最終章 ナズナ
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私は…朔間美羽子…です。最近、朔間の姓に変わりまして芸能活動は天崎美羽子のままで活動しております。
そ…そんなことはどうでもいいんです!なぜ、私は今高級料理店に連れられているのでしょう…。凛月とふたりならまだわかります…。けど、私の隣には凛月が座ってて…右手側に…泉さんが腕組んで座っててその右隣に月永夫妻…凛月の左手側に嵐ちゃんと司くんが座っている。
高級料理店のしかも上座にリーダーやプロデューサーさんを差し置いて座るなんて…どうしていいかわからない。しかも、結婚祝いというムードにはどうしても思えないほど泉さんがしかめっ面をなさっている…。
『あの…これはどういった会なのでしょうか…』
月永「『Knights』恒例のお食事会だ!気軽に飯食っていけ!」
鳴上「ここのご飯美味しいのよォ♪コラーゲンもたっぷり♪」
朱桜「美羽子さん!とにかく、親睦会も込みですので肩の力を抜いてお楽しみください!」
『えっと…泉さんが怖すぎて…』
私がそうこぼすと、泉さんの隣に座っていた月永さんがガコッと泉さんの椅子の足を蹴る。泉さんは少しいじけたような表情でこっちに「気にしないで」っと吐き捨てる。すると凛月が私の耳元に寄ってきて小声で話す。
凛月「セッちゃん、同い年組で結婚最後なの気にしてるの」
『え…そんな…』
凛月「だからちょっと焦ってるって言うか一人にされていじけてるんだよ」
『ほへぇ…』
泉さんも以前からいい相手がいるように思っていたのだけど、これは私の勘違いだったのかもしれない…。それにしても、月永さんはなんだか思っていたよりも足癖が悪いのか…いや、少しだけ泉さんに対して当たりが強い気がする…。
女王「今日は凛月と美羽子さんのお祝いの席なのに、なんで笑っていられないの泉」
瀬名「うるさいなぁ!普通にわかるでしょ⁉︎なんで俺が夫婦に挟まれないといけないのぉ⁉︎しかも両サイド嫁ってなに⁉︎」
女王「そりゃ…泉は『Knights』の嫁枠だから私たちと同じ枠でしょ?」
瀬名「すごく不愉快!」
『あぁっ!私が席変わります!凛月!席変わろう!』
凛月「早く告白できるといいねぇ〜セッちゃん」
凛月の言葉でみんなが凍りつく。そのニヤリ顔が泉さんの沸点をさらに下げていく。泉さんは怒った顔でプルプルと震え拳を握りしめる。私は背中を汗が通る。
瀬名「くまくん、チョ〜うざぁい!結婚したからって調子乗んないでよねぇ!」
凛月「でも、事実じゃん〜」
月永「待って待って!まだ告白してなかったのか⁉︎あの画家ちゃんと!」
朱桜「画家ちゃん…?」
鳴上「泉ちゃんが気になってる子よ」
瀬名「うるさいなぁ!俺の話するなら帰るんだけどぉ!」
泉さんはなんやかんやで『Knights』のいじられ役なのかもしれない…。普段お仕事で一緒になる泉さんはプロ意識の塊で、こんな隙だらけの感じや年頃の男性しい表情は見たことなかったので、なんだか面白くって自分の口から小さく空気がこぼれ出してしまう。
女王「もういいでしょ。みんな、泉をからかってもご飯は美味しくならないから」
『美味しくならないって…』
凛月「そうだねぇ〜セッちゃんもそんなに嫌なら王さまと席代わってもらいなよ」
月永「いいぞ〜!ワガママなセナのために席を代わってやろう!」
瀬名「もういいよ!早く食べよう!」
朱桜「おや…瀬名先輩の彼女の話も聞きたかったものですが…」
瀬名「新婚の話でも聞きなよ…」
『いいじゃないですか!私『Knights』のこともっと知りたいです!せっかく…その皆さんの身内になったので…』
月永「そうだな!おれたちの話もしよう!もちろんお前の……美羽子の話も教えてくれよ♪」
『…っはい!』
レオさんの声にみんなが頷いてからお食事会は順調に進んでいった。嵐ちゃんに馴れ初めやプロポーズの言葉を聞かれたり、朱桜さんに仕事の話で演技についての事聞かれたり…、レオさんには音楽に興味ないかとか作曲がどうの…それと奥さんのノロケ話を聞かされたり…。それを止めた月永さんに舞台の観劇を誘っていただいたり…。
なんだか、家族みたいで自然と笑顔になれる空間だった。さっきまで少し怒ったような泉さんも大笑いはしないけど微笑んでいた。隣の凛月もすごく幸せそうに笑っていた。
朱桜「…おや、そろそろお時間ですね。お姉様」
女王「ほんとだ…じゃあそろそろ行きますかっ!」
凛月「いくってどこに?今日はオフのはずでしょ?」
瀬名「俺たちハイツからオフでも集まる仲良し集団になったわけぇ?用がなければ集まんないよ」
鳴上「その言い方はどうかと思うけど…、まぁ用事があるのよォ!さぁっ、美羽子ちゃんはアタシと女王様といくわよォ」
『へっ…?あの』
月永「リッツはおれたちと一緒に移動だ!いくぞ〜!あはは☆」
私は月永さんと嵐ちゃんに腕を引かれて移動の車に乗せられる。もう一個後ろに車があったけど、きっとどちらも月永夫妻の車でどこかで見た記憶のあるものだった。
『あのっ!どこへ…』
鳴上「あらあら聞くのは野暮でしょォ?こっちは安全な女王様の車だからゆっくり寝てていいわよォ…♪」
女王「モーツァルトは睡眠にもいい曲があるからそれをかけてあげるね♪さぁっしゅっぱ〜つ☆」
鳴上「お〜☆」
『お…お〜…』
テンション高めな二人に連れられてレストランから出発し、どこかへと向けて車が走り出す。私は最初こそ怖さのあまり起きていたけど、優雅なモーツァルトの楽曲が私を夢の世界へと誘うのは容易で…気づけば目を閉じて後部座席で眠りこけていた。
今思えばこれが失敗だったと…そう思います…
第十話
『むにゃぁ…』
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