第四章 ハナミズキ
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*凛月said
ライブの本番まであと数分ーー
いつものように女王様が衣装の最終チェックをしてくれてからそれぞれ持ち場につく。
そういえば、始まる前に月ぴ〜が何か騒いでたけど…何かあったのかな…?まぁ俺には関係ないか…。
女王「凛月〜!りつりつりつ!」
凛月「なに?俺集中してるんだけど」
女王「凛月の携帯に連絡きてて!見たほうがいいかと思って!」
凛月「だからって携帯を会場裏に持ち込まないでよ」
女王様のテンションに押されて自分の携帯を受け取り、ロック画面を見ると『ゆうくん』からの通知が入っていた。少し慌ててロック画面を開くと、そこには俺のうちわを持って愛らしく笑う美羽子の姿と「応援しにいきます」と一言『ゆうくん』らしい言葉がそえられていた。
女王「なんて!なんてきたの!」
凛月「…はぁ、余計なことしないでよ」
女王「なんの話!凛月!」
俺は携帯を女王様に押し付けて自分の立ち位置へと戻った。女王様は驚いた表情で俺のことを見る。
凛月「安心してよ、その程度で俺は心乱れたりしない。最後までやり遂げるよ、最高の時間をお姫様に…この剣に約束するよ」
そう言って、小道具の剣にキスすれば遠くからカウントダウンが聞こえる。あぁ、もう時間だ…どこで見てるかは知らないけど絶対に来たことを後悔させないよ。
瀬名「ようこそ、俺たちのライブへ!お姫様たち!」
朱桜「最高の時間をお届けいたします」
鳴上「だからアタシたちから目を離さないでねェ♪」
凛月「忠誠を誓うよ、君だけにね…」
月永「おれたちは」
「Knightsーー!」
その声をきっかけに曲が流れ始める。円状になっている花道をひとりひとり歩きながら歌う。近くにいるファンの子を目を合わせながらファンサをしながら…
凛月「あっ…」
見つけた。美羽子だ…それに『ゆうくん』もいる。姉弟で俺のうちわふってくれるなんて…嬉しいなぁ♪そう、そこにいるんだね…見ててこれが『アイドル』の朔間凛月だよ。
中央のステージに『Knights』5人が集まって踊りきれば、正面にはサイリウムの波が綺麗に揺れていた。
月永「うっちゅ〜☆ようこそ、『Knights』のライブへ!」
瀬名「ようこそ、お姫様たちぃ〜。盛り上がってる?……うんうん、上出来♪よくできました」
朱桜「お返事もさることながら、皆さんの”penlight”もとても美しい光を放っております!」
鳴上「あらあら、実況みたいね。うふふ、でも本当に素敵♪今日も最後までみんなで盛り上がっていきましょォ♪」
月永「んん?どうしたんだ、リッツ?珍しいな静かなんて!」
凛月「そう?今日はいっぱいファンサービスをしてお姫様たちを喜ばせたいって思ってるんだ♪だから、俺も最後まで頑張るよぉ〜」
甘い言葉を零せば歓声が上がる。その分、俺のやる気も急上昇だから実に気分がいい。いつものライブよりもやる気はじゅ〜ぶん♪
次の曲フリを担当のス〜ちゃんが話し始めて俺たちはそれぞれの立ち位置につく。最後までやりきろう、きっとやりきったら君に本当の気持ちを話せる。そんな気がするから…
*美羽子said
すごいと思った。
『Knights』の皆さんは仲良くしてくださって友人のような存在でもある。そんな人たちがいざ舞台に上がれば別人のようにキラキラ輝いていた。あんなに近くにいた凛月もいつもは眠たそうな目をニヒルな表情にして、会場全体を引き込むような歌声で歌い上げる。
あぁ…好きだなって思う。けど、それはファンの皆がきっと思っていることなんだよね…。
凛月…貴方はすごい人だね。その一挙一動で…こんなにもたくさんの人が湧く貴方のことを見てる。普通の人なら怯むのに、貴方はその大きな舞台で理路整然と立ってパフォーマンスをしている。
こんなにすごい人が私の彼氏だなんて…ここにいる何人が知っているんだろう。何人がお似合いって言ってくれるんだろう。…よかった、ライブをみれて本当に良かった。
