マイヒーロー
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「ん……」
ゆっくりと瞼を開く。
視界に映るのは月明かりだけが照らす薄暗い自分の部屋。
「目、覚めちゃった…」
ベッドの上で一人そう呟いた。
いつもは一度眠りにつけば朝まで目覚める事はない。
今日は何故だか途中で起きてしまったみたいだ。
窓から見える外を見るに時刻はまだ夜中あたりだろう。
「……風にでもあたりに行こうかな」
中々もう一度寝つけられそうになく、私はベッドから降りると部屋から出た。
「…あれ、誰かいる…?」
私が向かったのは部屋を出た廊下の一番奥にある小さなバルコニー。
そこに誰かの後ろ姿がうっすらと見えるのだ。
ゆっくりと近付いていると、その人物が私に気付いたのかこちらを振り返った。
「……ナマエ?」
その聞き覚えのある声に少し強張っていた体がほぐれるのを感じた。
「あ……セリス…だよね?」
「うん。やっぱりナマエだ。こんな夜中にどうしたんだい?」
不思議そうに見つめてくるのはシグルド様のご子息であるセリスだ。
いつもの服装ではなく、寝間着を着ていて白いハチマキも外しているため少し新鮮に感じる。
「ちょっと目が覚めちゃって…気分転換に風にでも当たろうかなと」
「あはは、僕も同じだよ。まさかナマエもなんてね。良かったら隣においでよ」
その言葉に嬉しさを感じながらも私はお言葉に甘えて彼の隣に立った。
「今日は星がとても綺麗なんだよ」
「本当だ…すごい……」
セリスに言われて空を見上げれば、そこにはまさに満点の星空が広がっていた。
日本ではあまり見る事の出来なかった光景に思わず目を奪われる。
…そういえば、この世界に来てからこうやって自然をゆっくりと見る事って無かったかも……
「…たとえ世界が違っても、どの世界でもこうして同じ空が広がっていると思ったら…何だか不思議な気分になるな」
ふとセリスが空を見上げたままそう言葉を漏らす。
「今この世界でこうして空を見ていれば、元の世界での事を思い出す。それは僕が元の世界に戻って空を見た時にも言える事で……」
彼はそこまで言うと空から私へと視線を移した。
あの青い瞳に見つめられて少しドキッとする。
「ねえ、ナマエ。もしこの世界が平和になって…僕達英雄の役割が果たされた時、それはきっと元の世界に帰らなければならい時だ。そして君も…」
私はただ黙って彼の話に耳を傾ける事しか出来ない。
「元の世界には帰りたいと思う…けど、もし元の世界に帰ってしまったら父上達とはもう二度と会えないかもしれない。それに…君とも離れたくない…強く、そう思ってしまうんだ」
ドクドクと心臓の鼓動が高鳴る。
どう言う意味で言ったのかは分からない…けれど、こんなにも期待してしまうのは紛れもなく私がセリスの事を想っているから。
心を落ち着かせようとしながら、私はただ彼の話の続きを待った。
「こんなのはただのわがままだと分かっているつもりさ…元々は僕達は出会うはずがなかったのだから。それでも僕は…君とこれからも生きていきたい。傍に居て欲しいんだ」
「セリ、ス……」
相変わらずうるさい胸の鼓動を抑えながら、私は少し冷静になって考える。
「……私もね、実を言うとセリスと離れたくない。でも私の離れたくないって気持ちは、きっと貴方のとは違う…」
「え……」
私は隣にいるセリスから少し距離を取るように後ろへ下がった。
「好きだから…セリスに恋をしてしまっているから……セリスは共に過ごした仲間だから、そう思ってくれてるんだよね…」
言ってしまった。
けど、不思議と後悔はしていない。
本当に…躊躇いとか何もなく、自然と口から出てきたんだ。
