第二章 刀剣
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「ぐっ……!」
信兼は、顔を歪める。
着ている着物は、風でバタバタと音をたて、自らの両手からは、強大な閃光を発していた。
それを自らの足で、身体が弾き飛ばされぬよう、必死に踏み留まっている。
だが暫くすると、その閃光も次第に勢いが衰え始め…………
ついには、両手に収まる程の大きさとなり、その光も消えて無くなった。
と同時に、風も止み、道場には再び静けさが訪れる。
「…………ふ~っ…………」
小さく息を吐くと、つい先程まで孫であるナオトが居た位置を見つめる。
居たはずのナオトの姿は、無い。
「……無事、行ったか……」
「………行ったんですね、ナオトは……」
「ん? ……まき、か……」
聞きなれたその声に、信兼は振り向く。
そこには、ナオトの母である、まきが佇んでいた。
「流石です。まだ力は衰えていないようですね、お父様。この方法で送る事が出来るのは、もはや神月(こうづき)信兼、ただ1人だと聞いていますもの」
まきは、にっこりと微笑んだ。
「いや……。以前は異界送りも難なかったのだが、年は取りたくないものだ」
笑いながら、信兼は着物の袖に両手を静かに入れる。
「……大丈夫なのでしょうか? ……あの子」
まきは、ナオトがいたであろう位置を見つめ、呟いた。
「案ずるな……。ナオトなら、必ずや無事役目を果たせると、わしは確信しておる」
信兼は、力強い口調で言う。
「……心配なんです……。あの子が、あの人のように……」
「ナオトは、『あやつ』とは違う。わしはそう信じている」
「……お父様……。そうですね! きっと、大丈夫……」
まきは、信兼の言葉に一瞬目を見開いた後、静かに微笑んだ。
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