第二章 私の未練の話
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『ちゃんと『お別れ』しないといけないって…思ってました。』
瀬名「…なに…言ってんの?」
『泉さん、私と別れてください。』
瀬名「やだ」
『私と泉さんは立場が違います。それに、私には夢があります。それを叶えるまでは誰とも一緒になる気はありません』
瀬名「…そこまで言うあんたの夢ってなんなの」
『人に夢を話すと叶わないって言いませんか?』
瀬名「……それは違うと思うけど」
『私の夢は人に言うと叶わないんです…とにかく夢が叶うまでは誰とも付き合う気もましてや結婚する気もないです。それが『Knights』の瀬名泉でも……過去に恋した瀬名泉でも…それは変わりません』
瀬名「…じゃあ願いが叶ったら」
『まだ先の話です。だからそんなたらればの話はしないでください』
瀬名「今は…付き合えないってことだと思っていいの?」
『あまり…色々言わないでください。私の言葉に答えてください……
泉さん、私と別れてください』
瀬名「………
わかった。別れよう、陽菜」
俺のひとことに陽菜は一瞬驚いた顔をして、目をウルウルさせながら笑った。俺は間違ったことをしたかもしれない、でも後悔はない。俺が夢をおってフィレンツェに行くことを応援してくれたパパやママ…仲間たち…そんな彼らを俺は間違っているなんて言えない。だから、夢を叶えるために頑張っている陽菜を応援しないといけない立場のはずだ…だから……だからこれは間違ってない。
だったら…とか、かも知れない…とか、今はそうじゃない。
ただ今は…夢を叶えるために頑張らないといけない陽菜を俺で縛りつけるのは違うと思った。言えない夢をいつか話してくれるまでは『恋人』じゃなくて『友人』でいてあげるのもお兄さんである俺の役目だと…そう言い聞かせた。
瀬名「もういいよ…あんたがそこまで言うなら別れてあげる。今まで付き合ってくれて、ありがとう…陽菜。言うのが遅くなったけど、とっても綺麗になったね。その髪色似合ってる…
それから、いい会社に入っていい人に恵まれたんだね。それと……
大好きだよ」
きっとお互いこの数年未練があったのだろう。それを我慢できるかできないかの違いだ。
でも今は陽菜が流す涙を拭えるのは俺だけだって事実だけに満足するとしよう。多くは望まない、まだ傍にいれる…離れ離れになるわけじゃない。今は別れてもまた…いつかお互いが想う心があればまた…
瀬名「陽菜……俺と『友達』になってください」
『……はいっ』
俺の恋はここで初めて終わりを告げる。でもそれは第一章の終わりでこれが最終章ではない、最終章はいつもハッピーエンドが鉄則なんだから…。
話し込んでいる間に、夕陽は姿を消し暗闇が訪れていた。陽菜の表情もよく見えない状況で彼女は静かに立ち上がる。そして、数歩進んで振り返る。
『泉さん、私…今度『Knights』のライブ行ってみたいです!』
瀬名「急になにぃ…」
『彼氏のライブに行くのはマウントみたいで嫌でしたけど……友達のライブなら気負いせず見られます!それに、お友達チケットなら受け取れます』
瀬名「あっそ…」
『歌う泉さん楽しみです!』
笑った陽菜に俺も笑みがこぼれる…。
少し時間は空いたけど、俺たちの別れを誰も否定もできないし友達になったことを「変だ」と眉を顰める人もいるかも知れない。それでいい、俺たちの答えは俺たちだけのものだ。
ここで別れる、それが俺たちの答え。仮定の話はしないし、過去を後悔なんてしない…見据えるのは未来だけだ。
瀬名「アイドルの俺の姿をみて、惚れないでよね?」
『あははっ、ないない』
瀬名「おいっ」
『でも推しは『泉さん』っていいますね!』
こうやって今ある幸せを噛み締める。それだけで充分じゃないのかな…
瀬名「友達なんだし、泉さんじゃなくて泉って呼んでみなよ」
『えぇ…なんですかその要求…』
瀬名「ほら早く」
『ん〜…じゃあ泉くん…?』
瀬名「……まあ?今日はその辺で見逃してあげる」
『上から目線…正直引きます…』
瀬名「なんだって…?」
『あははっ…!痛い痛い!』
こうやって俺の視界で陽菜が映って笑ってくれる、それだけで大きな進歩だと思おう…。もしあのまま意地をはっていたら陽菜はまた俺から離れていっただろうし、今度こそもう二度と会えなくなってしまうかもしれなかった。そうなっていれば、俺だけじゃなくて紡もれおくんも…今日仲良くなったなるくんもきっと悲しむ…。
瀬名「陽菜……もう勝手にいなくなったりするのはやめてよね」
『……ずいぶん重いお友達ですね』
瀬名「俺が重いのは知ってるでしょ?」
『ん〜…確かに…心あたりがあります』
瀬名「そこは否定しなよ」
『でも…そういうとこ嫌いじゃないですよ』
瀬名「………」
『ぎゃあっ!顔を近づけないでください!』
瀬名「はぁ⁉︎痛いんだけど!」
誘われた気がしてキスしようとしたら、陽菜は俺の頬を容赦無く叩いた。昔ならそんなことはしなかったのに、そんな関係性の変化にも少し嬉しさを感じている自分がいて…なんだか今までに感じたことのない変な気持ちになった。
『友達はそんなことしません』
瀬名「フィレンツェでは頬にキスとか挨拶みたいなもんでしょ」
『私も泉くんも日本人です』
瀬名「はいはい…照れ隠しだよねぇ〜」
『泉くんが1番チョ〜うざいです』
瀬名「はいはい大きなお世話〜」
これが今の俺たちの最適解。それでいい。
第十七話
『話聞いてくださいよ!』
