崖っぷち!続かない五線譜
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瀬名「紡…!!!聞こえてんの!?返事しなよ」
『い…いずみ…?あえ…いつからいたの…?』
放課後、ボランティアや仕事もほどほどに本日は『Knights』の打ち合わせdayだ。私も家に帰らず、音楽室で時間がくるまでは…と作業をしていた。
集中していたためか、先程の薫くん同様…泉が肩を揺らすまで気づくことはなかった…。
泉が怒った顔で口をパクパクしているが、声は一つも入ってこない。ボヤっとしている私に気づいたのか、怪訝な顔をする泉に「声が聞こえないの」と言うと世界の終わりみたいな顔をする。
作業中にも関わらず、泉は私の腕を掴んで音楽室から出ていく。道からするとセナハウスに向かっていると思うが、その間も泉は口をパクパクさせながら何か言っていた。
瀬名「なんでそんなになるまで何も言わないの…!ばか!」
=セナハウス=
泉はバンっと音がなりそうな勢いで、セナハウスの扉を開き、中にいた『Knights』のメンバーに何か話している。すると、みんなが驚いた顔でこちらに駆け寄ってくる。
瀬名「女王様を病院に連れてく」
朱桜「まっ…待ってください!瀬名先輩!どういうことですか!お姉様はどこか悪いのですか!?」
鳴上「そうよォ!ちゃんと説明してほしいわ!」
瀬名「声が聞こえないらしい。」
凛月「聞こえない…って今も…?」
みんながこちらを見るので「なに?」と言うと3人がギョッとした顔をする。
すると…勘のいい凛月はセナハウスに常備されている私のメモ帳を持ってきて「"セッちゃんが病院に連れてく行くって"」と太めのマジックで書く
『大丈夫だよ!確かに…声は聞こえないけど、メロディーは流れてる!曲を書き終わったら病院に行くから!』
そう言ってセナハウスから出ていこうとすると…、日頃の無理がたったのか足元がグラつき、廊下に膝を打ちつける。
『…ぐぬっっ、膝が割れる…』
瀬名「はぁ!?なんなのこいつ、バカなの!?」
鳴上「もう…この間から様子はおかしいと思ったけど、こんなになるまで気にしないなんて変よォ!」
すかさず駆け寄ってきた司くんが腕を掴んで立たせてくれる。
言ってることはわからないけど、みんなが心配していることは顔を見ればわかる…。
凛月がまたメモに「"セッちゃん怒ってるよ"」と書くのでわかってると言うように頷くと、凛月が首を左右にふる「わかってないよ」と言いたいらしい…
けど…仕事は仕事だ。承諾したからには、やり遂げなければならない。そう考えていると頭の中をノイズのような…電撃のようなものが走る感覚がする…
『い"だい"…』
朱桜「お姉様!?…大丈夫ですか…!?」
鳴上「紡ちゃん!」
『う"…ぎも"ぢわるい…』
瀬名「痛いのか、気持ち悪いのかどっちかにしてよ!」
『メモ帳…がじて"……』
凛月からメモ帳を取り、割れそうなほど痛い頭を抑え、気持ち悪いお腹を隠すように丸まって、メモ帳に歌詞を書き残す…さすがのこの光景には『Knights』もドン引きと言った表情をしていたが、気にする余裕はなかった…書き終わると、何事もなかったように立ち上がり『Knights』の方をむく…
『名曲が出来そうな予感がする…!私は作曲にもd…うぁ…』
凛月「紡!?…紡っっっ!?」
ゆっくりと『Knights』のみんなが横になっていき私は床に近づいていった……
*瀬名side
作曲に戻る、と言いかけた紡はそのまま横に倒れていった。珍しい瞬発力を発揮したくまくんが、それをキャッチしぶつけることは無かったが…、
鳴上「紡ちゃん!?しっかりして!ダメよ!聞こえるなら返事して!」
朱桜「お姉様!!しっかり!意識を保ってください!」
なるくんとかさくんが紡の肩を揺らす。俺は何もできず呆然と立つことしか出来なかった。あの時の光景と重なってしまう。"王さま"が「曲が浮かばない」といったあの日に…俺はまた大切なものを壊して…
その考えを振り払うように左右に首をふる。ダメだ、今ここでウジウジしても仕方ない…!俺が一応最年長なのだからしっかりしないと…紡をこんなふうにしてボーっと見てましたなんて、アイツに合わす顔がなくなってしまう…!
瀬名「揺らすな!なるくん、紡をおぶって!くまくんは音楽室にある紡の荷物回収!かさくんは佐賀美先生を先に走って呼んでおいて…!みんな早く動く!」
朱桜「は…はい!」
鳴上「わかったわァ!紡ちゃん!しっかり捕まっておくのよォ!」
瀬名「意識ないから!俺が背中支えるから…早くいくよ!」
それぞれが指示通りに散っていく。
よく見れば、顔色は先ほどよりも悪くなっている気がする。
こんなになるまで俺もみんなも…自分自身も気づかないなんて…
王さまに悪いところまで似てしまった気がして…、遣る瀬無い気持ちになってしまう…。
ショボくれても仕方ないのでとにかくこれからのことを考えよう…。
そのあと、保健室に到着したらすでに到着していたかさくんと佐賀美先生が待っていて佐賀美先生が手際よく病院へいく準備をしていく。救急車を呼ばなくても大丈夫という判断から紡だけを先に先生が車で運び俺たちは後々、ということになった。
アイドル科に救急車が入ったとあれば何かと話題になってしまうので、それは避けたいらしい…、急いで運んでやりたいところだが教師の判断に任せることになった。
俺たちは所詮まだ子供。大人を頼るしかないことを実感してしまった。
周りが慌ただしく動く中で、紡は静かに寝息を立てていた。
日常の崩壊
瀬名「どいつもこいつも…心配ばっかりかけてぇ…ほんと生意気…」
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