現代人の松永さん
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彼は優しい。どんな時でもエスコートしてくれる。
何をするにも優しい上に、的確である。
私のして欲しい事を何も言わなくても熟知している。
焦らして、もっと焦らして昨夜のような前戯を丹念に行う。
頭にもやが掛かる。
舌も指も細かい動きに私の身が震えた。
時々備え付けのおもちゃなどの激しさに、弓なりに背が反る。
彼の指をくわえ込んだ壺からとろみを帯びた液体がとくとくと溢れた。
自分でも分かるし、わざわざ彼が楽しげに見せてくれたから余計にわかった。
羞恥と快楽とで、このまま縛り付けて欲しいと思った。
「松永さんが欲しいよ。もう焦らさないで」
「君はエッチだなぁ……。おじさんは大歓迎だよ」
すると彼は自分の物を扱(しご)きながら大きくする。
あの晩よりも大きく見えた。それを今か今かと待ち構える。
彼はそっと私の陰部に添えると、私を一気に貫いた。
「はっ……」と吐息が漏れた。
吐くばかりで吸えない空気に戸惑った。
彼は馴染ませるようにゆっくりと左右に腰を揺らした。
膝を曲げられ、より深いところに触覚が当たった。
暫くして今度は彼の吐息が漏れた。
「くそ……余裕たっぷりに攻めてやろうかと思ったのに、ゆきちゃんのおまんこには参るね」
「動いて……。待てない」
「あぁ……でも待ってくれ。こんな凄いのに入れたら、すぐにみっともなく出てしまう」
少し静止した。それからゆっくりとまた動き出す。
時々待てなくて勝手に動いたり、膣を締め上げたりしたら、ぶるりと彼の背が跳ねた。
「やめなさいってば」
苦笑しながら彼は私を嗜めた。
次に仕返しとばかりに、腰を深く沈めたままクリトリスを指先で弾く。
甲高い声が出た。すると気を良くしたのであろう。
沈めた触覚をピクピクと動かし始めた。
これにも私はじんわりとした悦を覚え身をよじる。
高速で左右になぶられながら、中身は彼に支配される。
結合部から私の愛液がとろりと臀部を伝うのを感じた。
それなのに全力で動いてくれない彼がもどかしかった。
「やだ……」
「嘘つかない。我輩のが欲しかったんだろう? いまさら逃げるなんて卑怯じゃないかね、ん?
言ってごらん、「私のおまんこ犯して下さい」って」
「そんなこと……あぁ」
「じゃなきゃずっとこのままだが」
私は彼の笑顔を恨めしく思った。
自分で動くのも構わないが、それでは変にセーブしてしまい溺れられないのも分かっていた。
あぁ、酷い。
このままでも行けない事はないが、私が欲しいのはこれじゃない。
もっと、もっと激しくして欲しかった。
「いや。犯して。ゆきのまんこ犯して。
エッチなおまんこいっぱいほじくって、どろどろにして」
「どろどろ? じゃあ指もオモチャも総動員して行かせてあげないとね」
そう言うと一突きに力を込めて私を攻めた。
「うぐっ……」
脳みそが揺れた。宣言させたのは間違いだっただろうか。
でも欲しかった刺激に間違いはなかった。
緩急をつけた動きに私の中身は魅了されていた。
Gスポットなるところを優しく擦られると、頭が蕩けていく。
しかし意地悪な彼はそれを許さず、すかさず子宮口を目掛けて重い一撃を食らわす。
そうなると、まるで眠りから覚めたように質の違う快楽が降っておりてくる。
とても抗えない気持ちよさに、口の端から涎が出るのも押さえきれないほどだ。
これが世に言うアへ顔というものだろうかと、没頭しているにも関わらず、どこか冷めた心が下らない一言を発した。
「休憩……休憩しようよ」
「我輩に火を付けたらなかなか止まらんよ。
どろどろにして欲しいんだろう?
