このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第一章 俺の恋の話

NameChange

この小説の夢小説設定
名字
名前



イズミ、と呼ばれた男性はあれからよく来るようになった。いわば常連さんだ。同じ日本人ということもあって、世間話を少し話すようになった。

イズミさんはいつも「アメリカーノ、氷少なめ」を頼む。
訪れるのは早朝か夕方だ。仕事前の目覚めの一杯か、仕事終わりのお疲れ様の一杯かといったところだろうか。それでもいつも綺麗な顔で綺麗に整えられた髪の毛とセンスのいい服を着てお店を訪れる。


イズミ「四十崎さんはいつからこっちに?」

『私は高校からです!』

イズミ「…は?いくつ…?」

『今年17になります!』

正確には来年の2月で…なんだけど、まぁそこは必要な情報ではないだろうと思って口にすることはない。でも、イズミさんは意外だったのか驚いた顔で固まる。

イズミ「同い年くらいだと思ってた」

『…?イズミさんはおいくつなんですか?』

イズミ「今年19」

『あっ…二つ上なんですね』

イズミ「あと俺の名前、瀬名泉」

『……苗字じゃなかったんですね』

瀬名「そう思ってると思ってた。まぁ四十崎さんなら泉さんでもいいよ」

『そんな…年上にはちゃんと敬語使えます』

瀬名「知ってる。じゃあまた来るね」

『いってらっしゃいませ!』

そういってアメリカーノを受け取って瀬名さんは店を去っていった。同い年と思われていたってことは少しは大人っぽくなっているってことなのかと思うと嬉しくなってしまって、ルンルンでコーヒーをいれているとミスしてしまいオーナーに怒られてしまう。
調子に乗ってしまうのは、まだまだ子供ってことなのかと落ち込んでしまう。でも、次会った時にまた瀬名さんに「大人っぽくなった?」なんて言ってほしくて少し努力してみようと心のどこかで思っていた。









ーー休日。
アルバイトですっかり忘れていたが、私は立派な高校生だ。学校の課題もある、絵画に特化した学校だから課題もそういう製作するものが多い。
夏も終わって秋頃に入って日本の気候に似ているフィレンツェの街にはわずかに紅葉の色に染まり始めていた。
近所の公園にキャンバスを持っていけば草っ原に座り込んで、鉛筆片手に公園の絵を下書きしていく。集中して描き始めれば、周りは見えなくなって自分の世界に入っていく。鉛筆で大まかに輪郭を捉えていく、池に木に大地それに空…鳥に人に……と描いていると急に謎の物体が私の視界を遮った。

『…っ…なにこれ…楽譜…?』

「お〜い!こっちに楽譜飛んでこなかったかぁ〜!」

私の元に走ってきたのは男性にしては少し高めで弾んだ声だった。声のする方を向くと、バーミリオンの髪の毛とキラキラとしたペリドットの瞳がこちらを見ていた。

『あの…これ…』

「おぉ〜ありがとう!無くすと怒られるんだよぉ〜助かった…えっと…、『画家』ちゃん」

『画家ちゃん…?』

「それ、お前が描いてるんだろ〜?うまいな…!」

『あっ…これは途中で…』

「あっ、途中のもの見られたくないタイプ?おれもおれも!やっぱ見られるなら完成作品がいいよな!」

『えっと…』

「?……あぁ、名乗ってなかったな!おれは月永レオ!天才作曲家だ!」

『月永さん…』

月永「レオでいいよ!苗字長いし!」

『れおさん…』

れおさんは笑顔で「おれもここで続きしていいか?霊感(インスピレーション)が湧いてきた!」と私の返事を聞くこともなく背負っていたカバンから五線紙を取り出しポケットに入っていたペンで音符を書き始める。あぁ…この人もきっと私と同じ集中し始めると、周りが見えなくなるタイプの人間だと察する。私も彼の存在を認めつつ、自分の絵に集中する。

集中し始めてどれくらいの時間が経っただろうか、下書き…それから影部分の着色をする。それから寒色をいれて暖色をいれる。大まかな着色をして今日はこの辺で、と顔を上げるとれおさんがガン見していてギョッとしてしまう。

月永「悪い!こういうの目の前で見ることなくてつい…」

『いえ…大丈夫ですよ。代わりにれおさんの曲聞かせてください』

月永「あぁ!いいぞ!おれの名曲を…っと…」

れおさんが完成した楽譜を広げようとすると、それを遮るように男の人の声が聞こえる。その声はどこか聞き覚えがあって、なんだったら昨日聞いた気がすると思いながられおさんと声のする方を見る。

瀬名「れおくん!ちょっとぉ…何時まで外でてるのぉ?アイツが心配してたよぉ」

月永「おぉ!セナだ!いやぁ…この『画家』ちゃんから霊感(インスピレーション)を与えられてさぁ!名曲が生まれたぞ…☆」

瀬名「『画家』ちゃん…ってあれ?四十崎さん?」

そういって深くかぶった帽子をあげてこちらを見たのはアイスブルーの瞳を持った瀬名さんだった。いつもよりは少しラフな格好から今日はオフだったのだと察する。

『こんにちは、瀬名さん』

瀬名「はい、こんにちはぁ〜…まぁもうすぐこんばんわだけどねぇ」

『えっ…』

瀬名さんの声に、あたりを見回すと確かに日が沈みかけていた。それと同時にいつもとは完全に話し方の違う瀬名さんに少し驚く。いつもきっと猫かぶって話しているなんて思っていたけど、今日はそれを全く感じなくて、これが本当の瀬名さんなんだと感じる。それは私と馴染んだ証拠なのか、れおさんがいるからなのか…わからないけど少し心があったかくなった気がする。

『瀬名さんのいう通りですね。今日はもう帰ります!れおさん、また会った時にぜひ曲聞かせてください』

月永「あぁ!いつでも聞かせてやる!お前も絵が完成したら見せてくれ!」

『はい!これは学校に出さないとなので…画像になってしまうかもしれませんが…』

瀬名「…四十崎さんって絵描くんだ」

『はい!そのために留学したので…瀬名さん、そんな感じで話されるんですね!お兄さんみたい』

瀬名「…お兄さんだっての」

瀬名さんは少し驚いた顔をした後にクスリと笑う。今日はマスクもサングラスも…何もしてないからダイレクトにその綺麗な笑顔が見えてなんだか心臓に悪いと感じた。
そういえば、れおさんもだけど二人とも日本人の中では顔面偏差値が高い人だな…。こっちでは整っている人が多いからあまり感じなかったけど日本では引く手数多だろうなんて余計なことを考えていた。

瀬名「帰るなら、お兄さんが送ってあげるよ」

『そんなお客様のお手を…』

瀬名「ここではお客さんじゃなくて顔見知り、でいいでしょ?」

『…うっ』

瀬名「年上のいうことは聞いておくべきだよぉ…れおくんも一人で帰れるでしょ?」

月永「あぁ!『画家』ちゃんも送ってもらえ!女の子ひとりじゃ危ないだろ!」

『は…はい』

二人に押されてしまい、ありがたいことに瀬名さんに家まで送ってもらえることになった。れおさんはルンルンで先に帰ってしまい私と瀬名さんの二人取り残されてしまった。

瀬名「じゃあ行こうか」

『すみません、よろしくお願いします』









第2話
『こんな急展開あるものなんですね』









3/20ページ
スキ