第三章 カーネーション
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*凛月said
俺が演じる月翔という男の子は、コミュ障で究極の人見知りな大学三年生で、大学には片手で足りるほどの友人がいる。しかし、家の事情からヒロインである海咲の住むマンションに引っ越してくる。
凛月「どう思う、嫌がらせだと思わない?」
瀬名「知らな〜い、俺は何も知らな〜い」
この設定に俺は違和感しか感じなかった。言葉で具体的には言えないけれど、きっとこの人なら共感してわかってくれると思ったのに…。収録待ちのセッちゃんに事情を話しても彼は雑誌から目を離してくれなかった。
凛月「…なんで無視するの〜ねぇ〜セッちゃん〜〜!」
瀬名「鬱陶しいなぁ!やめてよぉ!」
鳴上「あらあら…珍しい二人がイチャイチャしてるのねェ…」
凛月「ナッちゃんだ。ねぇ俺が真剣に相談してるのにセッちゃんが無視するんだよぉ」
瀬名「相談じゃなくて愚痴でしょぉ?チョ〜うざぁい」
凛月「愚痴じゃなくて相談だもん…」
瀬名「だもんって…」
鳴上「どうしたの凛月ちゃん、アタシでよければ相談乗るわよォ?」
そう言ってくれるナッちゃんにカクカクシカジカとセッちゃんに伝えたことをもう一度伝えれば、ナッちゃんはクスクスと笑った。俺は訳がわからず首をかしげる。
鳴上「女王様の試練でしょ?あの子らしいわァ…でも、それが通っちゃうあたり女王様の権力ってすごいのねェ」
瀬名「あいつら夫婦はふざけてるけど才能に溢れてるからねェ、それで『Knights』が何かと助かってるしねぇ」
凛月「え…?どういうこと…?」
瀬名「別にぃ?くまくんは真面目に仕事してればいい、それだけでしょ?」
鳴上「そうねェ!気にしなくてもいいわよ!それにドラマ人気じゃない!評判も上々でしょ!」
凛月「え…えぇ…」
メンバーは何も助けてはくれなくて、女王様になんらかの考えが明らかなのに誰もその内容を俺に教えてはくれなかった。すると、収録をしてたス〜ちゃんと月ぴ〜が出てきて『Knights』5人が集合する。
月永「おう!次セナだぞ〜!」
瀬名「はいは〜い」
鳴上「司ちゃん、お疲れ様♪」
朱桜「はい、申し訳ありませんが次がありますのでお先に失礼致します!」
凛月「ス〜ちゃんおつかれぇ〜♪」
月永「じゃあな〜スオー!」
瀬名「おつかれ〜」
ス〜ちゃんは次の仕事があるのでスタジオをあとにした。順番待ちをしていたセッちゃんが月ぴ〜と一緒に消えていった。俺は次だからナッちゃんと一緒に順番を待つ。
鳴上「最近、『天使様』とはどうなの?凛月ちゃんの恋バナ聞きたいわァ〜!」
凛月「どうって…別に普通だよ…でも、最近普通にタメ口で話してくれるようになったし…凛月って呼んでくれるようになった…」
鳴上「きゃ〜ん!凛月ちゃんの今の顔可愛い〜!頑張る男の子は世界の宝よォ!」
凛月「…うるさいなぁ…もう寝るから…」
鳴上「なんでよォ!もっと聞かせなさいよ!」
グイグイくるナッちゃんを尻目に俺はソファーに横になって目を閉じる。なんとなくあのドラマは女王様が何か考えていることはわかる。それが俺と兄者と……美羽子が関係していることはわかってるんだ…。だけど、それが結果としてどういうエンディングを迎えたいのかが俺にはわからない。
兄者と美羽子を復縁させたい…?それとも、俺と美羽子が付き合えるようにサポートしている…?どっちかなのか…それともまた別の考えがあるのか、俺にはわからなかった。
『あっ…お疲れ様です…』
鳴上「あら!美羽子ちゃんじゃない!」
『えっと、さっき朱桜さんに会ってみなさんがいるって聞いて、ご挨拶だけでもと』
鳴上「挨拶だけじゃなくて、お話ししましょうよォ♪」
『そんな…お邪魔では…』
鳴上「いいのよォ!凛月ちゃん寝ちゃって、暇してたのよォ!」
『あっ…凛月、寝てるんですね』
いや、起きてる。正直今バッと起き上がって美羽子とふたりで話したいところだけど、ナッちゃんが居る限りそれは許されそうもない。起きたら美羽子が居なくなってからナッちゃんにまた問い詰められるオチが見えてる…。ここは、大人しくふたりの女子トークを盗み聞きさせてもらおう。
鳴上「最近、凛月ちゃんと仲良くしてくれてるんでしょォ?凛月ちゃん、よく美羽子ちゃんの話ししてくれるのよォ!」
『凛月がですか…?なんだか…嬉しいです…。凛月ってあんまり自分の話ししてくれないから』
鳴上「あらあら…!美羽子ちゃんは凛月ちゃんのこと気になるのねェ!」
『…なんだかんだお世話になってますし…ふとした時にそばにいてくれるので助かってはいます…だから、私も凛月の役に立ちたい…とは…』
鳴上「うんうん!」
『あの…鳴上さん…なんでそんなに…目をキラキラさせてるのでしょう…』
鳴上「恋する女の子って可愛いわァ…」
『こ…恋する…女の子…』
鳴上「あらァ?てっきり美羽子ちゃんは凛月ちゃんのこと好きなのかと…」
『へ…っ⁉︎』
ナッちゃんの言葉に美羽子は驚きの声をあげるその後数秒「うう…あぁ…ううぅん…」と唸っている。
『凛月のことは嫌いじゃないです…でも…恋愛的な好きは…難しいです…』
鳴上「難しい…?」
『はい…どうしても業種的に…恋愛を選ばないといけないから…素直に感情を持つのが難しくって…』
鳴上「…難しく考えなくてもいいんじゃない?」
『えっ…』
鳴上「アタシたちアイドルももちろん恋愛をすれば、世間がどうのこうのと文句を言うわァ…けど、本当に相手が好きだったら…愛していたら、うちの『王さま』みたいにくじけないと思うの。諦めがつくのって悪い言い方すればそこまでなのよ…」
『鳴上さん…?』
鳴上「アタシも早く諦めきれない恋…ううん、愛がほしいわァ!」
『諦められない愛…』
鳴上「それを見つけられたら、周りよりも何よりもそれが大切になるのよォ。うちの王さまと女王様がそれだわァ…」
『月永さんは…諦めない愛を知ってるんですね…』
美羽子は感心したような声を漏らす。ナッちゃんはそれにクスクスと笑った。美羽子のマネージャーが部屋にやってきて、そろそろでなければいけない時間だと伝えにやってくる。それに従って美羽子はナッちゃんに挨拶をして出ていった。残されたナッちゃんは俺の隣に座って笑う。
鳴上「凛月ちゃんったら起きてる癖に、盗み聞きなんて性格悪いわァ…♪」
凛月「……二人が勝手に話し出しただけでしょ…」
鳴上「脈アリっぽくてよかったじゃない♪」
凛月「……うん」
素直に返事をすれば、ナッちゃんはそれ以上何も言わなかった。美羽子が愛を知らないなら兄者が教える前に…俺が教えてあげたい。だって、俺には強い味方がついてるからね…。まぁ教えてくれるかは別だけど…
第四話
凛月「ていうか、起こしてくれればよかったじゃん…」
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