第一章 審神者一族
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ナオトが道場へ辿り着くと、そこには既に信兼が来ていた。
道場の中央部分で、どっしりと正座している。
「お爺様、お待たせしました」
ナオトは、そう言いながら、信兼の目の前に座る。
「うむ……。準備は出来ているな? ナオト」
「はい」
ナオトは、大きく頷く。
その表情に迷いは無かった。
「向こうへ行ってから、お前がまず成さねばならぬ事、わかっておるな?」
信兼が、ナオトに鋭い眼光を向ける。
「刀剣を探し出し、その刀から付喪神を呼び出す事……ですね?」
ナオトは、迷う事なく答える。
「我ら審神者一族は、付喪神を実体化する能力が備わっている。どの刀剣に出会うかは、定かではないが……導きのままに進むがいい。そして、お前の刀剣達と共に、敵を薙ぎ払い、歴史を護れ。ナオト……それが審神者としての、お前の役目だ」
「はい……」
ナオトは、信兼の言葉を静かに聞き入る。
「……武運を祈っておる」
信兼はそう言うと、スッと立ち上がり、目を細めた。
「有難う御座います、お爺様……。必ずや、審神者としてのお役目……果たしてみせます」
ナオトは、祖父を見上げると、穏やかに微笑む。
「……無理はするでないぞ?」
「……え?」
ナオトにとって、思いがけない言葉だった。
どちらかと言えば、信兼はナオトに対しては厳しい祖父であった。
それが……。
ナオトは、心の中がじんわりと暖かくなるのを感じた。
審神者が一度本丸へと行けば、何が起こるかわからない……。
役目を全うし、生きて帰れるのかも……保証はないのだ。
実際、ナオトの父親は、戻る事はなかった……。
そのまま少しの間、見つめあったままで、時が流れる。
どちらから何か言う事も無く……。
それは、誰にもわからない、2人だけの無言の会話のようにも思えた。
「……では、意識を集中させろ。わしがあちらへ送ってやる」
信兼は、正座しているナオトの額に両手を当てる。
そうして目を閉じると、何か唱え始める。
「はい、お願いします」
(聞くだけの事は聞いた。後は……)
信兼の手が置かれたナオトの額から、強烈な光が放たれた。
と同時に、周囲に風が起き、2人の着ているモノがバタバタと揺れ始める。
(どんな刀剣と出会うのかは、僕次第だ……。良い刀剣と出会えると、いいな)
強烈な白い光は、どんどん大きくなり、ナオトの身体全体を覆い隠し始める。
(歴史を守り、そして……探し出してみせる。……絶対……!!)
次の瞬間………
白い光は
弾けた。
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