崖っぷち!続かない五線譜
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小鳥が囀る声が聞こえてきて…、涼しい5月の風が頬を撫でる。
その心地よさに寝ているのは勿体無いと思い、目を開ける。昨日より幾分かスムーズに目が開いて少しだけ驚いた…。
開けきった目は昨日と同じ、私の病室を映し出していた。開けた筈のない窓は昨日追い出してしまった母が開けたようで、起き上がった私に気づいて花が咲いたような笑顔で近づいてくる。
昨日はあんなだったのになんでそんなにご機嫌なのだろう…。
『おか…ぁ…さん…』
紡母「紡ちゃん!おはよ!いい天気よ♪」
『うん…いい天気…だね…』
紡母「ふふふ♪誰か来たのかしら、素敵な贈り物があるわね♪」
『贈り物…?…ぁ…オルゴール…』
母が指差す先には木箱がありその上には『Knights』の紋章…もといユニットマークが刻まれていた。去年、レオからもらったもので、気づけば行方不明になっていた代物だ…。
なんで、これがここに…?そういえば…昨日レオが…
『…あ…レオが…夢じゃなかった…?』
紡母「あら!やっぱりレオくんだったの⁉︎家に帰らないであなたの所にいくなんて…ふふ♪相変わらずね…」
『…お母さん…』
紡母「レオくんに『義母さん』って呼ばれる日は遠くないわね…」
『お母さん…』
ガシャンっと音をたてたのは、飲み物を取りに行っていた父でついでにケーキでも買ったのか床にはフォークが落ちていた。そして落とした張本人である父は目を見開きこちらを見ていた。
それはもう絶望しました、と顔に書いてある…これは確実に誤解をされている。
紡父「…月永くんに…『義父さん』なんて…僕はまだそんな…それに2人はまだ高校生だよ…ね…」
『お父さん!なんでそんなことに⁉︎誤解だよ…‼︎』
紡母「あら…♪いつかは時が来るものよ♪」
『いや…レオのことは大切な幼馴染だと思ってるけど…好きとかじゃ…』
「「…!?」」
好きとかじゃない、そう言いかけると両親はニコニコと笑い合っていたのが嘘のように仰天という顔でこちらを見てから2人でコソコソと話し出す。
何を話しているかはわからないが、夫婦仲がいいのはまぁ…間違えない。……と思う。
紡母「そういえば…!そのオルゴールなんの曲なの?もしかして…愛の曲だったりして♪」
紡父「…あ…愛の曲…⁉︎」
『あぁ…違うよ『Knights』の曲…でもこれ確か………こわr…てない…』
このオルゴールは『Knights』のユニットソングが完成した際にレオが記念にとくれたものだが、しかしある日ひょんなことがきっかけで音を正確に刻まなくなってしまった。そして、壊れたオルゴールは忽然と姿を消した。
案の定、それを持っていたのはレオで…、どうやら直して返してくれたらしい。底にあるネジを回し蓋を開けると、それは最後に見た時とは違い綺麗な音色を奏でていた。
紡母「それって!レオくんと紡ちゃんが作った曲でしょ!まぁまぁ♪2人の合作をオルゴールにするなんて…おアツいのね♪」
紡父「お…おアツい…」
『いや、レオと泉が作ってくれたものだし…おアツいって…』
ウチの母はどうしていつもこう…、色恋に寄せていこうとするのか。理解できない…。
確かに、レオのことは大事だけど、それは泉や凛月…ナルちゃんも同じだし…、泉もレオのことは大事にしているハズだし、そこに感情の優劣はつけたことはない。
強いていえば、この両親が私の中で優先順位トップの人間だ…まぁ色恋とはもちろん関係ないのだけど…
紡母「んふふ♪まだまだこれからよね♪」
『…お母さん…もう…』
母はいつも女子高生のような会話に花を咲かせたがる…。一児の母がこんなに若々しいことを喜んでいいのかわからない。それでも、母が幸せに笑うと父も私もつられて笑みがこぼれるので、やはり母は不思議な力を持った人だと思う。
レオ的にいうと、ウチの母は宇宙人なのかもしれない…
『綺麗な音色だねーーーーーーお母さん、お父さん』
思い出のオルゴール
『君と一緒にいる感覚』
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