追憶*壊れたオルゴール
NameChange
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
凛月が寝ていた木陰を離れて数分ー。
レオと泉が待っているであろう音楽室へと向かっている、凛月は起き上がってから私の腕を掴んで音楽室へ向けてズンズンと進んでいく。私も特に拒否することなくただ引っ張られていく。
凛月「王さまが、よく話してたよ。きっとリッツも気にいるって」
『…え?レオが…?』
凛月「うん、不思議な人だよね。王さまって」
『…あ〜…そうかもね
何考えてるかわかんないけど、こっちのことちゃんと見てる…。何も考えてなさそうだけど、そんなことないし…昔はすぐわかったんだけどなぁ…、でも最近は何考えてるのかわかんない…』
凛月「紡?」
『この間から不安定って言うか…なんて言うか…どこまで口だしていいのかわからない…なんて愚痴みたいだね!やめよ!』
凛月「…うん、聞かなかったことにしてあげるっ」
凛月は一度こちらを見て微笑んでから前に向き直り歩き出した。最近のレオは…と言うより『チェス』が分断をはじめてからレオのことがさらにわからなくなってしまった。
中学の時に彼に誘われて入学した夢ノ咲学院、彼は中学生の時の輝きから徐々に何かが失われすり減っていくのを感じていた。
それでも、学科も違い共に過ごせる時間も限られていった中で、私が彼にできることはたいしてなくて…ただ見ているだけだった。
凛月「2人のことよくわかんないけど…俺はあんたらのこと嫌いじゃないよ…」
『私も…、『Knights』のこと好きになれそう…』
月永「…っあ!紡、リッツ!遅いぞ〜!待ちすぎて出て行こうと思った!」
瀬名「れおくん!大人しくピアノ弾いてると思ったら!」
凛月「おい〜っす♪」
『遅くなってごめんね?レッスンしよっか♪』
やっとたどり着いた音楽室のドアを開けたのは私たちではなくレオで、勢いよく出てきた先に私たちがいたようで止まって私たちに笑いかける。その後ろから泉が飛び出してきて、のんびりした声で凛月が挨拶する。私は、3人の背中を押して再び音楽室へと入れていく。
瀬名「紡も遅すぎぃ〜一曲完璧になるとこだったよ」
月永「でも決まった場所でセナは半音外すんだっ!面白いだろ〜?」
『一曲って…この間のやつ?あれの続きする?凛月が入って聞くの初めてだし』
月永「新曲はっ⁉︎もうできてるんだろっ!」
凛月「ふぁあ〜…早く決めてぇ…」
瀬名「ちょっとくまくん、また寝るのは勘弁してよねぇ」
私がピアノに座り、その周りにレオと泉と凛月が立って練習する楽曲を話し合う。楽曲が決まれば、泉は真面目にレッスンに向き合い、レオはレッスンをすると思えば私が持ってきた五線譜に音符を刻んでいく。凛月は音出している間に「ふあぁ〜」と音楽室の椅子に座り、泉に怒られてしまう。賑やかだが、穏やかな時間がすぎていく。
瀬名「女王様も笑ってないで手伝ってよ…レッスンになりやしない…」
『え〜…私も詞を…』
月永「あははっ☆いいな!一緒に作ろう♪紡が入れば百人力だっ☆」
凛月「じゃあ俺も参戦〜♪」
瀬名「ちょっとぉ!レッスンはぁ…」
『泉もおいで?新曲を作ろうっ♪』
月永「新しい『Knights』の曲はみんなの合作だなっ♪」
瀬名「はぁ…終わったらレッスンに戻るんだからねぇ…」
そういってレオが作業しやすいように広げた音楽室の床にみんなが座り込むと、文句を言っていた泉も一緒に座って広がった楽譜を整理しはじめた。
レオが新曲を書き「できた」と言えば凛月がおもむろに楽譜を持ってピアノに向かってそれを弾く。それを泉と私で歌詞をはめていく、気になるところがあると聞いていないと思っていたレオが顔を上げて「そこの詞はあってない!」とか「その詞好きだっ!」と声を上げては泉と顔を見合わせ苦笑いをする。
途中で力尽きたのか凛月がフラフラとこちらに戻ってきて、私の膝の上に広がる楽譜をどけて頭をのせると、泉が顔を真っ赤にする
瀬名「く…くまくんっ!何してるのっ!」
月永「あああーー!リッツどけ!その膝は俺のだっ!」
『いや私の膝なのだけど…』
凛月「やっぱり女王様の膝枕は柔らかくて、いい匂い…寝心地さいこ〜っ♪」
月永「ガルルル!いくら身内でも許せんっ!どけ〜っ!」
『ちょっとっ!レオっ!』
凛月「王さま〜っ上に乗らないでよねぇ〜」
瀬名「あんたらねぇ…!」
膝の上で寝る凛月の上にレオが乗っかりジタバタすると、凛月が「ううぅ〜」と唸っている。レオを泉が引っ張り引き離すと凛月がスリスリと膝枕で寝なおすのでくすぐったくて「ひゃぁっ」っと声を漏らすと離れた泉とレオがピタっと動きを止める。凛月は上を向いて「顔真っ赤♪」と笑いかけてくるので私は両手で顔を隠す。
すると、膝が軽くなって手を離すとレオと泉が2人がかりで凛月を離していた…驚きでボーッとそちらを見ると泉が凛月から離れて私の元に来てしゃがむと軽く脳天にチョップされてしまう
『痛いっ!なんでっ!』
瀬名「あんた無防備すぎ!気をつけなよぉ…?女の子なんだから」
『だって凛月が…』
瀬名「だってじゃない!身内だから守ってやるけど…他の奴にもこんなことしてんじゃないだろうねぇ…」
月永「そうなのかっ!ダメだぞ!」
『しないよ…だって私たち…その…身内…でしょ?』
そういうとレオと泉は満足げに笑って、私の頭を撫でる。落ち着いたのか2人は離れてまたピアノの方に向かった。そして私の方を振り向く。
瀬名「ほら、レッスン再開するよぉ〜?」
月永「霊感(インスピレーション)が湧くまで練習再開だっ!」
『…うんっ♪』
私も立ち上がり、ピアノある方へと早歩きで向かったーーー。
身内
『この時間ははじめて味わう暖かさ』
→