第一章 俺の恋の話
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*瀬名said
最近、ずっと通っているカフェの店員『四十崎陽菜』さん。初めて見た時は、笑顔が可愛いななんて柄にもないことを思ってた。あと、彼女がいれたアメリカーノが美味しかったなって…
そこからずっと通って一つの季節を終えようとした時、隣に住んでいる紡が「ご飯になるのにレオが帰ってこない」と慌ててやってきたものだから俺もなんだか焦って外に出てれおくんを探すために彼がよくいく場所を回っていると、見慣れた後ろ姿が草っ原で座り込んでいるのを見つけて駆け寄る。
瀬名「れおくん!ちょっとぉ…何時まで外でてるのぉ?アイツが心配してたよぉ」
月永「おぉ!セナだ!いやぁ…この『画家』ちゃんから霊感(インスピレーション)を与えられてさぁ!名曲が生まれたぞ…☆」
そういって笑うれおくんの横に居たのは最近では見慣れた四十崎さんの姿だった。いつもカフェの制服姿しか見てなかったから見慣れない私服姿ではあったけど、間違いない。
瀬名「『画家』ちゃん…ってあれ?四十崎さん?」
俺は帽子を軽くあげて顔を見せる。すると四十崎さんは少し驚いた顔した後にフニャッと笑って俺に挨拶する。その顔はどこか安心したような表情でこちらまで表情筋が緩む感じがした。
俺がもう暗くなることを伝えると四十崎さんはテキパキと片付けして帰ろうとするので、俺は送ると声をかけるとやんわり断られる。
瀬名「ここではお客さんじゃなくて顔見知り、でいいでしょ?」
『…うっ』
瀬名「年上のいうことは聞いておくべきだよぉ…れおくんも一人で帰れるでしょ?」
月永「あぁ!『画家』ちゃんも送ってもらえ!女の子ひとりじゃ危ないだろ!」
『は…はい』
そう言って、四十崎さんは大人しく俺に送られることになった。別れ際にれおくんが「ちゃんと守れよ☆」なんてウィンクしてくるので「勘違いすんな」と小突いてから手を振る。彼が見えなくなってから彼女の方を振り返り、家の方向を聞けばおずおずと「あっちです」と指をさす。
俺は指をさされた方へと歩き出す。彼女もそれに大人しく付いてきてくれる。道中はたわいもない話をして足を進める。なんとなく沈黙が辛かったし、彼女には聞きたいことが色々あった。れおくんと知り合いだったのかとか、なんで名前呼びなのかとか…まぁいろいろ?なんか俺の知らないところで俺の知り合い同士が仲良くなっているというのがまた気に入らない…。
しかし、俺の思いとは裏腹に四十崎さんはサバサバと答えていく。それがなんだか意外でつい本音がポロっと出てしまう。
瀬名「なんか…普段そんなサバサバしてるんだね」
『瀬名さんは、案外ねっとりしてますね』
瀬名「はぁ⁉︎誰がねっとりだってぇ⁉︎」
『いや、いつもその猫かぶってるっていうか…そんな感じがしたので、正直親しみやすいのでこっちの方が嬉しいです。』
瀬名「そう…」
一度はムカッときて掴みかかりそうになったけど、どうやら彼女は普段の俺が猫かぶってるのを見破ってて…なおかつ、今の俺の方がいいって言ってくれている気がして、少し心がふわつく。照れ隠しに話題を変えれば気にせず話題に答えてくれる。
本当に不思議な子だ。17にしてはしっかりしているし、でも子供っぽい部分もちゃんとある。素直なのかと思えば大人みたいに難しいことも考えている。そして、何より素直に『俺』自身を見てくれていることがわかる。
きっと、アイドルの俺もモデルの俺も…何も知らないこの子はただの『瀬名泉』を見てくれてるとわかる。だから一緒にいて気を使わないでいいし素直でいれる。居心地がいい…
でも、人間ってのは強欲で気になる子には自分の全てを知ってほしい。気にしてほしいと思ってつい口が滑ってしまうものだ
『…瀬名さんの仕事って…』
瀬名「…モデル」
『…へ』
彼女は驚いた顔で俺を見る。そりゃ驚くよね、今まで普通に接してたやつがモデルなんてやってると誰が思うものか。「似合わない?」と彼女に問うと「いえ…むしろ似合いすぎて驚いてます。」と彼女がふにゃと笑うものだから、ついツンとして返してしまうが彼女は気にした様子もなく笑い続ける。
瀬名「人間のモデルが必要になったらいいな。あんたなら特別にやってあげる」
なんて言えば「じゃあお願いします」なんて普通に返す。もう…なんなのこの子…本当におかしいんじゃないのと思いつつ、家の方を聞けばもう近くまで来ていて指さされた家に向かう。別れ際に、連絡先を渡そうとすれば「モデルさんに…」と断ろうとするので「もう友達でしょ」という意味を込めて返せば「じゃあ…」と受け取る。それがなんだか浅く感じて少し自嘲気味に「それにまだまだ売り出し中だから対して有名じゃないんだよ」と零して彼女から離れていく。あぁ、かっこ悪いどうせなら彼女に「見たことあります!」と言われるくらいモデルだったらもっと自信満々に彼女の前に立てたのに…と思っていると後ろから大きな声で呼び止められる。
『待ってください!瀬名さん!そんな顔しないでください!私、芸能のことは疎いですけど…瀬名さんはきっと大丈夫です!すぐに有名になれます!自信持って歩く瀬名さん…私好きです!』
なんて大きな声で言われたら、嬉しいに決まってる。それはモデルとしてのアイドルとしての俺じゃない…ただの『瀬名泉』にかけられた言葉。
その好き、ってやつがどういう意味かは知らないけど…俺はその言葉だけで先ほどまで思ってた暗い部分を吹き飛ばせる。でも、それを堂々というのが少し気恥ずかしくてクスリと笑って俺も少し大きめの声で彼女に返す
瀬名「じゃあ、俺がこれからも笑顔になれるように美味しいアメリカーノ入れてよねぇ」
『…はい、氷少なめで…いれてあげます』
瀬名「もうホットにするけどね」
そう言って俺は再び帰路についた。
あれが告白だとは思わないけど、なんとなく「明日も頑張れそう」なんて思えた。まさかこんな短期間で一人の女の子にここまで心惹かれるなんてねぇ…恋愛に現を抜かしてる場合じゃないんだけど、と考えていると頭のどこかでれおくんが「頑張れよ、セナ!」と笑う顔が浮かんだ。
あぁ…ほんと。頑張らないとねぇ…いろいろと
第4話
瀬名「やば…ご飯の時間なのに遅れる」
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