第四章-守り守られ-
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一夜が明けた翌日…
私達は朝早くダルレカを発ちついにデイン王都に着いた。
「とうとうたどり着いたな。ここがデイン王都か…国王アシュナード…奴さえ討てれば、この戦いは終わるんだな?」
「うん…そうだね」
アイクの言葉に私は静かに頷く。
「……アイク、ここには…」
そこにナーシルさんがやって来た。
「王都を攻めるには…人数が少なすぎはしないか?相手は…狂王と呼ばれるほどの男…どんな卑劣な罠を用意しているか…」
「確かにそうですね…」
ナーシルさんの言ったことに素直に納得した。
この戦いで…何が起きてもおかしくない。
そんな緊張感がみんなから感じられるのも確かだった。
「その可能性はありそうね。クリミア軍が攻めてきた報は伝わっているでしょうに…あまりにも静か過ぎるわ」
ティアマトさんの言う通り、辺りは本当に静かだった。
「どうやら戦える者は全て兵力として駆り出されたようですね。女子共は…戦を避けて地方に避難したというところでしょう」
「俺たちは侵略者じゃない。民間の者には手出しは…」
「そんなことは相手には分かりません。皆、自分の国の軍がクリミアの民に何をしたか知っている。その仕返しをされると思えば動作も機敏になるというものです」
セネリオ君が言ったその言葉に反応したのはエリンシア様だった。
「クリミアの民が…どうなったというのです?牢獄に捕らえられているのは、兵士だけでは?」
「……あなたは本当に国を統べる者としての教育を受けていないのですね」
そこへセネリオ君の容赦ない言葉が発される。
「戦に負けた国がどうなるか…家、土地、畑、全てを荒らされその国の民は……もはや同じ人間としては扱われない」
話を聞いているエリンシア様の肩が小さく震えているのに気づき私は彼女を横からそっと抱き締めた。
私も……ここ20年も外部の事なんて知らなかったからその話が怖くて仕方ない。
「クリミアの民も…特にデインの支配力が強い王都近郊では、半獣…ラグズ以下の扱いを受けていることでしょう」
「…そんな……どうしてそんな……酷い………」
「それが分かっているから、自分達を守るものとして民衆は国に税を納めているんです。…国民を守る王族や貴族が戦に負けるというのは、それだけ罪深いものなのですよ。民に対する裏切りに他ならない」
「……う……っ…」
その話にエリンシア様がとうとう泣き出してしまった。
私もあまりにも酷い事実に涙が溢れた。
「セネリオ、もうよせ!リルアだってこの数十年外部のことは何も知らないんだ。だからやめろ…」
アイクが珍しく声を荒げていた。
「………」
「姫…それでも国民の多くは国の復活を願っています。もう一度、自分達の平和な生活を取り戻してくれることを信じて」
ティアマトさんは目を閉じて静かに泣いているエリンシア様に静かにそう言った。
「俺たちにできるのは一刻も早くデイン国王を討ち、クリミアからデインを追い出すことだ。それができるのはあんただけなんだ。…分かるだろう?」
「……は…はい…私…私が……クリミアの民を…救います。必ず……」
声はまだ震えているけど、それはしっかりと意思が込められた言葉だった。
「ティアマト、セネリオ、リルア、それからナーシル。聞いての通りだ。俺はここで退くことをせん。罠があるならそれごと打ち破ってやる。この戦は、ここで終わらせる!」
アイクの言葉にもとても強い意思が込められていて胸に染み渡る。
「ええ。そうしましょう!」
「全てはあなたの望むままに。僕も全力を尽くします」
「私も…謡うことしか出来ないけど、最後まで頑張るよ!」
「……」
みんなが自分の意思を伝え合うなか、ナーシルさんが一人だけ黙っていた理由はまだ知る由も無かった。
私達は朝早くダルレカを発ちついにデイン王都に着いた。
「とうとうたどり着いたな。ここがデイン王都か…国王アシュナード…奴さえ討てれば、この戦いは終わるんだな?」
「うん…そうだね」
アイクの言葉に私は静かに頷く。
「……アイク、ここには…」
そこにナーシルさんがやって来た。
「王都を攻めるには…人数が少なすぎはしないか?相手は…狂王と呼ばれるほどの男…どんな卑劣な罠を用意しているか…」
「確かにそうですね…」
ナーシルさんの言ったことに素直に納得した。
この戦いで…何が起きてもおかしくない。
そんな緊張感がみんなから感じられるのも確かだった。
「その可能性はありそうね。クリミア軍が攻めてきた報は伝わっているでしょうに…あまりにも静か過ぎるわ」
ティアマトさんの言う通り、辺りは本当に静かだった。
「どうやら戦える者は全て兵力として駆り出されたようですね。女子共は…戦を避けて地方に避難したというところでしょう」
「俺たちは侵略者じゃない。民間の者には手出しは…」
「そんなことは相手には分かりません。皆、自分の国の軍がクリミアの民に何をしたか知っている。その仕返しをされると思えば動作も機敏になるというものです」
セネリオ君が言ったその言葉に反応したのはエリンシア様だった。
「クリミアの民が…どうなったというのです?牢獄に捕らえられているのは、兵士だけでは?」
「……あなたは本当に国を統べる者としての教育を受けていないのですね」
そこへセネリオ君の容赦ない言葉が発される。
「戦に負けた国がどうなるか…家、土地、畑、全てを荒らされその国の民は……もはや同じ人間としては扱われない」
話を聞いているエリンシア様の肩が小さく震えているのに気づき私は彼女を横からそっと抱き締めた。
私も……ここ20年も外部の事なんて知らなかったからその話が怖くて仕方ない。
「クリミアの民も…特にデインの支配力が強い王都近郊では、半獣…ラグズ以下の扱いを受けていることでしょう」
「…そんな……どうしてそんな……酷い………」
「それが分かっているから、自分達を守るものとして民衆は国に税を納めているんです。…国民を守る王族や貴族が戦に負けるというのは、それだけ罪深いものなのですよ。民に対する裏切りに他ならない」
「……う……っ…」
その話にエリンシア様がとうとう泣き出してしまった。
私もあまりにも酷い事実に涙が溢れた。
「セネリオ、もうよせ!リルアだってこの数十年外部のことは何も知らないんだ。だからやめろ…」
アイクが珍しく声を荒げていた。
「………」
「姫…それでも国民の多くは国の復活を願っています。もう一度、自分達の平和な生活を取り戻してくれることを信じて」
ティアマトさんは目を閉じて静かに泣いているエリンシア様に静かにそう言った。
「俺たちにできるのは一刻も早くデイン国王を討ち、クリミアからデインを追い出すことだ。それができるのはあんただけなんだ。…分かるだろう?」
「……は…はい…私…私が……クリミアの民を…救います。必ず……」
声はまだ震えているけど、それはしっかりと意思が込められた言葉だった。
「ティアマト、セネリオ、リルア、それからナーシル。聞いての通りだ。俺はここで退くことをせん。罠があるならそれごと打ち破ってやる。この戦は、ここで終わらせる!」
アイクの言葉にもとても強い意思が込められていて胸に染み渡る。
「ええ。そうしましょう!」
「全てはあなたの望むままに。僕も全力を尽くします」
「私も…謡うことしか出来ないけど、最後まで頑張るよ!」
「……」
みんなが自分の意思を伝え合うなか、ナーシルさんが一人だけ黙っていた理由はまだ知る由も無かった。