幸いここにはローターも、バイブもパールもある。
ご主人様がおまんこだけじゃなくて、お尻もおっぱいもちゃんと躾てあげるよ」
「やだ……やだぁっ……」
抵抗する気など更々ないが、力の入らない体でいくらもがこうと、それは意味もない訳で、私は松永さんの良いオモチャになった。
その目はとても楽しそうだった。
彼の触覚が抜かれたかと思うと、直ぐ様電源の入った太めのバイブが膣内に挿入された。
うねうねと動く感触と圧迫感が中をいっぱいにする。
その隙に、お尻にはパール、クリトリスには小型の電動マッサージ機が当てれてどうにかなってしまいそうだった。
「お口がお留守なのは良くないな。
ゆき、ご主人様のおちんちんをしゃぶりなさい」
促されるまま、口許に彼が持ってきたのを頬張る。
とても固い。
これが今まで自分の中にあったと思うと愛しかった。
そろそろ機械に絶頂に導かれそうだった。
彼もだろう。
私に転がされ、吸われて弄くられたそれがピクピクと痙攣しだした。
オモチャのスイッチが切られる。
私は呆気にとられていたが次の瞬間、うつ伏せにされた。
そしてそのまま後ろから乱暴に犯された。
腹の奥から快楽が迸った。
「あぁ……あぁ……!!」
獣のように唸り声をあげて、彼になされるままだった。
背後から犬のように覆い被さる彼の戒めは解けない。
鋭い衝撃は痛みを伴うのに、それすら気にならないくらい、もっと欲しいと思った。
「いぐっ……いぐぅっ……!!」
涙と鼻水、その上溢れる愛液と汗でシーツを濡らしながら私は行き果てた。
果てたあとも彼の衝撃は止むことがなく、その数分後に彼は白く生ぬるい吐瀉物を私の中に置き去りにしていった。
その後の意識はしばらく無い。
*
まどろみの中にいた。彼の腕を枕にしてぼんやりとする。
隣でタバコの匂いがした。独特な香りに、流行りの電子タバコだと気がついた。
彼がふと呟いた。独り言のように聞こえた。
「昨日ね、手術したんだ」
「手術?」
私は問い返した。
医者だから手術するのは当たり前だろうと思った。
彼は「うん」と頷くと、私に向き直って私と同じようにぼんやりと微睡んだ目で見つめた。
「一応産科も付いてるからな。
でもあいにく喜ばしい方じゃなくて暗い方。
昨日ね、若い娘さんのね、堕胎手術したの」
どことなく疲れに覆われたような口振りだった。
「取り憑かれ」ているように重い。
私は内容が内容だけに、口を挟まずに聞いているだけにとどめた。
「基本的に誰にも仕事の話はしないし、守秘義務ってのがあるからカルテが話し相手なんだけど、君を抱いてたらふと過ってね」
彼は表情にこそ出さないが泣き出しそうな子供のように呟いた。
それから、深いため息をつくと私を抱き枕か何かのようにして胸に収めた。
苦しかったが、それに任せた。
「喜ばしい事は一緒になって喜ぶし、嬉しいと思う。
しかし我輩は仕事であるから、そうではない患者にはなんの感情も持たないようにしている。
本人が一番辛いだろうから我々がどう言おうと無意味だから。ただ……」
「うん」
「ただ、毎回その依頼が来る度に悲しくなるね。
人生色々、事情も様々ってのは分かるんだが……。
だって依頼するのは彼女達だけど、その命を葬るのは我輩なんだもの」
彼の呟きは、悲しげというよりもどこか俯瞰していた。
それはその行為に慣れた者しか出せない声音と言っても良い。
タバコを吸いながら冷徹な眼差しが外に向けられている。
「今やネットが普及して、どんな風に命が絶たれるか容易に分かるだろうけどね、我々の時代はそんなの想像も出来なかったんだよ」
女の私からしたら、想像しただけで涙が出る。戦慄といっても良い。
彼はそれに慣れてしまったからそう言う態度に自然になるのだろうが、心の奥底はそれとは違う気がした。
そうでなければ、私のような一度肌を合わせただけの他人に口を開くことでも無かろう。
「何でこんな仕事やってんのかと思うよ。
女の股ぐら見てハァハァ出来ると思って婦人科に入ったのに、現実はかくも厳しい。
だーれも我輩を労ってはくれないし、というか殺人者がどうして「先生」なんて言われなきゃならんのか。