「あはは…急に何言ってるんだって感じだよね…!じゃあ、私もう寝るね。おやすみ……」
呆気にとられたような表情の彼に背を向けて逃げるように走り出そうとした。
「まっ待って!!」
セリスの少し大きな声が静かな廊下に響き渡ると同時に、私の腕を掴んだのは彼の手。
私は驚きで足を止めると首だけでセリスの方を向いた。
「本当…?」
「え…?」
「僕の事が好きって…」
目を真っ直ぐに見つめながら聞かれたその問いに、私は緊張しながらも静かに頷く。
すると彼は掴んでいた私の腕をそのまま自分の方へ引き寄せると、額同士をくっつけてきた。
「ああ、嬉しいよ…君が僕と同じ気持ちでいてくれてたなんて…僕も君が好きだ、ナマエ。出会ってからずっと…」
その本当に嬉しそうな声にずっとうるさかった心臓の鼓動がやっと落ち着いた気がした。
相手の気持ちが自分の気持ちと同じだと知った途端、嘘みたいに心が穏やかになる…
好きな人に想ってもらえるのって、こんなにも幸せな事だったんだね……
それからセリスがゆっくりと私の頬を撫でてきたためくすぐったく感じてしまう。
「ふふ…セリスの手、冷たい。ちょっと外に出過ぎじゃない?」
「言われてみれば…君の頬が温かいから余計に気が付いたよ」
そう言って苦笑いを浮かべる彼に、私も自然と頬が緩む。
セリスの笑った顔…どこかあどけなさを感じて可愛いんだよなぁ…
こんな事本人に言ったらきっと怒られてしまうから言えないけど…
「風邪引いたら大変だからもう戻ろっか」
「そうだね。…せっかくだし、一緒に寝る?」
「……変な事しないならね」
「はは、頑張るよ」
二人並んで歩く廊下で自然と手を繋ぐ。
次に感じた彼の温もりはとても温かかった。
~end~
リクエストのセリス夢でした!
甘い…のか?これは…
もしお気に召しませんでしたら、遠慮なくお申し付けください汗
では、この度は本当にありがとうございました!!
ゆっくりと瞼を開く。
視界に映るのは月明かりだけが照らす薄暗い自分の部屋。
「目、覚めちゃった…」
ベッドの上で一人そう呟いた。
いつもは一度眠りにつけば朝まで目覚める事はない。
今日は何故だか途中で起きてしまったみたいだ。
窓から見える外を見るに時刻はまだ夜中あたりだろう。
「……風にでもあたりに行こうかな」
中々もう一度寝つけられそうになく、私はベッドから降りると部屋から出た。
「…あれ、誰かいる…?」
私が向かったのは部屋を出た廊下の一番奥にある小さなバルコニー。
そこに誰かの後ろ姿がうっすらと見えるのだ。
ゆっくりと近付いていると、その人物が私に気付いたのかこちらを振り返った。
「……ナマエ?」
その聞き覚えのある声に少し強張っていた体がほぐれるのを感じた。
「あ……セリス…だよね?」
「うん。やっぱりナマエだ。こんな夜中にどうしたんだい?」
不思議そうに見つめてくるのはシグルド様のご子息であるセリスだ。
いつもの服装ではなく、寝間着を着ていて白いハチマキも外しているため少し新鮮に感じる。
「ちょっと目が覚めちゃって…気分転換に風にでも当たろうかなと」
「あはは、僕も同じだよ。まさかナマエもなんてね。良かったら隣においでよ」
その言葉に嬉しさを感じながらも私はお言葉に甘えて彼の隣に立った。
「今日は星がとても綺麗なんだよ」
「本当だ…すごい……」
セリスに言われて空を見上げれば、そこにはまさに満点の星空が広がっていた。
日本ではあまり見る事の出来なかった光景に思わず目を奪われる。
…そういえば、この世界に来てからこうやって自然をゆっくりと見る事って無かったかも……
「…たとえ世界が違っても、どの世界でもこうして同じ空が広がっていると思ったら…何だか不思議な気分になるな」
ふとセリスが空を見上げたままそう言葉を漏らす。
