第一章 俺の恋の話
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*瀬名said
陽菜に言われた通り振り返ることなくまっすぐゲートを通って搭乗予定の飛行機に乗り込み自分の席を探す。
自分のせきに大人しく座って彼女からもらったプレゼントを開ける。
そこには小さな箱と少し大きい茶封筒と可愛らしい封筒が一緒に入っていた。
瀬名「やたら軽いと思ったら、これだけぇ?」
なんて憎まれ口を叩きながらその封筒を開けるとそこには見慣れた彼女の文字が羅列されててそれを目で静かに追う…
『泉さんへ
この手紙を見る頃には、きっと飛行機の中にいることでしょう。
私は泣かずに見送れたでしょうか。貴方に縋らずに背中を押すことができたでしょうか。
貴方に出会ってもう一年半ほどが経過したでしょうか?貴方にはいろんなことを教えてもらいました。
フィレンツェに来たばかりの私はまさか自分がモデルさんと付き合うなんて思っていなかったと思います。正直、今でも信じられません…。
でも、この恋には終わりがあるとずっと思っていました。
だって、日本に帰ったら泉さんは人気モデルで人気アイドルで…私が隣に立つには恐れ多い人なんです。
きっと出会うこともなければ話すことも…一緒に生活することも許されない人だと理解した上でずっと一緒にいました。
だから…いい機会だったんです。泉さんが日本に帰るのはいい機会…というより、時が来た。なんて思ったんです。
ここまでの恋だと神様が言ってる気がして、私はここまでだって口で言えなくてこんな形で伝えてごめんなさい。
泉さん、私はここまでです。もう泉さんとは一緒にいられません。
きっと日本に帰ったら私より綺麗で優しい人はいっぱいいます。私より泉さんを愛してくれて泉さんに相応しい人がいるはずです。
幸せになってください。私みたいに意気地なしで直接言えない女よりツンデレの泉さんには直接言葉を言ってくれて向き合ってくれる人がいます。
私のことはもう気の迷いだと思って忘れてください。
さよなら
陽菜』
2枚にわたる手紙をギュッと握りしめて溢れそうな涙を拭う。
どんなに情熱的な恋をしたと思っていても、それは俺だけの一方的な感情で相手がどう思っているかを推し量ることなんて不可能に等しい。俺は愛してた…彼女と出会ってから仕事で会う女もファンだという女も彼女以上に…陽菜以上に輝いてる女の子を知らないし知る予定もない。陽菜以上なんて存在しないのに…彼女はそうじゃない。彼女は俺との恋愛の終わりを察してそれまでに心の準備をして来た。
たまに感じていた。さっきだってそうだ…
急な別れの挨拶や
急に距離を置いたような物言い…
たまに見せる悲しそうな表情がこの手紙の内容を物語っていたのかもしれない。
それに気づいて引き止めることもできなかった。俺の落ち度なのかもしれない、今すぐに引き止めたいと思っても飛行機はもう空港を飛び立っているし…この言い方では連絡先も消してしまったんだろう。連絡手段は絶たれた。もう陽菜と話す手段を失ってしまった。
俺は彼女を…失った。
この恋は、俺の独りよがりな恋だったのかもしれない。俺の一方的で子供っぽい恋だった…年下の彼女の方が幾分か先の未来を見ていて現実を考えていた。
俺は大好きな彼女にきっとひどいことをしてしまったに違いない…
瀬名「…っ…最低じゃん…俺…」
彼女を安心させてあげられなかった。信じさせてあげられなかった…全部全部俺の落ち度だ…。でももう陽菜に会うことはない。
それでも俺はこの恋を捨てきれなくて、思い返して出てくる思い出はどれもキラキラ輝いていた。一緒にいた彼女もキラキラ輝いていたと感じていたし、その表情を作っていたのが自分だと思うと誇らしく思ったし嬉しかった。
けど、もうそれをするのは俺じゃない。俺以外の男があいつを幸せにするんだ…他の男と付き合って…デートして……あいつの笑顔を独り占めすると思うと…悔しい…
