第二章 私の未練の話
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かの有名な天才作曲家は
人は誰でも一冊は本を書ける、人間の数だけドラマがあると唱えた。
私もそう思う。
そして、その物語には必ず…だったら…していれば、なんてたらればの話は一つや二つ…いや、それ以上はあることだろう。
後悔とか可能性とか…願いとか…?まぁそこには色々な感情が篭ったタラとレバーの話が大なり小なりそれぞれ抱えていると思う。
だから、今から書くのは…私のたぶん人生最大のタラの話。
ーーーそして、私の人生最大の未練の話だ。
私は、高校生になった時単身フィレンツェに渡った。今思えばすごいことだと思う。齢15にしてホームステイとはいえ、海外に留学するのは思い切った決断だと感じる。
そんな私が彼と出会ったのは、私が17歳の時バイト先のカフェに彼がやってきたことがきっかけだった。
きっかけはいたって普通で、それから店内で少し話すようになってオフでも仲良くしてもらえて…優しくて世話焼きで…いろんな彼の顔を見ているうちに彼自身に惹かれていって…あることをきっかけにお付き合いすることになった。
付き合った彼は私の二つ年上で、同じ日本人だった。高校を卒業して高い目標を持ってフィレンツェにやってきた。出会った時から綺麗な人だとは思っていたけれど、その綺麗さには彼の素晴らしい努力があるわけだが、付き合ってからもその努力の姿勢は変わることもなくて、むしろより一層努力を感じることが増えたと思う。それがまた彼らしくて愛おしかった。
…だけど、彼は『アイドル』だった。
高校はアイドルを育成する有名校で、そこを卒業してもなお日本では有名なアイドルグループに所属し活動していた。身分の違いは明らかだった。出会いは偶然だったかもしれない、良い言い方をすれば運命の出会いだったかもしれない。
けど現実はひどく残酷だった。彼は瞬く間にフィレンツェでも有名になって自信をつけて日本へと帰っていったのが出会って約2年後のことだ。私はその時、自分のためにひどい別れ方をした。私の別れと未練を添えて…
『また嫌な夢…あぁああ…』
…あれから、さらに2年後私は日本へ帰国し大学を卒業してとある広告代理店へ就職した。
まだまだ就職して数ヶ月程度だから、特に何をしたわけでもない。ただ先輩に言われるがまま仕事を覚えることに必死で、疲れ果てて家に帰ったらご飯を食べてお風呂に入って眠る。朝起きれば家を出て職場に向かう…その繰り返しだ。
そんな忙しい生活をしていればあんな過去のことなんて忘れてしまう。そう思っていたのは最初の二週間程度だった。それを過ぎた頃にはふと思い出してしまう、彼と過ごしたわずか一年半程度の濃い時間を…
だって、彼は今や見ない日はないほどの人気アイドル
『Knights』の瀬名泉なんだからーー
プロローグ
この恋はきっと彼の若気の至り
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