「今この世界でこうして空を見ていれば、元の世界での事を思い出す。それは僕が元の世界に戻って空を見た時にも言える事で……」
彼はそこまで言うと空から私へと視線を移した。
あの青い瞳に見つめられて少しドキッとする。
「ねえ、ナマエ。もしこの世界が平和になって…僕達英雄の役割が果たされた時、それはきっと元の世界に帰らなければならい時だ。そして君も…」
私はただ黙って彼の話に耳を傾ける事しか出来ない。
「元の世界には帰りたいと思う…けど、もし元の世界に帰ってしまったら父上達とはもう二度と会えないかもしれない。それに…君とも離れたくない…強く、そう思ってしまうんだ」
ドクドクと心臓の鼓動が高鳴る。
どう言う意味で言ったのかは分からない…けれど、こんなにも期待してしまうのは紛れもなく私がセリスの事を想っているから。
心を落ち着かせようとしながら、私はただ彼の話の続きを待った。
「こんなのはただのわがままだと分かっているつもりさ…元々は僕達は出会うはずがなかったのだから。それでも僕は…君とこれからも生きていきたい。傍に居て欲しいんだ」
「セリ、ス……」
相変わらずうるさい胸の鼓動を抑えながら、私は少し冷静になって考える。
「……私もね、実を言うとセリスと離れたくない。でも私の離れたくないって気持ちは、きっと貴方のとは違う…」
「え……」
私は隣にいるセリスから少し距離を取るように後ろへ下がった。
「好きだから…セリスに恋をしてしまっているから……セリスは共に過ごした仲間だから、そう思ってくれてるんだよね…」
言ってしまった。
けど、不思議と後悔はしていない。
本当に…躊躇いとか何もなく、自然と口から出てきたんだ。
「あはは…急に何言ってるんだって感じだよね…!じゃあ、私もう寝るね。おやすみ……」
呆気にとられたような表情の彼に背を向けて逃げるように走り出そうとした。
「まっ待って!!」
セリスの少し大きな声が静かな廊下に響き渡ると同時に、私の腕を掴んだのは彼の手。
私は驚きで足を止めると首だけでセリスの方を向いた。
「本当…?」
「え…?」
「僕の事が好きって…」
目を真っ直ぐに見つめながら聞かれたその問いに、私は緊張しながらも静かに頷く。
すると彼は掴んでいた私の腕をそのまま自分の方へ引き寄せると、額同士をくっつけてきた。
「ああ、嬉しいよ…君が僕と同じ気持ちでいてくれてたなんて…僕も君が好きだ、ナマエ。出会ってからずっと…」
その本当に嬉しそうな声にずっとうるさかった心臓の鼓動がやっと落ち着いた気がした。
相手の気持ちが自分の気持ちと同じだと知った途端、嘘みたいに心が穏やかになる…
好きな人に想ってもらえるのって、こんなにも幸せな事だったんだね……
それからセリスがゆっくりと私の頬を撫でてきたためくすぐったく感じてしまう。
「ふふ…セリスの手、冷たい。ちょっと外に出過ぎじゃない?」
「言われてみれば…君の頬が温かいから余計に気が付いたよ」
そう言って苦笑いを浮かべる彼に、私も自然と頬が緩む。
セリスの笑った顔…どこかあどけなさを感じて可愛いんだよなぁ…
こんな事本人に言ったらきっと怒られてしまうから言えないけど…
「風邪引いたら大変だからもう戻ろっか」
「そうだね。…せっかくだし、一緒に寝る?」
「……変な事しないならね」
「はは、頑張るよ」
二人並んで歩く廊下で自然と手を繋ぐ。
次に感じた彼の温もりはとても温かかった。
~end~
リクエストのセリス夢でした!
甘い…のか?これは…
もしお気に召しませんでしたら、遠慮なくお申し付けください汗
では、この度は本当にありがとうございました!!
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