ちっとも立派なことなんか我輩はしとらんよ」
タバコを深く吸い込む。私はその腕を抜け出した。彼の目の下は少し隈が出ていた。
夜中に私に会い、朝早く患者を診、今こうやってなけなしの体力をあらかた使ったのだろう。
頭が可笑しくなるのも頷けた。
一応私だってこの殺人先生の患者なのに、本心を露にし過ぎであると苦笑した。
「松永さん」
「うん」
「仕事の事は忘れてゆっくり眠って。
眠るまで一緒にいてあげるから」
まるで自分は母親になったつもりでいるのだろう。
それこそ、この年の離れた紳士に対して失礼かと思った。
しかし当の本人は満更でも無さそうに、口の端をにんまりと上げ穏やかに笑った。
「ゆきちゃんが孕んだら我輩は責任取るよ」
「そう言ってくれる人だから、私は身を預けたんです」
返事をすると彼はくすりと笑って、ものの数秒で夢に拐われて行った。
*
妙だ。
ベッドから上体だけ起き上がると違和感を感じて浴室に逃げ込んだ。
まだ浮遊感のある腰を引っ張って、浴槽の端に腰を下ろす。
馴染みのある感覚を誤魔化すように勢強な熱いシャワーを腰に当てた。
来るのではないか? と、私は直感した。
ドクドクと腹の奥で鼓動が聞こえる。
膨らんで、膨らんで、張り裂けそうな動脈の勢いに抱腹する。
私は顔をしかめた。
彼がたくさん突いたからか、腸が踊っている。
だがそればかりではない。
奥の方から痛い。
染み渡る、破ける前の痛さに私は小さく呻いた。
「あ」
それから何かが弾けるような気がした。
腹の奥で細く長い手の数々がそれを押し出そうともがいている。
厚く肥厚した肉壁を横切り、まるで蚯蚓のように私の胎内を縦に割り裂こうとする。
一瞬だけ間があった。
そして彼を受け入れた先からじんわりと出迎えるように、腹の中から赤褐色の流動体が僅かにこぼれだす。
それらは先程の白濁と混じりあい、ピンクとも桃色とも呼べない、歪な淀んだ色となり溢れだす。
目で見たままで言い表すなら麦茶色か、赤を含んだ灰色か。
指で掬って見たならば、入り交じった色がなおのこと損なわれてきた。
私は呆気に取られて宙を見た。
股の間から流れ出る、自分の細胞を含んだ赤い汚れを感じながら目を閉じる。
私の「女」が動いている。
歪色な粘る液体を撒き散らして、幼子のように胎動していた。
目を開けると、様子を見に来た彼と視線が合う。
ぱちり、とまるでシャッターを切ったかのようであった。
私は苦笑いをしてそっとこの有り様を隠した。
隠したところで彼は視線を浴室に滑らせる。
赤い点々が私の足首から伝っているのを黙視している。
水の流れに沿って蛇のように細く蛇行している。
私は分かりきった情況を彼に向かって呟いた。
「先生、わたし生理が来ました」
「先生」などと呼ばれてか、しばらく間があり、彼はゆっくりと目尻を和らげて「そっか」と呟いた。
熱いシャワーの飛沫も厭わず優しい抱擁をして、指先が陶器をなぞるように頬を撫でた。
流血を惜しむように再びぴったりと重ね合わせんとする雄を、私は苦痛の中、歓喜して迎え入れた。
掻き出される白と赤茶の粘液が排水溝へ向けて流れていく。
女の証を溢れさせては捨てていく、その人の律動に私は下腹を押さえながら声を上げた。
「きもちいい」
「全部分かってる」
「ほんと?」
「本当だ。もう我輩のものだから」
彼は耳元で囁く。
私は縁に手を付いたまま背後から打ち付けられる乱暴な衝撃
に吠え続けた。
水蒸気の中でぼんやりと意識が霞む。
「松永さん」
「名前で呼べ」
「……久秀さん」
「なんだ」
素っ気ない返答の中に彼の余裕の無さが見え隠れする。
私の胸を千切ろうかと思われるほど強く握り、荒々しく呼吸する。
これほどまでに激しくされては何も言えなくなるではないかと思うなか、このまま永遠に激しくして欲しいと本気で考えてもいた。
私は背後で唸る久秀さんに身を預け、目を閉じた。
「はげしいよ」
「良いじゃないか」
「うん、いいの」
次々に洗い流される深紅は紅葉のようだ。
止まっていた時間が再び巡るかのように、血は股を伝う。
