追憶*壊れたオルゴール
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レオが学院を去ってすぐに生徒会が再組織され、天祥院くんが生徒会長となった。
それに合わせてドリフェスに新しくランクづけの制度ができた。
そして、ランクごとに観戦できる観客が変わった。大きなイベントであるS1,S2以外のランクのドリフェスには一般客の観戦ができなくなった。
『Knights』は、学院の外にファンを多く持つユニットでなおかつ学院内のユニットを蹴散らしてきたユニットだ。学院内のライブでは観客はほぼ敵だらけの状況で戦い続けた。
そんな状況下での勝利は不可能に近いことだった。それでもドリフェスという舞台で戦い続けてきたが、騎士たちは傷だらけになっていった。
縁もあって1年生の鳴上嵐がレオと入れ違いに加入してくれたが、それでも状況に大きな変化は得られなかった。
ただただ、勝ち目のない戦いを続けた。
どんなにいい曲を書いても
どんなにいい歌声を披露しても
どんなに素晴らしい踊りをしても
どんなに魅力的なパフォーマンスをしても
『Knights』の勝利は夢のまた夢になって、気づいた時には天祥院くんの言っていた通り衰退の一途を辿っていった。
そして、秋に入った頃に始まったのが『五奇人』の討伐だった。
その一番の標的となったのが『Valkyrie』の斎宮宗ーーーー。
『金星杯』の後に行われた『fine』との戦いで『fine』が勝利した。その時に歯車が狂った感覚『チェックメイト』で感じた違和感と同じものを感じた…。
そして、事件は起こった。
2回目の『Valkyrie』と『fine』の戦いで、図ったような機材トラブル…『Valkyrie』の計算され尽くした舞台を崩すのは容易かった…。
なんとかその場は持ちこたえたものの…次にこのレベルまで戻すには時間がかかるものになるだろう…。
私はドリフェスの後に天祥院くんのもとに走った。
『待って…!』
天祥院「やぁ…女王様、御機嫌よう…何かご用かな?」
『どういうつもり…、なんであんなことするの…?これがあなたの言う革命なの?』
天祥院「…君にどう思われようと構わないよ。『五奇人』と言う驚異の存在を無名だった『fine』が勝利を重ね、頂点に立つ。
これが僕の革命だ………
誰かが立ち上がれば、それに続くものがいる。それで初めてこの廃れた夢ノ咲学院のアイドル科を立て直せるんだ。その為の『尊い犠牲』だよ」
『革命はまだいい…でも『五奇人』を踏み台にして、行うなら私は反対だ…!そんなことに夢のある未来を見出せない!』
天祥院「そうかい………君にはあまり関わってほしくなかったけど、どうやら君は『五奇人』と仲が良すぎるみたいだね…」
天祥院くんはそう言うとそろりと私に近く、怖くて一歩引き下がるが彼のほうが足のリーチが長かったようで目の前で止まる。いつもの爽やかな色はなく、冷たく見下ろして口を開く
天祥院「夜永紡さん。君は革命が終わるまで、いなくなってもらおう……アイドル科への立ち入りを禁止する」
『なっ…にを…』
天祥院「簡単な話さ、後期の特待生を他の学年の人にしてもらう。君はアイドル科の出入りできる権利を剥奪するんだ。」
『そんな…』
天祥院くんは『fine』のもとへ戻っていった。私はその後ろ姿を見つめることしかできなかった。
次の日、彼の言葉は現実となって私は入学してずっと守ってきた特待生の権利を秋に剥奪されてしまった。
その間も『Knights』とは場所を借りてレッスンや打ち合わせを行ってきたが、他のアイドル科の人たちとは会う機会が極端に減った。
その後停学があけてレオが戻ってきたそうだが、なんの因果か会うことはなかった。きっと本人の意思だったのだろう。
そして、あの事件以来『Valkyrie』は解散状態、次に標的になったのは奏汰で『流星隊』として戦い、その後『流星隊』は残っているものの抜け殻も同然、奏汰と守沢くんだけが残っていると聞いた…。
…誰かと話すたびにどこかを通るたびに『五奇人』の誰かが『fine』と戦い、まるで処刑されるかのように首を切られていく。
その噂を聞くたびに「次は…次は…、」と怯える日々が続いていた。
気づけば季節は変わって…冬になり…『五奇人』は討伐され、天祥院くんは無名の生徒から夢ノ咲学院を統べる『皇帝』天祥院英智となっていた。
そして、『Knights』は個人レベルの高い、個人主義のユニットになっていた。
お互いのことには深入りしすぎず、イベントごとにも一致団結と言うよりは気分次第と言う言葉の方が似合っている。お互いの活動に口出しせず。
ギリギリで、踊りや歌のタイミングを合わせる。それを実力で補っていた。『デュエル』と言う争い事を捨てた。
彼が見たら「腑抜け」とでも言いそうなほど…。あの頃の輝きは失われていた。
私は、それを見ていられなくなってしまい音楽科の課題に没頭するようになった。
次はもっとーーー
もっともっと『Knights』らしい曲をーーー
彼が書いてたような『Knights』を高みにつれていける曲をーーー
いつもそう考えては楽譜を丸めてゴミ箱に山を作っていった。
そうして2年生は終幕に向かっていった。
その時には
彼は再び停学に
私は音楽科の仕事に
それぞれの道を見始めていた。
そしての話
『そして春に転機は訪れる』
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