マイヒーロー
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「んー…良いお天気…!」
私は精一杯伸びをして空気を大きく吸い込んだ。
晴れ渡る青い空の下には花々が咲き誇る広い草原。
澄み切ったこの空気は連日戦闘続きで疲れた体を癒してくれる。
「今日は絶好の外出日和だな」
「はい、本当に」
私の少し後ろから歩いて来るのは恋人のエルトシャン様と息子のアレス。
二人共いつもは少し堅い表情をしているけれど、こういう時は柔らかな表情になってくれるからちょっと嬉しかったりする。
「母上は本当にこの場所が好きですね」
「だって、ここは思い出の場所だから…」
思い出の場所…
私がここを初めて訪れた時は、この世界に来てからまだ日が浅い時。
戦争という今までとはかけ離れた生活から少しでも逃れるかのように、ここを見つけて以来時間が出来れば足を運んでいた。
ある日、いつものように一人でこの場所に居たところ偶然エルトシャン様が通りかかったんだ。
その時はまだ出会ったばかりでどこか近寄り難い雰囲気の彼に私から距離を置いていたっけ…
けれど戦いで疲弊し切っていた私の心に気付いていかのように、彼は私の話を真剣に聞いてくださったんだ。
「その頃かな…いつの間にかここで自然と二人で会うようになったのは」
「そうだったのですか…では、ここはお二人の特別な場所なのですね」
アレスの言葉にエルトシャン様は笑みを浮かべると、私の肩を抱き寄せて口を開いた。
「ああ、そうだな。たとえ元の世界の場所でなくとも、俺達の大切な場所だという事には変わりない」
「エルトシャン様…」
その言葉に胸が甘く締め付けられる。
「それなら俺にとってもここは特別な場所になります。この場所があったからこそ、お二人は一緒になる事が出来たのですから…」
「そうだね。ここは家族の思い出の場所…また三人で来たいな」
「次の戦いも生き抜いて、必ずまた家族三人で来よう」
また家族三人で……
そう交わした、小さな約束。
たった一つの約束だけで、生きる希望を強く持てる。
でも、私にとっての一番の生きる希望はエルトシャン様とアレス…彼らそのものなんだ。
そして時間は流れ、太陽は沈み夜が訪れた。
私とエルトシャン様は就寝する準備を始める。
彼が寝間着に着替えようとした時、私はずっと言おうと思っていた事を思い切って口にした。
「あっあの、エルトシャン様…」
「どうした?」
「その…ご迷惑でなければ貴方のシャツを着てみたいなと……」
恥ずかしさから俯き気味に聞いてしまった。
何を言っているのだと呆れられてしまったかな…
「俺のシャツを…?別に構わないが…お前の体には大き過ぎるんじゃないか?」
「大きさは全然大丈夫です…!何というか…一度だけで良いので、エルトシャン様のシャツを寝間着に寝てみたいと思っていて……」
すると彼はクスリと笑うと、いつも寝る時に着ているシャツを一枚手渡してくれた。
「!いいんですか?」
「ああ。そんな可愛らしい頼み、いくらでも聞いてやろう。ついでに俺が着せてやるが?」
「そっそれは遠慮します…!」
そんな事をさせてしまったら、彼の事だからきっとすぐにいつもの行為が始まってしまう…
折角こうしてエルトシャン様のシャツを着れるんだから今日くらいは我慢してもらいたい……
私はエルトシャン様が後ろを向いている隙にシャツを着た。
「もう大丈夫ですよ」
「ああ………」
彼は私の言葉に振り返ると、私を見つめたまま固まってしまった。
…もしかして引いてしまっているのかも……
そう思いかけた時、エルトシャン様は口を片手で覆った状態で口を開いた。
心なしか顔が少し赤いような…
「参ったな…自分の服を着た彼女がこうも破壊力があるとは……」
「エルトシャン様…?」
「俺は何故今まで気付けなかったんだ…自分の服を着せる機会など沢山あっただろう…特に行為後は__」
一人で何かを呟く彼を他所に、私は改めて自分の着ているシャツに目を向ける。
やっぱり少し大きいかな…
サイズは私の膝辺りまでをすっぽりと覆ってしまう程だ。
シャツというよりこれじゃワンピースを着ているみたい…
でも……シャツからはエルトシャン様の匂いがする。
すごく安心するな………
「これを着ていると、何だかエルトシャン様に抱き締められているみたいです…えへへ、大好きな人を常に感じられるような気がして嬉しいですね…」
思わず本音を出してしまった。
