生徒交換
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いよいよ、U-17男子テニスW杯が開幕する。
日本代表の応援に行くため、4人は豪華客船に乗ってついていくことになった。合宿所の荷物をまとめて一旦それぞれが自宅へ帰ることになる。オーストラリアへは学校の制服を着ていくこととなっていて、久しぶりに乙女学園の制服に袖を通すため、みんな嬉しそうだ。豪華客船が出航する港へ集まると、豪華客船のあまりのデカさに圧倒された。続々と氷帝メンバーも港へと集まってきた。
「へぇー乙女学園の制服ってそんなのなんやな?可愛ええやん」
「ありがとう。これでも、都内では人気のある制服なのよ?久しぶり袖を通せて嬉しいわっ」
「やっぱり制服は可愛くないとねー!」
それから少しして、遅れて妃香琉がいつもの赤いフェラーリに乗ってやってきた。ブレーキ音にびっくりして周りにいた応援団の面々が驚いていると、明美さん相変わらず運転が荒いなと愛音が言う。明美さんは、園城家に長い間仕えている家政婦さんだ。昔、妃香琉の母親がプロテニスプレイヤーとして活躍していた頃は、付き人として一緒に世界を横断していたんだとかなんとか。氷帝メンバーには初めて会うので、わざわざ車から降りて挨拶をしてくれた。
「いつも妃香琉お嬢様がお世話になっております!長旅になるかと思われますが、みなさんご無理なさらず。あと、妃香琉お嬢様のこともよろしくお願いいたしますね!」
「明美ちゃん、もういいから~」
「それでは私はここで。妃香琉お嬢様も、お気をつけて」
そう言って、明美さんは頭を下げたあと車に乗って帰って行った。凄く丁寧な人でしたねと、宍戸の隣にいた鳳が呟いた。それから船は出航し、4人はひとまず割り振られた部屋へと荷物を置く。船が動き始めてからしばらく経った頃、船酔いしたのか真里亜と愛音の親友コンビがベッドの上でぐったりとして顔色を悪くしていた。真里亜はだいぶはしゃいでいたのでそのせいだろうか。逆に愛音は、船に乗りなれていないせいか大人しくしていたのでそのせいだろう。妃香琉は窓から外の景色を眺めていて、梓は外に出てなにやら忍足と談笑している、このふたりは同じクラスであるにも関わらずここ最近になってから会話をする機会が増えた。
「えーん、まだオーストラリアつかないの~?」
「まだ全然だよ。……お水、飲む?」
「うん、ありがと~」
「妃香琉、あたしにも水くれ…」
「はいこれ愛音の分」
「サンキュ」
そしていよいよ、オーストラリアの港へ到着。これからバスに乗ってメルボルンへと向かう予定らしいが、4人もいい加減お疲れの様子。日本と気候が真逆のため12月のオーストラリアは夏になることもあり、あまりの日差しにもっと日焼け止めを塗ってくればよかったと4人の意見が一致した。
港へついたら連絡が欲しいと君島育斗に言われていたため、妃香琉が電話をすると港まで迎えにきてくれるようだ。本来なら選手村には入れない規則だが、運営本部に彼が直接掛け合ってくれたようで、4人まとめてヒッティングパートナーという肩書きで特別に入れてくれるらしい。驚きながらも選手村のホテルにつくと、早速視線が集中する。
「なんか凄く浮いてる気がするのは私だけかしら…」
「いや、完全に浮いてると思うぞ」
「「うんうん」」
やっと来たか小娘ども、と平等院から熱烈な歓迎を受け君島から今回のことについて説明が入る。
「今日から、彼女達は我々のヒッティングパートナーという名目で参加しますが、相手になってほしいという方はいらっしゃいますか?いなければこちらで勝手に決めますが…」
「それじゃあ俺、妃香琉についてもらいたいんですけど」
「え?」
「ずるいで幸村クン。俺もぜひ、妃香琉ちゃんと手合わせ願いたいわぁ」
「あーん?てめぇらでしゃばってんじゃねえよ」
言い出しっぺの幸村から、白石から跡部へと伝染するように何故か妃香琉に意見が集中してしまい、本人も困ってしまった。それを見た君島がため息をつきながら、仕方ないですからジャンケンで決めましょう、とジャンケンで決めることになった。跡部と幸村がチョキ、白石がグーを出したので、白石の勝ちとなった。負けたことにというかせっかく彼女と一緒に過ごせるはずだったのにと悔しいのか、跡部は不満そうな顔をした。それを見ていた妃香琉以外の3人は耐えきれず跡部にバレないよう残念だったねとゲラゲラ笑っている。
