第四章 ハナミズキ
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約束のオフの日、私は凛月が来るのを掃除をしながら待っていた。約束の時間の数分前にエントランスのチャイムの音がして人を確認してからインターホンのボタンを押す。
慣れたようにも思っていたのにやはり家に好きな人が来るというのはソワソワしてしまう。最終チェックとして髪の毛が変じゃないか、メイクはおかしくないかを確認していると今度は玄関から呼び出され掃除したばかりのフローリングをペタペタと小走りに、玄関まで向かい。のぞき穴を確認してから玄関の鍵を開ける。
『いらっしゃい、凛月』
凛月「うん、お邪魔します♪」
目的の人物は玄関でいつも被っている黒色の帽子を脱いでコートも脱いでいく。私はそれを受け取って、先を歩く凛月は靴を綺麗に揃えて私の後について来る。
『何か飲む…?』
凛月「う〜ん、美羽子のオススメでいいよ。」
『じゃあ、凛月の為に買った紅茶があるから一緒に入れよう?』
凛月「ヘェ〜いいね、入れてあげる」
『うふふっ』
凛月「なに、その気持ち悪い笑いは」
『気持ち悪いって失礼だなぁ…いいじゃん、なんだか新婚さんみたいで…いいなって』
凛月「えっ…」
なんだか脱いだものを受け取って一緒に部屋に入って一緒に台所にたつなんてどこか新婚夫婦みたいでいいなと感じたのは事実だ。別にそれが今までなかったわけではないのだけど…、その一連の流れを自然にできるようになったのがなんとなく嬉しさを感じてしまってニヤケてしまった。
『ごめんね、なんか自然な流れでこんなことできるようになるなんて嬉しくて…』
凛月「ううん、これからはいくらでもできるよっ♪」
『うん、ありがとうね凛月!』
凛月「じゃあ、紅茶入れて映画でも見る?」
『見よう!あとケーキ食べよう♪凛月の好きなチョコのやつ買ったの』
凛月「ほんと?それは楽しみだなぁ」
そういって、ふたりで台所で作業する。紅茶は凛月がケーキは私が準備してそれぞれ準備ができればテレビの前のテーブルに置いていく。他にもお菓子や凛月が借りてきたであろうDVDが数枚置いてあった。
『凛月はどれが最初がいいの〜?』
凛月「セッちゃん出てるやつがあるんだけど、それ映画館で見れなかったから最初に見たいかも…遅くに感想送ると怒るんだよね」
『泉さんが?楽しみ!』
準備ができた凛月が先にソファー座ってクッションを膝の上に乗せる。私はケーキのお皿にフォークを乗せて言われたDVDをプレイヤーに入れてリモコンを凛月に渡す。
凛月も慣れた手つきでテレビを操作していく。私はその隣に座ってブランケットを凛月と自分の膝にかける。
『泉さんって本当に綺麗なお顔してるよね』
凛月「えぇ…まぁ綺麗だとは思うけどさ、それ彼氏の前で言う?」
『芸能人を好きって言うのと同じだと思うけど…。』
凛月「じゃあ俺が共演した女優のこと好きって言ってもいいの?」
『別に…いいけど…』
凛月「へぇ…」
凛月はいじけた顔をして私から目を逸らした。私はそれを後ろから抱きしめる。
『でも、凛月が一番好きなのは自信があるからだよ』
凛月「自意識過剰なんじゃない〜?」
『おやおや?凛月さんは意地悪を言うんだね〜』
凛月「美羽子さんが先に言ったんでしょ〜?」
『ごめんって言わないようにするから〜』
凛月「嘘だぁ〜他の男のことかっこいいって言ってんでしょ〜」
『ごめんね〜凛月さん機嫌なおしてくださいよ〜』
凛月「それは美羽子さん次第ですね〜」
凛月はそっぽ向いていた顔をこちらにむけニヤリと笑う。私はそれにう〜んと悩むフリをして凛月から離れる。そんな悩むフリを楽しそうに見守る凛月の隣にジリと寄り添って…。凛月の肩に頭を預ける
『じゃあ今度凛月が欲しがってた服買ってあげる』
凛月「えぇ〜…なにそれモノで釣るの?」
『えぇ…そう言うことじゃないの?』
凛月「全然違う」
『じゃあ凛月の言うこと一つ聞いてあげる』
凛月「…キスして」
『…ほえ?』
凛月「ほえ、じゃなくて」
『WATS』
凛月「…ん」
『んんっ!…ん…』
凛月はボケる私が鬱陶しくなったのか、言葉でなく口で止められてしまう。最初は驚いたが大人しく受け入れる。暖かく柔らかい感覚に心のどこかで「もっと」っと思い凛月の腕を軽く掴めばそれに答えるようにキスが深くなっていく。
徐々に苦しくなってきて掴んでいた腕に力を加えれば凛月が徐々に力を弱めてから離れていく。
『…結局自分でするんじゃないですか…』
凛月「だって、美羽子の顔にキスしてって書いてあったから」
『書いてないですし…』
凛月「ごめんね?もう一回していい?」
『…聞くのは野暮です…』
凛月「…敬語やめてよ」
『…』
黙っていると、また凛月と唇が重なる。何度か軽くキスをして凛月が離れるたびに「敬語やめて」と言うので「凛月さん次第です」と返せばまたキスされる。そのわざとらしい繰り返しに笑ってしまうと凛月も笑ってキスをやめる。
凛月「あははっ、やっぱりまんざらでもないって感じだ」
『そりゃ…嬉しいよ?』
凛月「じゃあその嬉しさを俺にも分けてよ」
『……ん』
凛月「ん……ありがと」
押しに負けて凛月にキスすれば凛月は満足そうに笑った。なんだか恥ずかしくなってソファーから立ち上がってキッチンに入る。映画を見ていい時間だし、何か食べるものをと冷蔵庫を開ければ後ろから付いてきたであろう凛月が抱きしめる。
『なに…恥ずかしがってるんだけど…』
凛月「可愛いから見にきた」
『もう機嫌なおった?』
凛月「うん♪」
『じゃあ晩御飯食べますか?』
凛月「手伝ってあげましょう」
『うん♪お願いしようかな』
私は凛月とキッチンに並んで料理をし始める。その間もくだらない会話をしながらパスタを作っていく。
普通の光景でもこうやって忙しいにも関わらずふたり揃って何かができるのが嬉しい、こうやっていつか彼ともっとふたりでいろいろなことが自然になっていくといいなと感じながら…
第三話
『凛月はどんなパスタが好き?』
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