追憶*壊れたオルゴール
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再び、『Knights』と『fine』の戦いが行われる日ーー。
前回の結果もあってか「今日こそは決着なのでは」と思ったのかいつも以上に人がごった返していた。
楽屋からもそれが見てわかるほどなので、外にもまだまだ人がいるだろう…。
『じゃあ、今日もお仕事してまいります!』
凛月「だめ。」
『うぇっ…なに凛月…腕…離して?』
瀬名「なぁに?くまくん、紡は仕事だって」
月永「ついにリッツも嫌々期か⁉︎」
出ていこうとすれば、隣に座っていた凛月が腕を少し強めに掴んで私を引き留める。それに泉もレオも反応するが、凛月は返すことなく私をジッと見つめる。
凛月「…そう、嫌々期で甘えたがり期だから、女王様はこれから俺の着替えの手伝いをするんだっ♪」
瀬名「だから着替えてなかったの?」
月永「着替えの手伝い⁉︎だめ!俺が脱ぐから紡は俺の着替えの手伝いをっ!」
瀬名「バカ言わないで!俺が着替えさせるのどんだけ苦労したと思ってんのぉ⁉︎」
『君ら馬鹿なのかい?凛月は早く着替えてくれます?』
凛月は着替えさせようと私を更衣室のところへ連れていこうとするし、それを止めようとしたレオが何故だかせっかく着た衣装を脱ぎ始める。それを苦労して着せた泉が激おこの状態…。まさにカオス、という状況
凛月は、きっとあんなことがあった後で行かせたくないと思っているのだろうけど…。離さないようにずっと私の腕を握っている…
『凛月…?仕事いかないと…』
凛月「俺、嫌々期って言ったでしょ?」
『…赤ちゃんじゃないんだから…』
凛月「や〜だ〜っ」
月永「俺もやだ〜っ!」
泉と口喧嘩していたレオが戻ってきて凛月と2人で私をサンドウィッチするように挟み込む…。なんでこんなに連携してるんだこいつら…遠目に泉が疲れた顔をしてこちらを見ていた。
『…さすがに遅刻するから離してほしいんだけど、あなた方に緊張感がない事はよくわかった…。いい加減離せ?』
凛月「この世のものとは思えない顔をしている…」
月永「大変だっ!紡が怒ってる!セナ〜!助けて〜!」
瀬名「どう考えてもあんたらが悪いんでしょぉ〜?」
『じゃあ行ってきま〜す、稼ぐぞ〜っ!』
瀬名「なんていうか…女はやっぱ強いよねぇ〜」
離れたのをいいことに楽屋から出ていく。これからドリフェスがはじまるまでは物販で売り子だから、スタッフの人も周りにいるし問題はないだろう。
彼女たちもあんなことをして、すぐのイベントに参加してくることもないだろう…
…と思っていました。
売り子の仕事も終えて一息つくために中庭のテラスに座って『オルゴール』を聞いて作詞していた。それだけなのに、メモ帳に影がかかり顔を上げると先週あたりに見た顔が三つ並んでいた。
さすがに本能なのだろう体が「まずい」と荷物をまとめて立ち去ろうと動くが、それよりも早く1人が腕を掴む。
女1「ひどいなぁ…挨拶もなし?”女王様”」
『あっ…えっと…こんにちは…一応ドリフェスは会場だけの出入りで他の場所は出入り禁止なんですけど…』
女3「自分はスタッフだから出入りできて?ファンは出入りしちゃダメだって?」
『いや…まぁ…えっとご用ですか…?』
女2「用があるから探してたんだよっっっ!」
『ぐあっ!…いたい…なぁ…』
腕を持たれたままお腹に蹴りを一発お見舞いされ…座っていたベンチに逆戻りする…、その時手に持っていたメモと『オルゴール』が地面に落ちるそれを1人が拾う。
女2「なにこれ…オルゴール?『Knights』のユニットマーク…」
『それはっ!』
女3「ちょっと待ってよ…女王様は座ってなって!」
『っっっあ!……っぁ…』
女2「こんなグッズにもなってないもの持ち歩いて…自分が『特別』ってアピールなの??…ほんと…うざすぎっっっ!」
座れと言われて腕を引っ張られた時に、打ち所が悪かったのか右腕に激痛が走る。
そして、1人が『オルゴール』を振り上げ、それは地面へと逆戻りする。腕の激痛よりも目の前の光景に声が上がらなくなる…
現実を受け止められず…、『オルゴール』をみる。蓋はネジが飛んで本体と離れており…音を刻む部分が丸見えだ…蓋の鏡部分も割れたのか周りがその破片でキラキラとしていた…。
『っぁ…っぁ…ああああああああああああああああああああああ!!』
女2「ちょっとはわかった?これが私達『Knights』ファンの苦しみなの、痛みなの…理解してくれた?」
女1「あーあ、ボロボロ…これじゃあもう壊れてるね〜」
女3「ほんとほんと!正しく音楽を流せない『オルゴール』なんてただの『ゴミ』でしょ?」
『なんで…こんな…』
そうだ、彼女の言う通りだ壊れた『オルゴール』なんてただのゴミだ。だから、この『オルゴール』の通りにいつも同じを繰り返した私も『オルゴール』と同じゴミだ…。
歯車が狂った機械のように正常な働きは今の私には到底できなくなってしまった…。
目の前が真っ暗になって彼女たちがなにを喋ってもどこを殴っても…、なにも感じられなくなってしまった。
右腕を庇っているのに気づいたのか執拗に腕を攻撃され最終的には低木の枝に腕をかすめて血が流れてきてしまった。
レオの言っていた『アイドル』を守りたかった。『Knights』をそんな『アイドル』にしたかった。
そのために、王に忠誠を誓い騎士となって支えてきた……。なのに、蓋を開ければどうだ…自分を傷つける者をお姫様だから…、ファンだからとかばって、本当に大切な仲間を傷つけている…。
こんなの女王様でも騎士でもなんでもない…ただの馬鹿だ…。
『貴方達には申し訳なく思うけど…、私は『Knights』の一員だから…仲間が必要とする限り私は『Knights』にいたい…。
『Knights』を傷つける人はお姫様でもファンでもなんでもないっっっっ!』
あの時の苦しい顔をした凛月が脳内で叫ぶ。彼女達は頭に血が上って真っ赤な顔で私の頬を叩こうと手を振り上げる…。
お願い今度はちゃんと呼ぶから……
『助けて……レオっ!!!!!!!!』
”壊れた『オルゴール』”
「やめろッッ!」
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