追憶*壊れたオルゴール
NameChange
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それは青々として、綺麗な夏の空が眼前に広がっていた。
私の心もこんなに澄んでいれば…清くあればこんなことにはならなかったのだろうか…。
この1ヶ月程で私はあまりに多く、大切なものを失ってしまった。
『Knights』として大切にしていたファンという存在
『Knights』として重んじた彼の言う『アイドル』という存在
泉とレオが作った大切な『オルゴール』
その『オルゴール』と過ごした時間
『オルゴール』が紡いだあの綺麗な音色
そして、幼馴染の彼ーーーー。
私の心を支え動かしたものは失われ、私の頭も体も心も正常に機能していない。
この感覚を味わうのは初めてだ。言葉にしがたい感覚、いつもなら彼が教えてくれたこの感覚の名前を今の私に誰が教えてくれるのだろうか…
凛月「女王様み〜っけ♪」
『凛月…どうしたの』
凛月「腕が折れちゃって作曲できないから、打ち合わせ全部キャンセルにしてるって聞いて、どっかにいないかな〜ってセッちゃんと探してた」
『そうなんだ…、本当は予定ないと入っちゃダメなんだけどね…癖で入ってしまった…』
凛月「い〜んじゃない?『Knights』のレッスンってことにしちゃえば」
『そっか…凛月は頭がいいなぁ〜』
凛月「そうでしょ?だから…レッスン行こ?」
『凛月にレッスンに行こうと言われる日が来るとは…我が人生に一遍の悔いなし…』
花々が広がるこの中庭でわざわざ中に入ってそれを見ようとする人は少ない。その中の木陰に寝転がれば、見つかることはないと思っていたのだが昼寝のプロにはいとも容易く見つかってしまった。
彼は「なにそれ」と笑い、寝転がっている私の横に座る。
凛月「腕…まだ痛い…?」
『痛くはないよ…ただ腕が重いなぁってどうせなら切り落として楽になりたかった…。な〜んてね?思ってないよ!』
凛月「あとちょっとで怒るところだった…」
『凛月ってなんでたまに沸点低いの…?』
凛月「紡のことだからでしょ…」
『告白…?』
凛月「そうとってもいいけど…?」
凛月はこちらを見てお得意のにんまり笑顔で見る。そういうところは何となく朔間さんに似ていると思う…。
そんな冗談を真に受ける程私も馬鹿ではない…
『大丈夫でーす。間に合ってまーす』
凛月「は…?俺以上の男がいるの?だれ?」
『その自信はなんなのかな…そんな余裕ないってだけで…』
凛月「まさか王さまともう…」
『レオは大事な幼馴染だよ…』
凛月「じゃあセッちゃん…?」
『泉は友達…』
凛月「まさか兄者…」
『朔間さんとは先日お互いないって話で落ち着いた。』
凛月「じゃあ誰なの〜!」
『だからいないってば!凛月なんなの!?喧嘩なら買いますけど!?』
凛月「…ふふ♪いつも通りの紡だ…」
凛月の言葉に体が固まってしまう。いつも通りの私…?凛月は…心配してくれたのか…そっか…
軽く持ち上げた体を草の上に戻すと凛月が私の頭を撫でる。
凛月「寂しいですって顔に書いてあるよ。」
『顔には書いてないし…』
凛月「目は口ほどに物を言うって言うでしょ…?俺は紡が感じてる感情わかる…」
『なにそれ…』
凛月「『虚無』って言うんじゃない…?大切なものに、ずっと隣にいると思ってたものに置いていかれて1人になってしまった感覚…」
『なんで…』
凛月「わかるよ…俺も昔感じたことある…でも今は違うよ?今の俺には、ま〜くんがいる…」
『ま〜くんだれ…』
凛月「それに、セッちゃんも紡もいる…『Knights』がある…」
『凛月…』
ずっと凛月は他者に深く関わらない部分で『Knights』に加入していたと思っていたが、それだけが理由という訳ではないらしい。
この虚無という感覚を感じているのは私だけじゃないんだ。きっと凛月も…泉も感じてる…。
凛月「『Knights』ははじめて俺を"朔間凛月"だけで見てくれた場所だから…俺も失いたくないなぁ…だから俺も守るよ…紡もセッちゃんも『Knights』も…だから一緒に守ろ…?一人で悩まないで…?友達からのお願い…」
『凛月……』
凛月「俺もセッちゃんも王さまの代わりは出来ないけど、俺たちなりに紡を支えるから…無理しないで…?」
『凛月…ありがとう…みんなで頑張ろ…私は『Knights』を本当のアイドルにするために頑張る…だから凛月達はアイドルになって輝いていて…』
凛月「うん…任せてよ…女王様…」
輝いていて
『私貴方たちのファンでありたい』
→