その途端、エルトシャン様は私の腕を掴んで引き寄せたかと思いきや、そのままぎゅっと抱き締めてきたのだ。
「お前はどれだけ俺を翻弄すれば気が済むんだ…自分が言っている意味を分かってるのか?」
「えっ…わっ私、何か失礼な事を…!?」
「違う……ああ、クソ…!」
エルトシャン様は私を抱き締めたままベッドへと横になる。
それから自分の顔に彼の息がかかるほど顔を近付けられて…
「本物の俺よりもシャツの方が良いか?」
「そっそんな事…あるわけ、ないじゃないですか…」
「ふっ…だろうな」
さっきまでの表情はどこへやら、いつもの妖艶かつ余裕のある彼の笑みが。
そのままほんの少し距離を詰められれば温かい唇に私の唇は塞がれた。
それに応えるように私は彼の背中へ自然と手を回す。
「…今日の昼間、アレスに俺達の馴れ初めを話したの覚えてるか?」
「はい、もちろん」
「俺達が初めてあの場所で出会った時…あれは偶然なんかじゃなかったんだぞ」
「え…?」
その言葉に私は彼の目をじっと見つめる。
「ナマエが気になっていた俺は、お前が毎日のように戦闘後あの場所に行っているのに気付いた。それで偶然を装ってお前に近付いたんだが…気付いてなかったか?」
「いえ、全く…」
初めて知るその真実に少し驚いた。
まさかエルトシャン様があの頃から私を気にしてくれていたなんて…
そう思うと同時に嬉しさで自然と頬が緩む。
「もちろんあの場所は特別な場所だが…たとえあの場所がなかったとしても、俺はお前の後を追いかけていただろうな。俺が好きになったのはナマエなんだから」
「エルトシャン様…はい、私もです。貴方ならきっと場所など関係なく接してくれたと思います」
お互いどちらからともなく笑い合う。
その時、言葉では言い表せられないくらいの幸せで心が満ちていくのを感じた。
「そろそろ寝るか…本当は抱きたいところだが、明日も戦闘があるからな」
「お気遣い感謝します…今日も安心して眠れそうです…」
「ああ、ゆっくり休め。おやすみ…」
~end~
リクエストのエルトシャン夢でした!
ちゃんとご希望通りの内容になっていますでしょうか…?
彼シャツって萌えますよね~色んなキャラで書いてみたくなります笑
では、この度は本当にありがとうございました!!
私は精一杯伸びをして空気を大きく吸い込んだ。
晴れ渡る青い空の下には花々が咲き誇る広い草原。
澄み切ったこの空気は連日戦闘続きで疲れた体を癒してくれる。
「今日は絶好の外出日和だな」
「はい、本当に」
私の少し後ろから歩いて来るのは恋人のエルトシャン様と息子のアレス。
二人共いつもは少し堅い表情をしているけれど、こういう時は柔らかな表情になってくれるからちょっと嬉しかったりする。
「母上は本当にこの場所が好きですね」
「だって、ここは思い出の場所だから…」
思い出の場所…
私がここを初めて訪れた時は、この世界に来てからまだ日が浅い時。
戦争という今までとはかけ離れた生活から少しでも逃れるかのように、ここを見つけて以来時間が出来れば足を運んでいた。
ある日、いつものように一人でこの場所に居たところ偶然エルトシャン様が通りかかったんだ。
その時はまだ出会ったばかりでどこか近寄り難い雰囲気の彼に私から距離を置いていたっけ…
けれど戦いで疲弊し切っていた私の心に気付いていかのように、彼は私の話を真剣に聞いてくださったんだ。
「その頃かな…いつの間にかここで自然と二人で会うようになったのは」
「そうだったのですか…では、ここはお二人の特別な場所なのですね」
アレスの言葉にエルトシャン様は笑みを浮かべると、私の肩を抱き寄せて口を開いた。
「ああ、そうだな。たとえ元の世界の場所でなくとも、俺達の大切な場所だという事には変わりない」
「エルトシャン様…」
その言葉に胸が甘く締め付けられる。
「それなら俺にとってもここは特別な場所になります。この場所があったからこそ、お二人は一緒になる事が出来たのですから…」
「そうだね。ここは家族の思い出の場所…また三人で来たいな」
「次の戦いも生き抜いて、必ずまた家族三人で来よう」
また家族三人で……
そう交わした、小さな約束。
たった一つの約束だけで、生きる希望を強く持てる。
でも、私にとっての一番の生きる希望はエルトシャン様とアレス…彼らそのものなんだ。
そして時間は流れ、太陽は沈み夜が訪れた。
私とエルトシャン様は就寝する準備を始める。
彼が寝間着に着替えようとした時、私はずっと言おうと思っていた事を思い切って口にした。
