長きに渡ったあの戦争から二年が過ぎ………


アイクはセフェランさんに言っていた通り、本当に爵位を全て返上した。

そして今は元の傭兵稼業に戻り、平凡な日々を過ごしていた。



困っている人たちを助けて、そのお金で生活をやりくりしている。

毎日依頼があって大変だけど、すごく楽しい毎日だ。


「リルア」
「あ、アイク！お疲れ様」

たった今、鍛錬を終えて戻ってきたアイクにタオルを渡す。

「ありがとう。それ、何してるんだ？」
「あ、お兄ちゃん達に手紙書いてるの」


私は最近中々会えていないお兄ちゃん達に向けて手紙を書いていた。


「そうか。たまにはセリノスに行くのもいいが…中々都合が合わないからな。何か悪いな…」
「ううん、謝らないで。確かに会えないのは寂しいけど、こうやって手紙だけでもやりとりしてれば平気だからっ」

申し訳なさそうな顔をするアイクに私はそう言って笑顔を見せた。


「リルア……」


アイクは私の顔をじっと見たまま、何かしばらく考えるような顔をしていた。


「アイク？」



「…リルア、今日の夜話がある。大事な、話なんだ…」



いつもよりすごく真剣な顔をして言うから少しドキッとしてしまった。


「夜になったら俺のところに来てくれないか？」
「え…？うっうん、分かった」

あまりに真剣なその顔に私はただ頷くしかなかった。



大事な話って、一体なんだろう…



私はその事が気になりながらも夜になるのを待った。