もっと愛しておけばよかった。この思いを言葉にすればよかった、自分の描く将来を伝えてあげればよかった。そうすれば彼女も…もう少し…いや考えるだけ無駄だ…だってもう…
瀬名「終わったこと…だもんねぇ…」
溢れる涙をもう止めることはできなくて…かと言ってこの涙が俺と陽菜の思い出を流してくれることはなかった。
泣き疲れて、いつの間にか寝てしまっていたのか…CAさんがかけてくれたであろうブランケットをゆっくりとどける。ふと窓を見ると朝日が昇っていた。あぁ…夜が空けている…今どの辺を飛んでいるんだろう…なんて寝ぼけた頭で考えていると陽菜のくれた紙袋が俺の膝からズレ落ちるのを反射的に持ち上げる。そう言えば手紙と一緒に入ってた茶封筒と小箱は寝てしまったために未開封だった、と思ってガサゴソと漁って小箱を取り出す。
瀬名「…なにこれ…」
小箱の中身は俺がCMに出演した有名ブランドのグロスで、明らかに女物で…嫌がらせか?と思ったけどそういえばこのグロスのテーマは「思いを伝える」でこのカラーはお別れを意味する…。けど…そんな嫌がらせみたいなことをする子じゃなかったと思うんだけど…でもそのくらい覚悟を決めてたってことなんだと思いつつ…茶封筒を開くと一枚の厚紙が入っていてそれをゆっくり引き出して裏返すとそこに広がっていたものに俺は目を見開く。
そこには、夕焼けを背中に笑う俺の絵が描かれていた。いつかの約束を…もう忘れたと思っていた約束を彼女はここで果たすと思っていなくて、でももう陽菜は俺の彼女じゃなくて…どう感情をもっていいのかわからなかった。
紙の上に描かれた俺の顔はまるでレンズの向こうを見るようにまっすぐこっちを見て微笑んでいた。俺の顔が彼女にはこういう風に写っていたのかと思うと先ほど枯れたと思った涙がまた姿を現す。
彼女はどういう思いで…これらを俺に渡したのか理解できないけど…でもこんな俺を狂わすほどに陽菜は魅力的な女の子だった…。
ねぇ、本当にもう会えないのかな
エピローグ
これが俺の一方的な恋の話
第一章 俺の恋の話 end.
……To be continued
陽菜に言われた通り振り返ることなくまっすぐゲートを通って搭乗予定の飛行機に乗り込み自分の席を探す。
自分のせきに大人しく座って彼女からもらったプレゼントを開ける。
そこには小さな箱と少し大きい茶封筒と可愛らしい封筒が一緒に入っていた。
瀬名「やたら軽いと思ったら、これだけぇ?」
なんて憎まれ口を叩きながらその封筒を開けるとそこには見慣れた彼女の文字が羅列されててそれを目で静かに追う…
『泉さんへ
この手紙を見る頃には、きっと飛行機の中にいることでしょう。
私は泣かずに見送れたでしょうか。貴方に縋らずに背中を押すことができたでしょうか。
貴方に出会ってもう一年半ほどが経過したでしょうか?貴方にはいろんなことを教えてもらいました。
フィレンツェに来たばかりの私はまさか自分がモデルさんと付き合うなんて思っていなかったと思います。正直、今でも信じられません…。
でも、この恋には終わりがあるとずっと思っていました。
だって、日本に帰ったら泉さんは人気モデルで人気アイドルで…私が隣に立つには恐れ多い人なんです。
きっと出会うこともなければ話すことも…一緒に生活することも許されない人だと理解した上でずっと一緒にいました。
だから…いい機会だったんです。泉さんが日本に帰るのはいい機会…というより、時が来た。なんて思ったんです。
ここまでの恋だと神様が言ってる気がして、私はここまでだって口で言えなくてこんな形で伝えてごめんなさい。
泉さん、私はここまでです。もう泉さんとは一緒にいられません。
きっと日本に帰ったら私より綺麗で優しい人はいっぱいいます。私より泉さんを愛してくれて泉さんに相応しい人がいるはずです。
幸せになってください。私みたいに意気地なしで直接言えない女よりツンデレの泉さんには直接言葉を言ってくれて向き合ってくれる人がいます。
私のことはもう気の迷いだと思って忘れてください。
