。
合流をされ仲睦まじく歩くお二人に私の胸は締め付けられるばかりだ。
「最初から、分かりきってたはずなんだけどなぁ……」
“貴方の事が好きです”
私が口にした想いは花火に掻き消されてしまった。
きっと彼の耳に届いていたとしても、相手になんてされないのは知っている。
それでも想いを伝えるのは私の自由だ。
たとえそれが決して叶わない想いだったとしても…
私はもう届かぬ想いを胸に、花火の音と火薬の匂いを静かに感じていた。
~end~
片想いのモブ視点のお話、如何でしたでしょうか?
夢なので結局は夢主がおいしい思いするお話になっちゃいますが、こういうモブ視点のお話書いてみたかったんですよ…!
エフラムと夢主の絡み全然無くてすみません…
あと、このお話とタイトルはあるゲームとその音楽から影響を受けて書いたので、分かる人にはすぐに分かると思います笑
では、長文失礼致しましたm(_ _)m
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