しかし先程とは打って変わって淀んだ色が、鮮やかな赤になった。
それに何か感付いたように、今度はゆっくりと出し入れをする。
それがまた焦れったかった。
「ねえ、久秀さん。お願い、さっきのして」
「だめだ」
「どうして」
「優しくしたい」
「容赦しないで構わないよ」
「うるさい」
確かな返事の代わりに強引に唇を奪われた。
背後だから中々唇はぴったりと合わさらないが、陰唇はと言うと今まで屈曲していた姿勢が伸展した為、彼の陰茎の根本までを一気に飲み込んでいた。
片足を上げるとより一層深いところに当たる。
串刺しみたい、と頭をよぎった。
この人は医者だから太い注射針で刺し殺そうとしているのかと、有りがちな考えに浅はかだと苦笑する。
「中がどうなっているか知りたい?」
「いいえ。でも聞いてあげる」
「弛んでるんだ」
「弛いの? ごめんなさい」
私は繋がったまま膣を締め付けた。
松永さんは唸ったあと、少し苦笑して「そう言う事ではない」と呟いた。
「さっきは張り裂ける前で女だった。
だから心の底から犯して壊してやろうと思った」
「そっか」
「でも、月経は子を失った母親が泣いているように思えてならない。
だから優しくしないと駄目なんだよ」
彼はそう言うと向き直る。
表情を見るとそんな気持ちは殆ど無いくせに勿体つけたような言い方をして煩いくらいだ。
優しいのね、ありがとう、など言えたら良いが無理である。
半端に焦らされて収集が付かなくなった自分はそれを言わせようとしない。
「詭弁って言うんだよ、それ」
「知らないな。駅弁スタイルがお望みならしてやるけど」
「いや」
するりとそのしがらみを躱して私は湯船に浸かる。
棒立ちの彼はまだ下腹の蛇を漲らせたまま困ったように小さく笑った。
「もう薬はいらないな」
*
季節は秋が少したれ込め始めていた。
鮮やかだった緑がくすみを帯びて時たまに冷たい風が吹き抜ける。
私は相変わらず昼夜逆転した生活を送っていた。
そろそろ夜の寒さが厳しくなって来るころだ。
隣には久秀さんがコーヒーをゆっくりと楽しんでいた。
最近は治療院で眠るより私の部屋で眠ることが多くなっていた。
私はと言うと出勤の準備をするところである。
「ゆき」
「なぁに?」
「化粧くらい座ってしなさい」
「いやよ。五分で終わるのに」
「我輩に逆らうのか? 気持ちよくしてやらないぞ」
「ん~……それはもっと嫌。でも今は無理」
逆らうと、背後の彼はあからさまにしゅんとした。
演技とは分かっていても今にも泣き出してしまいそうだ。
「はぁ、ゆきが言う事を聞いてくれない。
お父さんはそんな風に育てた覚えはありませんよ」
「はいはい。お父さんは娘とエッチな事はしちゃ駄目なんですよ」
「むぅ、生意気な小娘め。帰ってきたら覚えておけよ~?」
そう言うと、彼は私の化粧道具を取り上げていく。
あとは唇だけというところだったのだが、致し方ない。
甘えたなオジサンの相手をしてやろうじゃないか、と諦めた。
「久秀さん、好きよ」
「もっと気持ちを込めてくれなきゃ、いや」
「女みたいなこと言わないの」
「じゃあキスをしよう」
そう言うと私の化粧ポーチをまさぐって口紅を出す。
それを自分の唇に塗りたくると、「さぁ」と私の腰を抱き寄せた。
確かにこれで顔のキャンバスは完成するが、どうも違うような気がする。
しかし当の本人は期待して待っている。
私はその赤い唇へ啄むようにしてキスをした。
「ワガママね」
「医者になろうなんてやつはワガママじゃなきゃやってけんよ。
偉くなりたいから勉強したんだもの。
当たりが外れて今や腰が物凄く低いがな」
「帰ってきたら、何でも言う事聞いてあげますね」
「うん。そうして」
私の唇が久秀さんの赤を奪って染まった。
見送られ、外に出る。
首筋に冷たい風が触れた。
「帰りは連絡するように」
「はいはい」
手を振ってそれに答えると彼は優しく笑った。
まるで本当に「お父さん」のようだと笑った。
上を見上げると満月が東の空に煌々と登り始めていた。
私はその光を背後に受けて、歩き出した。
月明かりで彼の長い影が私の影と重なっていた。
〈終〉
20180406