さよなら
陽菜』
2枚にわたる手紙をギュッと握りしめて溢れそうな涙を拭う。
どんなに情熱的な恋をしたと思っていても、それは俺だけの一方的な感情で相手がどう思っているかを推し量ることなんて不可能に等しい。俺は愛してた…彼女と出会ってから仕事で会う女もファンだという女も彼女以上に…陽菜以上に輝いてる女の子を知らないし知る予定もない。陽菜以上なんて存在しないのに…彼女はそうじゃない。彼女は俺との恋愛の終わりを察してそれまでに心の準備をして来た。
たまに感じていた。さっきだってそうだ…
急な別れの挨拶や
急に距離を置いたような物言い…
たまに見せる悲しそうな表情がこの手紙の内容を物語っていたのかもしれない。
それに気づいて引き止めることもできなかった。俺の落ち度なのかもしれない、今すぐに引き止めたいと思っても飛行機はもう空港を飛び立っているし…この言い方では連絡先も消してしまったんだろう。連絡手段は絶たれた。もう陽菜と話す手段を失ってしまった。
俺は彼女を…失った。
この恋は、俺の独りよがりな恋だったのかもしれない。俺の一方的で子供っぽい恋だった…年下の彼女の方が幾分か先の未来を見ていて現実を考えていた。
俺は大好きな彼女にきっとひどいことをしてしまったに違いない…
瀬名「…っ…最低じゃん…俺…」
彼女を安心させてあげられなかった。信じさせてあげられなかった…全部全部俺の落ち度だ…。でももう陽菜に会うことはない。
それでも俺はこの恋を捨てきれなくて、思い返して出てくる思い出はどれもキラキラ輝いていた。一緒にいた彼女もキラキラ輝いていたと感じていたし、その表情を作っていたのが自分だと思うと誇らしく思ったし嬉しかった。
けど、もうそれをするのは俺じゃない。俺以外の男があいつを幸せにするんだ…他の男と付き合って…デートして……あいつの笑顔を独り占めすると思うと…悔しい…
もっと愛しておけばよかった。この思いを言葉にすればよかった、自分の描く将来を伝えてあげればよかった。そうすれば彼女も…もう少し…いや考えるだけ無駄だ…だってもう…
瀬名「終わったこと…だもんねぇ…」
溢れる涙をもう止めることはできなくて…かと言ってこの涙が俺と陽菜の思い出を流してくれることはなかった。
泣き疲れて、いつの間にか寝てしまっていたのか…CAさんがかけてくれたであろうブランケットをゆっくりとどける。ふと窓を見ると朝日が昇っていた。あぁ…夜が空けている…今どの辺を飛んでいるんだろう…なんて寝ぼけた頭で考えていると陽菜のくれた紙袋が俺の膝からズレ落ちるのを反射的に持ち上げる。そう言えば手紙と一緒に入ってた茶封筒と小箱は寝てしまったために未開封だった、と思ってガサゴソと漁って小箱を取り出す。
瀬名「…なにこれ…」
小箱の中身は俺がCMに出演した有名ブランドのグロスで、明らかに女物で…嫌がらせか?と思ったけどそういえばこのグロスのテーマは「思いを伝える」でこのカラーはお別れを意味する…。けど…そんな嫌がらせみたいなことをする子じゃなかったと思うんだけど…でもそのくらい覚悟を決めてたってことなんだと思いつつ…茶封筒を開くと一枚の厚紙が入っていてそれをゆっくり引き出して裏返すとそこに広がっていたものに俺は目を見開く。
そこには、夕焼けを背中に笑う俺の絵が描かれていた。いつかの約束を…もう忘れたと思っていた約束を彼女はここで果たすと思っていなくて、でももう陽菜は俺の彼女じゃなくて…どう感情をもっていいのかわからなかった。
紙の上に描かれた俺の顔はまるでレンズの向こうを見るようにまっすぐこっちを見て微笑んでいた。俺の顔が彼女にはこういう風に写っていたのかと思うと先ほど枯れたと思った涙がまた姿を現す。
彼女はどういう思いで…これらを俺に渡したのか理解できないけど…でもこんな俺を狂わすほどに陽菜は魅力的な女の子だった…。
ねぇ、本当にもう会えないのかな
エピローグ
これが俺の一方的な恋の話
第一章 俺の恋の話 end.
……To be continued