最終章 未来を繋ぐ
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「これで…終わったのですね」
「ええ。邪悪は聖石に封じられました。伝説の再現はここになりましたわ」
「いや、我々の功績はそれ以上に値する。魔王の肉体も今度こそ潰えた。もう二度と、蘇る事はあるまい」
ヒーニアスの言う通り、今回で魔王を完全に倒す事が出来た。
だから…本当に平和が訪れたんだ。
みんな、ここまで誰一人として欠けずに…ちゃんと無事でいる。
「はい。皆のおかげです」
「そうだな。古の時代…五人の英雄はあの魔王を滅ぼし、封印したという。…だが、俺達にはそんな途方もない力などなかった」
「はい。魔王を滅ぼし、この大地に再び平和を取り戻したのは…ここまで共に戦ってくれた皆の…一人一人の力。皆さん、ありがとうございます。本当にありがとう…」
エイリークが涙を浮かばせて、仲間一人一人に頭を下げる。
その様子を見ていると、こちらまで胸が熱くなって涙が出てきてしまいそう。
「戦いは終わった。俺達の勝利だ。さあ、帰還するぞ!」
それぞれが帰るべき場所へ帰っていく中、私は一人動かずにその場で立ちすくんでいた。
ついて来ない私に気付いたのか、エフラムがこちらを振り返って駆け寄って来てくれる。
「どうした?ナマエ」
「エフラム様…」
私は俯いたまま、ギュッと服の裾を握り締めた。
そして少しだけ震える声で話し出す。
「私は…本当にここにいてもいいのでしょうか。この世界の人間ではない事を、ずっと隠してきて…何より、エフラム様にご迷惑を……」
さっきは…正直、あの状況で感情に任せて言ってしまった感がある。
この世界に残りたい、エフラムの隣にいたいと思ったのは本当だ。
でも…この世界に残ってエフラムと生きていくと言う事は、彼を私という存在で縛り付けてしまうという事。
その時、私の両肩には大きな手が優しく置かれた。
反射的に顔を上げれば、エフラムは額同士をくっつけて口を開く。
「言っただろう。そんな事はどうでもいいって。たとえ世界が違っていようが、お前がこの世界に居たいと思ってくれてるのなら、それでいいんだ」
「!」
碧色の瞳の中に、私の顔が映っている。
その顔は…もう迷いのない、決意したもの。
「…エフラム様、手を貸してくれませんか?」
「手を?ああ…」
彼は言う通りに手を出してくれた。
私はその手を両手で包み込むようにする。
そして手を離せば、彼の手の上にはきらりと光るものが姿を見せた。
「これは…」
「ルネスの聖石のかけらです。リオン皇子は…それを使えば、私は元の世界に帰れると仰っていました」
エフラムは少し驚いた顔で聖石のかけらから私へと視線を戻す。
そんな彼に私は落ち着いた声で話を続けた。
「ですが…もう私は選んだのです。エフラム様と共に生きる未来を。なので、それはエフラム様が持っていてくれませんか?」
「…いや、それは出来ない」
予想外の答えを返され、今度は私が驚いてしまう。
するとエフラムはそのかけらを強く握り締めて砕いてしまった。
小さなかけらは一瞬にしてキラキラと風と共に舞っていく。
「もう必要ないんだ。だから俺が持っている必要もない。そうだろう?」
「あ…ふふ、そうですね」
そして私の目の前には広げられた掌が。
もう、その回数を数える事もない。
「さあ、行こう。俺達の帰る場所へ」
「はい!」
「ええ。邪悪は聖石に封じられました。伝説の再現はここになりましたわ」
「いや、我々の功績はそれ以上に値する。魔王の肉体も今度こそ潰えた。もう二度と、蘇る事はあるまい」
ヒーニアスの言う通り、今回で魔王を完全に倒す事が出来た。
だから…本当に平和が訪れたんだ。
みんな、ここまで誰一人として欠けずに…ちゃんと無事でいる。
「はい。皆のおかげです」
「そうだな。古の時代…五人の英雄はあの魔王を滅ぼし、封印したという。…だが、俺達にはそんな途方もない力などなかった」
「はい。魔王を滅ぼし、この大地に再び平和を取り戻したのは…ここまで共に戦ってくれた皆の…一人一人の力。皆さん、ありがとうございます。本当にありがとう…」
エイリークが涙を浮かばせて、仲間一人一人に頭を下げる。
その様子を見ていると、こちらまで胸が熱くなって涙が出てきてしまいそう。
「戦いは終わった。俺達の勝利だ。さあ、帰還するぞ!」
それぞれが帰るべき場所へ帰っていく中、私は一人動かずにその場で立ちすくんでいた。
ついて来ない私に気付いたのか、エフラムがこちらを振り返って駆け寄って来てくれる。
「どうした?ナマエ」
「エフラム様…」
私は俯いたまま、ギュッと服の裾を握り締めた。
そして少しだけ震える声で話し出す。
「私は…本当にここにいてもいいのでしょうか。この世界の人間ではない事を、ずっと隠してきて…何より、エフラム様にご迷惑を……」
さっきは…正直、あの状況で感情に任せて言ってしまった感がある。
この世界に残りたい、エフラムの隣にいたいと思ったのは本当だ。
でも…この世界に残ってエフラムと生きていくと言う事は、彼を私という存在で縛り付けてしまうという事。
その時、私の両肩には大きな手が優しく置かれた。
反射的に顔を上げれば、エフラムは額同士をくっつけて口を開く。
「言っただろう。そんな事はどうでもいいって。たとえ世界が違っていようが、お前がこの世界に居たいと思ってくれてるのなら、それでいいんだ」
「!」
碧色の瞳の中に、私の顔が映っている。
その顔は…もう迷いのない、決意したもの。
「…エフラム様、手を貸してくれませんか?」
「手を?ああ…」
彼は言う通りに手を出してくれた。
私はその手を両手で包み込むようにする。
そして手を離せば、彼の手の上にはきらりと光るものが姿を見せた。
「これは…」
「ルネスの聖石のかけらです。リオン皇子は…それを使えば、私は元の世界に帰れると仰っていました」
エフラムは少し驚いた顔で聖石のかけらから私へと視線を戻す。
そんな彼に私は落ち着いた声で話を続けた。
「ですが…もう私は選んだのです。エフラム様と共に生きる未来を。なので、それはエフラム様が持っていてくれませんか?」
「…いや、それは出来ない」
予想外の答えを返され、今度は私が驚いてしまう。
するとエフラムはそのかけらを強く握り締めて砕いてしまった。
小さなかけらは一瞬にしてキラキラと風と共に舞っていく。
「もう必要ないんだ。だから俺が持っている必要もない。そうだろう?」
「あ…ふふ、そうですね」
そして私の目の前には広げられた掌が。
もう、その回数を数える事もない。
「さあ、行こう。俺達の帰る場所へ」
「はい!」