「あっあの、エルトシャン様…」
「どうした?」
「その…ご迷惑でなければ貴方のシャツを着てみたいなと……」
恥ずかしさから俯き気味に聞いてしまった。
何を言っているのだと呆れられてしまったかな…
「俺のシャツを…?別に構わないが…お前の体には大き過ぎるんじゃないか?」
「大きさは全然大丈夫です…!何というか…一度だけで良いので、エルトシャン様のシャツを寝間着に寝てみたいと思っていて……」
すると彼はクスリと笑うと、いつも寝る時に着ているシャツを一枚手渡してくれた。
「!いいんですか?」
「ああ。そんな可愛らしい頼み、いくらでも聞いてやろう。ついでに俺が着せてやるが?」
「そっそれは遠慮します…!」
そんな事をさせてしまったら、彼の事だからきっとすぐにいつもの行為が始まってしまう…
折角こうしてエルトシャン様のシャツを着れるんだから今日くらいは我慢してもらいたい……
私はエルトシャン様が後ろを向いている隙にシャツを着た。
「もう大丈夫ですよ」
「ああ………」
彼は私の言葉に振り返ると、私を見つめたまま固まってしまった。
…もしかして引いてしまっているのかも……
そう思いかけた時、エルトシャン様は口を片手で覆った状態で口を開いた。
心なしか顔が少し赤いような…
「参ったな…自分の服を着た彼女がこうも破壊力があるとは……」
「エルトシャン様…?」
「俺は何故今まで気付けなかったんだ…自分の服を着せる機会など沢山あっただろう…特に行為後は__」
一人で何かを呟く彼を他所に、私は改めて自分の着ているシャツに目を向ける。
やっぱり少し大きいかな…
サイズは私の膝辺りまでをすっぽりと覆ってしまう程だ。
シャツというよりこれじゃワンピースを着ているみたい…
でも……シャツからはエルトシャン様の匂いがする。
すごく安心するな………
「これを着ていると、何だかエルトシャン様に抱き締められているみたいです…えへへ、大好きな人を常に感じられるような気がして嬉しいですね…」
思わず本音を出してしまった。
その途端、エルトシャン様は私の腕を掴んで引き寄せたかと思いきや、そのままぎゅっと抱き締めてきたのだ。
「お前はどれだけ俺を翻弄すれば気が済むんだ…自分が言っている意味を分かってるのか?」
「えっ…わっ私、何か失礼な事を…!?」
「違う……ああ、クソ…!」
エルトシャン様は私を抱き締めたままベッドへと横になる。
それから自分の顔に彼の息がかかるほど顔を近付けられて…
「本物の俺よりもシャツの方が良いか?」
「そっそんな事…あるわけ、ないじゃないですか…」
「ふっ…だろうな」
さっきまでの表情はどこへやら、いつもの妖艶かつ余裕のある彼の笑みが。
そのままほんの少し距離を詰められれば温かい唇に私の唇は塞がれた。
それに応えるように私は彼の背中へ自然と手を回す。
「…今日の昼間、アレスに俺達の馴れ初めを話したの覚えてるか?」
「はい、もちろん」
「俺達が初めてあの場所で出会った時…あれは偶然なんかじゃなかったんだぞ」
「え…?」
その言葉に私は彼の目をじっと見つめる。
「ナマエが気になっていた俺は、お前が毎日のように戦闘後あの場所に行っているのに気付いた。それで偶然を装ってお前に近付いたんだが…気付いてなかったか?」
「いえ、全く…」
初めて知るその真実に少し驚いた。
まさかエルトシャン様があの頃から私を気にしてくれていたなんて…
そう思うと同時に嬉しさで自然と頬が緩む。
「もちろんあの場所は特別な場所だが…たとえあの場所がなかったとしても、俺はお前の後を追いかけていただろうな。俺が好きになったのはナマエなんだから」
「エルトシャン様…はい、私もです。貴方ならきっと場所など関係なく接してくれたと思います」
お互いどちらからともなく笑い合う。
その時、言葉では言い表せられないくらいの幸せで心が満ちていくのを感じた。
「そろそろ寝るか…本当は抱きたいところだが、明日も戦闘があるからな」
「お気遣い感謝します…今日も安心して眠れそうです…」
「ああ、ゆっくり休め。おやすみ…」
~end~
リクエストのエルトシャン夢でした!
ちゃんとご希望通りの内容になっていますでしょうか…?
彼シャツって萌えますよね~色んなキャラで書いてみたくなります笑
では、この度は本当にありがとうございました!!
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