追憶*壊れたオルゴール
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私にできることーー。
歌を作ることーー。
作詞することーー。
レオや凛月を探してレッスンに連れ出すことーー。
ピアノを弾くことーー。
差し入れや料理をすることーー。
凛月に膝枕してあげることーー。
イベントの資料にサインすることーー。
『Knights』のファンを大切にすることーー。
みんなみんな、『Knights』の誰かしらができること。私ができること、私だけができることは……
『な〜んもない。』
**「みずならいっぱいありますよ〜」
『うわぁっっ!かなた…水かけないでよ…』
深海「『紡』が『おせんち』なふんいきだったので〜」
『おセンチなんて誰に習ったの…まぁ朔間さんだろうけど…』
腰掛けていた噴水の中から現れたのは『五奇人』の一人深海奏汰だった…。彼自体学校にいることが珍しく、尚且つ居ると聞いても会うことはなかったのだが…まさか噴水に浸かっているとは思いもしなかった…。
『奏汰が学校いるなんて珍しいね…?今日はタオル持っていないんだけど…持ってこよっか?』
深海「いえ〜♪なやんでる『紡』をおたすけしますよ〜♪」
『…助けるって…何してくれるの…?”神様”は悩み事を消してくれる…?』
深海「んん〜?それはむずかしいですが、『おはなし』を『きく』ことはできます〜♪」
『…そっか…じゃあいっぱい聞いてくれる…?』
深海「もちろんです〜♪」
奏汰は、ぷかぷかしながら私の話を聞いてくれた。『Knights』に入ったこと、『Knights』に入ってから楽しい反面悲しいことがあった事…そう思うと、自分にできる事や自分がいる必要性がだんだんわからなくなってしまった事…
奏汰はゆるい返事をしながら全部聞いてくれた。
全部話し終えた頃に奏汰は噴水からのっそりと出てきて隣に腰掛けた。
『ちょっと…奏汰スカート濡れたんだけど…』
深海「…『紡』はそこにいるだけでいいと、ぼくはおもいます〜♪」
『え?無視?無視なのか?』
深海「『紡』はだれとおなじことをしても『たのしい』っておもいますかぁ〜?」
『そりゃ…相手によると思うけど…』
深海「それは『ないつ』のみなさんも『おなじ』だとおもいます〜」
『おなじ…なのかな…?』
深海「ぼくも、いまここにいるのが『紡』だからたのしいです〜♪」
『でもそれは…レオと私…でも…レオと泉でも…きっとレオはたのしいって思ってると思う。』
深海「おなじ『たのしい』でもあいてによってかんじる『たのしい』はちがうとおもいませんか…?」
奏汰が濡らしたスカートのシミがどんどん奥まで広がっていくのと同じように私も奏汰の言葉が、胸に染み込んだ。
そうだ、確かにレオに撫でられるのと凛月や泉…朔間さんに撫でられるのはどれも嬉しい。けど、それはどれもそれぞれの温もりを持っていてそれぞれに意味がある…。
『そうだね…それぞれ違うかも…』
深海「はい♪だから、いろんな『ちがい』をしって『紡』しかあげられないものを『ないつ』のひとにあげればいいとおもいます〜♪」
『あっははっ、さすが”神様”なんでも知ってるね?』
深海「『なんでも』はしりませんけどっ♪『紡』にあたまをなでられるきもちよさはいまわかりました〜♪」
『奏汰は…いい人だね…落ち着いたよ、ありがとう♪お礼にタオル持ってきてあげる…そろそろ冷えるしね?』
深海「まってます〜♪」
私は保健室に駆け出して、バスタオルを二枚取りに向かった。奏汰は再び噴水の中に沈んでいった。
私にしか出来ない事はもしかしたら、無いかもしれない。彼女たちが言ってた通り、邪魔な存在かもしれないし、不要かもしれない。
それでも、もう少し『Knights』と共にいたい。『Knights』のみんなに必要とされている今は、このままで…
不要になったら潔く消えていこう。
教えて、”神様”
『せめて、私があげられるものが尽きるまではーー』
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