ヒッティングパートナーも決まったところで、4人は使用する部屋に案内された。スイートルームと呼ばれるこの部屋は隣にもう一部屋あって、跡部と幸村が使用しているらしい。窓からは選手村のほぼ全体が見えることもあり、奥の方に見える海がとても綺麗だ。とりあえず、乙女学園のテニスウエアに着替えて部屋を出ると、早速白石が壁にもたれかかって妃香琉を待っていた。
「あ、白石くん」
「すまんな、妃香琉ちゃん借りてってもええか?」
「ええ、いいわよ」
「「いってらっしゃーい」」
本人が返事をする場面であるはずが、何故か梓が勝手に許可を出す返事をしていた。どこで練習するのー?と聞けば、ちょうど空いたコートがあるんやと言う彼に彼女はそのままついて行く。連れてこられた場所はコートが1面だけある屋内施設、事前に予約をしておけば2時間だけ借りられるらしい。とりあえずストレッチを済ませていると、白石が不思議そうに聞いてきた。
「妃香琉ちゃん、結構身体柔らかいんやな?」
「そう?けど真里亜の方がまだ柔らかいよ~あの子機械体操とかやってるから……。そろそろ始めよっか。サーブはどうする?」
「せやな。妃香琉ちゃんからのサーブでえいよ」
妃香琉はさっそくサーブを1発打ち込む。
ラリーを続けながら、白石は直ぐになにかを感じ取った。女子が打つにしては早いサーブに、ブレないボールコントロール。そして返ってくるボールはそれなりに重さがあり、左右に走らせて体力を奪う作戦に出てみるがなかなか疲れるような素振りを見せない。白石が得意の円卓ショットを放つと、流石にそれは返せ無かったようで妃香琉の動きが止まった。
「すごい、なに今の…」
「(打ち合いを始めてすぐから、かなりの集中力や。それに女子らしくないあのパワー、侮れへんな)妃香琉ちゃん、めちゃくちゃテニス上手いんやな。いつからやっとるん?」
「5歳ぐらい、からかな?そういう白石くんこそ、流石バイブルテニスって感じだね。…さっきの悔しいから、もっかいいくよっ」
「よし、おもろなってきたな(意外と負けず嫌いなんか…?)」
円卓ショットを決められて悔しいと思い、今度こそ返してやろうと妃香琉はまたサーブを放つ。彼女の武器でもある集中力を見せつけ、ラリーを続けていくうちに円卓ショットをようやく返した。さっきのさっきで返されたことには白石自身もかなり驚いていて、すごい動体視力やなと褒める。今度は白石がサーブを打つ。返しにくそうな位置に狙いを定めるがすぐに返され、激しいラリーの応酬が続く。
するとコートの近くに人だかりができていた。
日本代表の高校生組だ。
妃香琉のテニスを見て、驚いている様子。
「あの小娘、なかなかやるな」
「女性にしてはなかなかのパワーですなお頭。どこへ打っても器用に全て返している」
「みなさんはご存知ないかと思われますが、彼女の母親は元世界ランク2位に君臨し、外国人からテニスプレイヤーみちとの愛称で親しまれていた方なんですよ。昔のビデオを拝見しましたが、どことなくプレイスタイルは似ています」
「女子テニスも甘く見れねぇってことか」
しばらく見届けてから、彼らはホテルへと戻って行った。あっけなく2時間が過ぎてしまい、ちょうど日も暮れてきたので今日はここまでにしようとふたりも切り上げてコートを離れた。エレベーターの中でも会話が途切れることはなかったし、白石は妃香琉と深く話ができてどことなく嬉しそうだ。
「妃香琉ちゃん今日はありがとな。急に誘ったからこないな時間になってしもうて」
「こっちこそ。また明日、頑張ろうね」
「せやな。あっそういえば、(ゴソゴソ)飴ちゃんやうわ、よかったら4人で分けて」
「いいの?ありがと、それじゃお疲れ様っ」
「お疲れさん」
そして白石が先にエレベーターを降りる。
ふたりは各部屋へと帰って行った。
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