貴方がどれだけすごい人か目の当たりにして、怖い気持ちもあるけど…でも何よりも、貴方のことが好きだと心から思えた。どんな姿の凛月も好きだと思えた。
誰にも負けないくらい君が好き、って自覚できたからライブに来た甲斐があったと本当に思った。…すると、最後の挨拶で『Knights』全員が並んでひとりずつ挨拶をしていく。
朱桜「皆さん今日は楽しんでいただけましたか〜?…楽しんでいただけて嬉しいです。今日という日が皆さんにとって宝物のような日になっていると私も嬉しいです♪また必ずお会いしましょう!」
鳴上「今日はみんなの笑顔が見れて本当に良かったわァ♪やっぱり直接みんなに会えるのが一番幸せよねェ!お姫さまを笑顔にしてるのがアタシたちって思うとアタシたちまで笑顔になれるわァ♪今日も幸せをありがとうお姫さま♪」
凛月「今日はみんな来てくれてありがとう…、楽しんでくれた?……うんうん、良かった良かった♪また直接会えるのは先だけど、次会うときは今日よりも楽しませてあげるから期待して待ってて?」
瀬名「今日、みんなと過ごせて本当に楽しかったよぉ♪今日の感謝をまた次のライブでお姫さまたちに届けるねぇ♪」
月永「うっちゅ〜☆みんな〜今日はありがとう♪今日一緒に過ごせた一分一秒がおれにとって最高の宝物だ♪これからも一緒に思い出をいっぱい増やそう!だから約束してくれ、また会いに来てくれよなお姫さま♪」
それぞれがファンの方に甘い言葉を囁いてステージから去っていく。しかし、本来明るくなるはずの会場は暗いままで中央の液晶に大きく『重大発表』と書かれ歓声が上がる。
そして、『Knights』全員が画面に映る。会場全員がその画面に釘付けになる
月永「うっちゅ〜☆
別れる前におれたち『Knights』から大事なお知らせだ!」
瀬名「今日会場に来てくれているお姫さまと『Knights』の握手会を行うことが決定したよ〜♪けど、全員っていうわけにはいかないから、今からロビーに貼り出される番号の人だけってことになってるから外れた人は本当にごめんね?」
鳴上「また次の機会に絶対握手しましょ!今日は100人の人とさせてもらうけど、次は何百人と握手するわァ♪」
朱桜「そう言うわけにもいきません…。皆さん、突然のことで驚くことかと思いますが、これは来年のテーマにも繋がることですのでぜひルールを守ってご参加いただければと思います。」
凛月「ひとりに時間は取れないけど、それでも心を込めて握手するから楽しみにしててね。それじゃあ…またね♪」
「『Knights』のお姫さまたちーー」
そう言って、『Knights』の映像は途切れた。会場は今までにない演出にざわざわと騒ぐ声が止まらない。握手会を…この人数に対して限定100人だけの握手会…しかし、私がチケットをもらった時には握手会がついていると…言われた気がする。私は自分の持っているチケットをガン見する。確かにチケット自体には握手会つきなんて書いていない。なのに、握手会がついているなんておかしいじゃないのではないか…?
悠人「ねえちゃん…?どうするロビーでる?」
『少し減ってからにしよう。きっと握手会も全員出てから行うはずだし…人が減ってからじゃないと…』
悠人「…そう、ならいいけど早く会いたいのかと思った」
『…そんな顔してる?』
悠人「してるかな…?なんか、楽しそうな嬉しそうな…?この気持ちを誰かに話したいって顔」
『…そう…』
私は女優失格かもしれない…。表情を制御しきれないなんて賞をとってる女優の名が廃る…。恥ずかしい…すると、被ってた帽子をゆうくんがさらに深くかぶせる。
悠人「これからはいっぱい話せるじゃん。もう、遠回しじゃなくて正直に話せよ」
『うん…頑張るね、ゆうくん』
第九話
『もう素直になる権利をもらったから』
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