第二章 私の未練の話
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結局なるさんも一緒にお買い物をしようということになって、3人でお店を回ることになった。私の隣にはなるさんがいて私の後ろには泉さんがいた。
鳴上「陽菜ちゃんは、お祝いだと何が欲しいとかある?」
『私ですか…?既婚者じゃないのであまりイメージ湧かないですけど…』
鳴上「何が欲しいかでいいのよ!」
『お揃いのお箸とかでしょうか…?』
鳴上「あら!可愛いもの欲しがるのね!」
『漆塗りのお箸だと大人っぽいですし持ちがいいと聞いたことがあります!』
鳴上「うんうん!いいじゃない♪」
『でもなるさんが買うのって『Knights』の皆さんで買うやつなんですよね?だとしたら、ちょっと庶民的すぎますよね…』
鳴上「そうかしら?アタシたちはアタシたちよォ?アイドルも一般人もないわっ♪」
瀬名「じゃあ俺たちからのお祝いをお箸にしよっか♪」
鳴上「ちょっとォ、泉ちゃんは入ってこないでくれる?」
瀬名「はぁ?俺と陽菜のデートなのに、なんでなるくんがでしゃばるわけ」
『あ…あの…』
鳴上「何よっ!女の子を泣かせる人は乙女の敵よ!」
瀬名「はぁ?何自分が乙女みたいな言い方してるのぉ?勘違いはやめてよねぇ!」
『喧嘩しないでくださいっ!』
2人が言い合いをすると、いくら変装しているとはいえ大の大人が言い合いしていたら目立ってバレてしまう。私は2人の腕を掴んで走る、どこか雑貨ショップに入ってしまえば2人ともプレゼント選びで夢中になってくれるはず…!
そう思って、適当に良さそうな店に入ってしまう。2人ともキョロキョロと店内を見渡す。
瀬名「ふ〜ん良さげな店だねぇ」
『そうですね…小物とかも可愛い…』
鳴上「さすが姫ちゃん♪いいお店知ってるわねっ♪」
『いや…あはは…何買うか決めましょう』
適当に入った店は2人のお気に召したようで静かに店内を見渡している。とりあえず、騒ぎは免れたようで安心して私もその後をついて行く。
瀬名「俺と陽菜からは、夫婦箸をあげようねぇ」
『私と泉さんの名前であげるんですか?私他人ですよね?』
鳴上「あら!姫ちゃんは『Knights』の名前もしくはアタシと連名で出すのよォ!」
『なるさんって私と初対面ですよね⁉︎』
鳴上「でももうお友達でしょ♪」
『そっか、お友達でなら問題ないですね』
瀬名「俺もお友達名義だから!」
『泉さんは…あやしい…』
鳴上「そうねぇ…陽菜ちゃん危ないから離れておきなさい…」
瀬名「不審者扱いするなぁ!」
ふざけながらも、店内を物色する。私も何かいいものはないかと探す…くまさんのことは泉さんや姉の話で聞く範囲のことやテレビでやっていることくらいしか知らないし…奥さんであろう美羽子さんもテレビで見る姿しか知らないから2人がどういう人物かっていうのはあまりイメージできないというのが正直なところである。
…そんな時ふと見たグラスに目がいく。
すごく、綺麗だ…
瀬名「綺麗だねぇ…」
『はい、とっても…』
瀬名「俺これにする」
『そんな…いいんですか?』
瀬名「うん、あんたの名前並べて出していい?…友達として」
『…友達としてですよ?』
瀬名「わかってる」
泉さんはそう笑って二つのグラスを持ってレジへと歩いて行った。どうやらその様子を見ていたなるさんがこちらに近づいてきて嬉しそうに微笑んでいた。
鳴上「いい雰囲気ね♪」
『そんなんじゃありません…』
鳴上「そう?カップルみたいで微笑ましかったわァ」
『違うんです…私と泉さんはただのお友達です…それ以上にはなれません』
鳴上「姫ちゃん…」
『泉さんにはもっと綺麗で素直な人がお似合いなんです…身の程はわかってます』
鳴上「……貴女…」
『さっ!なるさんも早くプレゼント選びましょう♪時間がなくなっちゃいます!』
何かを言いたげにこちらを見るなるさんの背中を押して店内を回った。先ほど言った夫婦箸や夫婦茶碗…他にもセットであげると喜ばれるようなものが多くあった。
『『Knights』の皆さんでは候補とか上がらなかったんですか?』
鳴上「う〜ん、ウチはこういうの協力的であって非協力的なのよねェ」
『そうなんですか?紡さんとかウキウキだと思うんですけど』
鳴上「紡ちゃんは協力的だけど少しズレてるのよねェ…あの子ったら家でも買ってあげれば?とかいうのよォ?」
『お祝いに家ですか…』
鳴上「まぁ…あの家の財力ならできなくもないと思うけど…」
『れおさんはお祝い好きそうですけど』
鳴上「ダメね〜レオくんは曲あげたら万事解決って思ってるから」
『……なるさんの人生に心中お察しします』
鳴上「だ〜か〜ら〜!普通の感性を持っている陽菜ちゃんがいてくれて助かってるのよォ!」
『いいアドバイスができればいいのですが…』
鳴上さんは本当にいい人みたいだ。『Knights』の人柄をわかったうえで自分の役割を理解している、だから買い物を買ってでたし選ぶのにも真剣だ。商品を見ている間にもそれが伝わる。
私もその期待に応えられるようにあたりを見渡す。すると、お会計を終えた泉さんが近づいてきた。
瀬名「なに、なるくんまだ選んでたの?」
鳴上「も〜、泉ちゃんも選んでよォ。『Knights』名義なら泉ちゃんもメンバーでしょ?」
瀬名「そうだけどぉ?俺もう買ったしぃ?」
『そう言わずに泉さんも手伝ってください。なるさん困ってるじゃないですか』
瀬名「なんでそんな仲良くなったの……はぁ、わかった手伝えばいいんでしょぉ?」
泉さんはため息を吐いて私の横に並んだ。私はその様子に苦笑いする、なんだかんだ言って仲間のことを大切に思っているんだなとわかる…。そうじゃなければ自分の名前とユニットの名前と…なんてプレゼントをいっぱい買うとは誰も思わないだろう。
鳴上「……」
瀬名「これは?」
『う〜ん、女子っぽくないですか?』
鳴上「……」
瀬名「じゃあこっち」
『おうちの雰囲気にあいますかね?』
鳴上「……」
瀬名「そう言われると…俺の趣味かも?」
『せめてくまさんの趣味に合わせた方がいいのでは?』
鳴上「………」
瀬名「これはあんたに似合いそう」
『そういうの聞いてないですね』
瀬名「ちょっと!なるくんも真面目に選んでよねぇ!」
鳴上「はぁっ…もういいわ、あとはアタシ1人で選ぶからおふたりさんはデート楽しんできなさい」
『え?』
なるさんはしゃがんでいた身体を起こして私と泉さんの肩を押した。唖然としていると泉さんはそれを理解したように私の手を取ってお店を後にした。
私は振り返るとなるさんは手を振ってお見送りをしてくれた。それに会釈をして泉さんに手を引かれるまま走っていく……
第十五話
鳴上「幸せそうな顔しちゃって…応援したくなるじゃない…」
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