第四章 ハナミズキ
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凛月と付き合い始めて、一年半の時間が経過した。付き合ってからの凛月はよく話すしよく甘える。何より意外だったのが連絡の頻度だ。お互い暇と言えるはずはないのに、凛月はよく連絡をしてくれる。仕事始めと終わりに、休憩の時もあればお昼休憩の時間…他にも撮影の合間…意外と小まめに連絡をくれる。それが一年半続いている…。
『泉さん…これって普通のことなんですか』
瀬名「い〜や、俺はかなり驚いてる」
撮影で一緒になった泉さんに話を聞いてもらえば、宇宙人でも見るような目で泉さんは私を見た。この一年半で『Knights』との距離は格段に近くなった。加えて、私の事務所も凛月の事務所もこの関係を知っているし黙認してくれている。
『Knights』の皆さんとは名前で呼び合うようになった…これも凛月のおかげだ。
『返信しなくても怒らないので助かっているのですが…。なんだか申し訳なくて…私もその…会話はしたいですし…』
瀬名「あのさぁ…惚気ってやめてくれる?チョ〜うざぁい」
『…ごめんなさい!惚気のつもりは!』
瀬名「……はぁ〜〜、電話すればいいじゃん。それか会った時に言えば?『メールより会いに来て』ってさ」
『…へっ?む、無理ですよ!』
瀬名「じゃあ、もう一緒に暮らせば」
『ななななななにを!』
瀬名「そのくらいあんたが男気見せた方が、いいバランスだと思うだけ」
『男気って…それ遠回しに凛月が女々しいってことですか?』
瀬名「…そういうこと」
泉さんは面倒そうに雑誌に視線を戻す。…前の泉さんはもっと真面目で他人に興味がない人だと思っていたけど、割とツンデレだけど世話焼きな人だということがここ最近になってわかった。こうやって真面目に相談にのってくれるけどそれを表に出さないところが彼らしいと思えるようになって来た…。
『…とりあえず、凛月にいってみます。お互い忙しいですし、無理に連絡しなくてもいいと…』
瀬名「それ…言い方に気をつけなよ」
『へ…?言い方、ですか?』
瀬名「わりとそのまま言われた傷つくから…」
『体験談…ですか?』
ポツリと思ったことが溢れると瀬名さんはガタリと椅子を立ち上がり、真っ赤な顔で出ていった。
どうやら、図星みたいで…なんだか申し訳ないことをしてしまった。でも、そのままを伝えたら凛月を傷つけてしまう…。だとすれば言い方は気をつけた方がいいに違いない。
すると、タイミングよく凛月から着信がかかってくる。
『も、もしもし…』
凛月「やっほ〜♪今度オフがあるんだけど、どこか行かない?」
『オフ被ってるの?』
凛月「この間いってたオフが変わってなければ…?」
『変わってない!ほんと⁉︎オフ一緒!』
凛月「おわっ…元気だねぇ〜…うん、一緒だよ」
『じゃ…じゃあ…うちこない…?』
凛月「いいの…?」
『おもてなしはできませんが…』
凛月「美羽子がいればじゅ〜ぶん♪」
『へぁ……』
凛月はクスクスと笑って「また連絡するね」と通話を切ってしまった。一年経ってもこんなに甘いセリフを余裕ではくのはカップルとしては珍しいのではないだろうか…。かといって私に比べる相手がいるほど経験があるわけではないのだが…。
私はツーツーと鳴る携帯を片手にボーッと天井を眺めることしかできなかった。
痺れを切らして呼びに来た泉さんが「アホヅラ」と言って少し嬉しそうに笑っていた。私は軽く両頬を叩いて泉さんの後ろについていく。むず痒いけど…とても嬉しかった。オフが楽しみになって来て紅茶が好きな凛月のために少しいい紅茶を買う計画を脳内で楽しんでいた。
*凛月said
通話を切ると、近くにいたナッちゃんが太陽のように眩しい笑顔で近づいてくるのでそれを避けるように背を向ける。
鳴上「あらあらあらァ!幸せそうなオーラを感知したわよォ!」
凛月「ちょっとぉ!暑苦しいなぁ…」
鳴上「なになになにぃ!なにがあるの!凛月ちゃん!」
凛月「別に…美羽子の家にお呼ばれしただけ…」
鳴上「お家デートねェ!いいじゃない!」
ナッちゃんは片肘を俺にぶつけて、ウキウキと一人で話し続ける。俺はそんなナッちゃんを無視して紅茶を啜りながら美羽子の家で何をするかを考える。でも、美羽子が家に呼ぶなんて珍しいから何か言いたいことでもあるのかな…?まさか別れ話…いや、あんなにオフが被ってあんなに喜んでいたのにそんなはず…
凛月「どうしよ、ナッちゃん…緊張してきた」
鳴上「なに急に…人の話聞いていないなって思ったら…そんな緊張するようなことがあったのォ?」
凛月「美羽子が家に呼ぶの、珍しいし……何か言いたいことがあるのかなって考えたら…嫌な予感が…」
鳴上「…?そんなフラれるようなことに心当たりでもあるのォ?」
凛月「ないと思うけど…」
俺と美羽子はこの一年半穏やかに過ごして来た。自分たちのこともよく話すようになったし、美羽子と『Knights』の関係は良好だ、美羽子の弟である悠人くんとも顔見知りになったくらい家族との関係も良好…。正直、このままうまくいくと思っていた…。
凛月「何か話がないと家に呼ばないかなって…」
鳴上「そう?二人は人気者だし気を遣ってくれただけじゃないの…?」
凛月「うう…そうだといいんだけど」
鳴上「そんなに心配ならプレゼントでも持ってプロポーズしちゃえばいいじゃない♪二人はとってもお似合いよ♪」
凛月「……」
鳴上「とりあえず、プレゼントでも買って話すきっかけを作ってみるのはどうかしら♪あくまできっかけをっ!」
凛月「…そうしてみる」
俺はナッちゃんのアドバイスを参考にまた脳内でオフの日までの計画をたてる。美羽子に喜んでもらえるプレゼントを買って、ゆっくり美羽子の話でも聞くことにしようと思う。
その前に『ゆうくん』にコッソリ聞いておいてもらおうかな…。
第一話
『オフの日が楽しみ♪』
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