→
『ちゃんと『お別れ』しないといけないって…思ってました。』
瀬名「…なに…言ってんの?」
『泉さん、私と別れてください。』
瀬名「やだ」
『私と泉さんは立場が違います。それに、私には夢があります。それを叶えるまでは誰とも一緒になる気はありません』
瀬名「…そこまで言うあんたの夢ってなんなの」
『人に夢を話すと叶わないって言いませんか?』
瀬名「……それは違うと思うけど」
『私の夢は人に言うと叶わないんです…とにかく夢が叶うまでは誰とも付き合う気もましてや結婚する気もないです。それが『Knights』の瀬名泉でも……過去に恋した瀬名泉でも…それは変わりません』
瀬名「…じゃあ願いが叶ったら」
『まだ先の話です。だからそんなたらればの話はしないでください』
瀬名「今は…付き合えないってことだと思っていいの?」
『あまり…色々言わないでください。私の言葉に答えてください……
泉さん、私と別れてください』
瀬名「………
わかった。別れよう、陽菜」
俺のひとことに陽菜は一瞬驚いた顔をして、目をウルウルさせながら笑った。俺は間違ったことをしたかもしれない、でも後悔はない。俺が夢をおってフィレンツェに行くことを応援してくれたパパやママ…仲間たち…そんな彼らを俺は間違っているなんて言えない。だから、夢を叶えるために頑張っている陽菜を応援しないといけない立場のはずだ…だから……だからこれは間違ってない。
だったら…とか、かも知れない…とか、今はそうじゃない。
ただ今は…夢を叶えるために頑張らないといけない陽菜を俺で縛りつけるのは違うと思った。言えない夢をいつか話してくれるまでは『恋人』じゃなくて『友人』でいてあげるのもお兄さんである俺の役目だと…そう言い聞かせた。
瀬名「もういいよ…あんたがそこまで言うなら別れてあげる。今まで付き合ってくれて、ありがとう…陽菜。言うのが遅くなったけど、とっても綺麗になったね。その髪色似合ってる…
それから、いい会社に入っていい人に恵まれたんだね。それと……
大好きだよ」
きっとお互いこの数年未練があったのだろう。それを我慢できるかできないかの違いだ。
でも今は陽菜が流す涙を拭えるのは俺だけだって事実だけに満足するとしよう。多くは望まない、まだ傍にいれる…離れ離れになるわけじゃない。今は別れてもまた…いつかお互いが想う心があればまた…
瀬名「陽菜……俺と『友達』になってください」
『……はいっ』
俺の恋はここで初めて終わりを告げる。でもそれは第一章の終わりでこれが最終章ではない、最終章はいつもハッピーエンドが鉄則なんだから…。
話し込んでいる間に、夕陽は姿を消し暗闇が訪れていた。陽菜の表情もよく見えない状況で彼女は静かに立ち上がる。そして、数歩進んで振り返る。
『泉さん、私…今度『Knights』のライブ行ってみたいです!』
瀬名「急になにぃ…」
『彼氏のライブに行くのはマウントみたいで嫌でしたけど……友達のライブなら気負いせず見られます!それに、お友達チケットなら受け取れます』
瀬名「あっそ…」
『歌う泉さん楽しみです!』
笑った陽菜に俺も笑みがこぼれる…。
少し時間は空いたけど、俺たちの別れを誰も否定もできないし友達になったことを「変だ」と眉を顰める人もいるかも知れない。それでいい、俺たちの答えは俺たちだけのものだ。
ここで別れる、それが俺たちの答え。仮定の話はしないし、過去を後悔なんてしない…見据えるのは未来だけだ。
瀬名「アイドルの俺の姿をみて、惚れないでよね?」
『あははっ、ないない』
瀬名「おいっ」
『でも推しは『泉さん』っていいますね!』
こうやって今ある幸せを噛み締める。それだけで充分じゃないのかな…
瀬名「友達なんだし、泉さんじゃなくて泉って呼んでみなよ」
『えぇ…なんですかその要求…』
瀬名「ほら早く」
『ん〜…じゃあ泉くん…?』
瀬名「……まあ?今日はその辺で見逃してあげる」
『上から目線…正直引きます…』
瀬名「なんだって…?」
『あははっ…!痛い痛い!』
こうやって俺の視界で陽菜が映って笑ってくれる、それだけで大きな進歩だと思おう…。もしあのまま意地をはっていたら陽菜はまた俺から離れていっただろうし、今度こそもう二度と会えなくなってしまうかもしれなかった。そうなっていれば、俺だけじゃなくて紡もれおくんも…今日仲良くなったなるくんもきっと悲しむ…。
瀬名「陽菜……もう勝手にいなくなったりするのはやめてよね」
『……ずいぶん重いお友達ですね』
瀬名「俺が重いのは知ってるでしょ?」
『ん〜…確かに…心あたりがあります』
瀬名「そこは否定しなよ」
『でも…そういうとこ嫌いじゃないですよ』
瀬名「………」
『ぎゃあっ!顔を近づけないでください!』
瀬名「はぁ⁉︎痛いんだけど!」
誘われた気がしてキスしようとしたら、陽菜は俺の頬を容赦無く叩いた。昔ならそんなことはしなかったのに、そんな関係性の変化にも少し嬉しさを感じている自分がいて…なんだか今までに感じたことのない変な気持ちになった。
『友達はそんなことしません』
瀬名「フィレンツェでは頬にキスとか挨拶みたいなもんでしょ」
『私も泉くんも日本人です』
瀬名「はいはい…照れ隠しだよねぇ〜」
『泉くんが1番チョ〜うざいです』
瀬名「はいはい大きなお世話〜」
これが今の俺たちの最適解。それでいい。
第十七話
『話聞いてくださいよ!』
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