生徒交換
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シャッフルマッチが終わり、今度は中学生だけでダブルスを組むようにと斎藤コーチからのお告げが入る。これからダブルスが行われるかと予想したがそれではシングルを開始します、という言葉に耳を疑った。
「えっ?ダブルスじゃないのかよ…?」
「しかも負けた方は脱落?急すぎるわね…」
「跡部と日吉に、忍足に岳人、手塚と海堂くんか…」
「脱落ってことは、居なくなるってこと!?」
突然のことに4人も彼らと同様に慌てる。
中学生達の心中も他所に、試合は始められた。
忍足に向日が負けて、宍戸が鳳に負けてと、次々に脱落者が増えていく。日吉は跡部と対戦して、予想通り跡部が勝って終わった。みんな居なくなっちゃうねと、真里亜が寂しそうに小声で言うと、その言葉に他の3人も目線を落とす。じゃあ憂さ晴らしにと、梓がこんな提案を持ち出す。
「私達もやりましょうよ?試合」
「じゃあふたり脱落ってことか?」
「「それはヤダ」」
言い出しっぺの梓が、使われていない一番端のコートを使っていいか斎藤コーチに確認を取るとあっさりOKが貰えた。ということでジャンケンで組み合わせを決めることに。と思いきや…、いつも通りでいいじゃんと、妃香琉と梓対真里亜と愛音でのダブルスでやることになった。後者のダブルスは全国でも一、二を争う程強い。
「おっ、なんや。女子組もシングルスやるんか?」
「いや、あの子らはダブルスっぽいで謙也」
「あ、あのポニーテールの子、女の子やったと…?」
「今更やで千歳?」
「ごっつイケメンや~ん」
「言うと思うた」
彼女達が準備をしているのを、四天宝寺の面々が気になって近づいて行く。そんな中サーブを放ったのは愛音。女子が放つサーブにしてはとても速いが、妃香琉にあっさり返された。威力のある音を響かせながらラリーは続けられる。妃香琉が上げたロブを、真里亜が愛音の左肩を使って上空から地面目がけて叩きつけたが、それは梓によって返された。その返ってきたボールを今度は愛音が勢いよく返すと、ラインギリギリに落として返されることはなかった。よし、と小さくガッツポーズをする。その後は、特に指示を出しあう素振りも見せず、黙々と打ち合いを続ける。それはまるで…
「……まるで、同調(シンクロ)しとるような試合やなぁ」
「せやな。アイコンタクトだけで意思疎通しとるわ」
「なんか、終わった人が集まってきだしたわね。久しぶりに燃えてきたわっ」
「大したことはやってねぇけどな」
「真里亜、頑張っちゃうもんねー!」
「サーブ行くよ~!」
今度は妃香琉のサーブ。
ボールを持った手を降って、ふたりに構えさせる。
放たれたのは誰もが知っているツイストサーブだ。
それを今度は、真里亜が返す。ラリーを続けながら、妃香琉は器用にラケットを右手から左手、左手から右手に持ち替えて楽しんでいる様子。
「相変わらずよく跳ねるね!」
「とか言いながら、ちゃっかり返してるじゃない」
「……、あーん?あいつらなにしてんだ?」
「あの4人が打ち合いしとるの、初めて見るなぁ」
「真里亜先輩と愛音先輩のペアがリードしてるみたいですね」
いつの間にか全てのダブルスが終わったことにも気づかずに打ち合いは続けられる。梓が羆落としを見せたり、真里亜がバックハンドで股抜きショットを炸裂したりと個人プレイが目立つ中、その様子を見ていた高校生組の入江奏多が、そろそろ終わりにしないかい?とやってきた。返ってきたボールを妃香琉がキャッチして4人が周りをキョロキョロと見渡すと、試合に勝った勝ち組全員がギャラリーになって打ち合いを見ていたと察した。そして何故か拍手が起こった。
「今日はもうやめよっか」
「そうね、なんだか燃え尽きちゃったわ」
「疲れたぁ」
それから、負け組はシャトルバスに乗って合宿所を去っていく。遠くなっていくそれを、勝ち組と4人はただ見送るしかなかった。午後からは体力作りのための練習サーキットが行われたが、4人には少しハードそうという事で見学させてもらうことに。しかし愛音だけ、出来そうなものにこっそり端っこの方で参加していた。数人の高校生や中学生がそのストイックな体制に気づいて驚いた表情を見せ、ほんとに女かよと零した。
「凄いじゃん愛音。ちょこちょこついてってる」
「さすが陸上部で走りこんでただけあるわね。ハードルにリレーに、あと棒高跳びもやってたらしいじゃない?」
「陸上部のクラスメイトに聞いた話だと…関東陸上記録会のハードルはまだ新記録出てないんだって。…あ、帰ってきた」
「……。はぁ、キツい」
「「だろうね」」
翌日。
真里亜がお腹空いた~と少し怠けながらレストランに入ると、幸村や柳生が座ってくつろいでいた。そして朝から優雅にティータイムを楽しむ跡部が目に入る。その斜め前に座って、跡部様おはよう!と声をかけたら跡部もおはようと返事をした。同じテーブルにいた忍足が、朝から元気やなぁと言った。そして彼女の元へ早速朝食が運ばれてきた。女子組だけの特別メニュー、フレンチトーストだ。一緒についてきたはちみつをかけて、美味しそうに真里亜は食べ始めた。とても甘そうなそれに、甘党ではないメンバーが若干引き気味で見ている。
「…んん~っ!甘くて美味しい!」
「真里亜、あんまはちみつかけすぎたら太るで」
「いいのいいの!甘いものが無いと1日が始まらないよね!」
「ただの甘党か」
「将来が心配やで…」
そこへ遅れて愛音がやって来て、彼女の横に立ったかと思えば、横腹をムニッと掴んでまたそんなもん食ってんのかと問う。すると真里亜は、うひゃあ!と下品な声を上げて、何するら!と怒った。変な滑舌になり忍足が笑って吹き出した。そして今日は、3番コートと5番コートのシャッフルマッチが開催される。ちなみに5番コートの主将は高校生の鬼である。面白そうな試合が見れそうだと、4人も早速外へと出かけた。
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