追憶*壊れたオルゴール
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彼がなりたかった『アイドル』とはーーー、
好きなことを全力でやっている存在。
作曲をして、その曲を歌って踊って…お客さんの笑顔と拍手がもらえればそれでいい…
自分のいついかなる時間さえもその一瞬のためなら惜しくない
ユニットはそれを達成するために一緒になって…、一生懸命になって頑張ってくれる仲間を集めた場所。
ずっとずっとーー、そう思っていた。
けれど、彼が憧れてはいった『チェス』はそんな暖かなものじゃなかった。それでも彼は思い込んでいた。ずっと憧れて『アイドル』という存在にこの場所でならなれると…、しかし名前を変えていき、新しい制度に脅かされた『チェス』は分裂していった。彼はそれでも彼らを『仲間』だ『友達』だと形容詞し、彼の生み出した曲を与え続けた。
しかし、ある日歪みに気づいた彼は『仲間』に持ちかける。
『俺』か『俺の作った曲』かーーーー。
『仲間』はいとも容易く答えを出した『お前の曲』をとる…と…、彼はきっとその日から夢にみた『アイドル』を見失ってしまった。昔の『仲間』を殺して…殺して……、そして彼の元に残ったものはいったいなんだったんだろう…。
私にはわからなかった。
私にとって『アイドル』とは、
『彼の夢』それだけだ…。
彼が夢に描いて憧れて目指していたもの。
輝いていて…一生懸命で…お客さんに笑顔と夢を与えるもの。
でも蓋を開ければ、驚くことばかりだ。
有名なアイドル科の人間で彼の言うような『アイドル』を目指しているのはほんのひと握りで…
他はその名前に甘えて流されるままの堕落した人々ばかりだった。
制度が整えば、そのギリギリ通るラインで何となく頑張って、本当に才能のある人間に甘えようとする。
その肩書きだけで虚勢をはる愚かな人ばかりだった…。
だから、朔間さんや宗くんみたいな人と関わるように努めてきた。
だから泉みたいに一生懸命努力する人を支えてきた。
そうすれば……レオがここにきた理由がわかる。そう思っていた。
でも彼が去ったこの学院にどうやって向き合えばいいか、わからなくなってきた。
ーーーだから考え直そう。
私は『Knights』が彼の思う本当の『アイドル』、憧れていた『アイドル』になるよう考えて努力しよう。
私にとって『アイドル』とはーーーーー、
『Knights』だ、と言える日が来るように。
私は私の思う本当の『アイドル』を考えよう。まずはそこから、それが明確わかった時にはきっと何かが変わってくれると思うからーーー。
それがわかるまではまだ私なりの『Knights』の曲を作ろう。完璧じゃなくても誰かの心に届いて、笑顔になって拍手をもらえるような…そんな曲をーーー
『私は泉がアイドル科で初めての友達でよかったと思うよ。全部泉のおかげ』
瀬名「なに、急に…」
『んーや、お礼を言いたい気持ちなったから…ありがとうって言われるとなんか嬉しくない?』
瀬名「理由なく言われると怖いんだけどぉ…」
『じゃあもう言わない』
瀬名「はぁ!?なんでそうなるわけぇ!?」
『あっはは☆うそうそ!じゃあレッスンしよっかー!課題曲は完璧かなぁ…???』
瀬名「っは!俺を誰だと思ってるわけぇ?完璧だし」
凛月はいないけど2人の音楽室で泉のリクエストで歌のレッスン。
本当は腕が本調子じゃないので片手でしか弾くことが出来ないのだけど、音はとれるので泉は気にしていない。泉は「アイツの曲に自分の下手くそな声がのってるのがムカつく」と言って歌のレッスンによく呼ばれるようになった。
打ち合わせの合間の短い時間でも時間が合えば呼び出して、時間が合えば凛月も呼び出す。
とにかく必死にレッスンを重ねて歌声を研ぎ澄ましていく。
『泉の声って綺麗だよね…』
瀬名「なんなの、まじで頭ぶつけた?」
『……あーうちあわせのじかんだーいかなきゃー』
瀬名「待て待て待て、今日放課後ずっと暇だって言ったの女王様でしょ」
『今予定ができた。私は今から渉の手品パーチーに行ってくる』
瀬名「パーチー…って…あぁ…もう悪かったよ!でもほんと急になにぃ?」
『私は泉が嫌いになれそうにないなって…!せっかくだからまた弾いてあげる! "瀬名くんの歌声が綺麗なうた" ♪』
瀬名「出たよ。クソダサソング」
『なにをっっ!?あの名曲をクソダサソング呼ばわり…!!』
瀬名「せめて"瀬名くん"じゃなくて"泉"にしてくれるぅ?」
『……じゃあ…一緒に新しい曲でも作ろっか♪泉っ!』
瀬名「まぁ…休憩がてら付き合ってあげるけどぉ…」
『霊感(インスピレーション)が湧いてきた!メモ…できないから泉が書いて!』
瀬名「はぁ⁉︎あぁもう!ほんっと!チョ〜うざぁい!」
『あははっ☆早く早く!』
泉は私のカバンからメモ帳とペンを取り出して私がこぼす言葉を書き連ねていく。泉の綺麗な字が私の言葉を具現化していくだけで、それを見ているだけでさらに霊感(インスピレーション)は湧き上がってきて。気づけば、かなりの時間を費やしていて泉に怒られてしまった。
視点を変えよう
『名曲にするから許して?』
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