崖っぷち!続かない五線譜
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泉にバイクで送ってもらって、学院についてからは非常に慌ただしかった。
もともと、音楽科だった時には打ち合わせや提出作業,書類関連は全て生徒会を通して行っていたのだが、現在私はプロデュース科と言うこともあり、自分で打ち合わせなどのスケジュールを立てなければならなかった。
基本、打ち合わせやリーダーにお願いすることが多いので、3年生でこと足りるのが、たまに1年生だけのユニットや2年生だけのユニット、リーダーは3年生だが曲関連の取りまとめは他学年が行っているユニットなど、ユニットによって様々だ…。
『依頼書』に記載されている通り、誰に聞けばいいのか確認してその人の元へ向かう。慣れっこかのように他の学年,他のクラスへ容赦無く顔を出していく…。
『あんずちゃん!』
あんず「先輩!…あれ?寝不足ですか…顔色が良くないですよ?」
『作曲に没頭しちゃって気づけば…って感じだけど大丈夫、慣れっこだから♪』
あんず「無理しちゃ嫌ですよ…先輩に何かあったら…」
『心配しすぎだよ!ちなみに何だけど…いまこの子を探してて…クラスにいる?』
あんず「あ…その子なら…」
あんずちゃんも気づけば立派なプロデューサーだ。顔色が悪い、とか体調が〜…と気遣えてさらにはテキパキと探し人のところまで案内してくれる。
あんずちゃんに探し人の元へと案内してもらい、曲のデモを渡してから打ち合わせの日程を決める。ではまたと告げてからあんずちゃんにお礼を言って後輩の教室を後にする。
本当ならば授業にいかないといけないのだが…、音楽室へと足を向ける。
朝礼を始めるチャイムと同時に、音楽室の扉を開ける。誰もいない教室には、朝日が差し込んでいた。
昨日の完成した曲の楽譜をピアノの譜面台において眺める。
急ピッチで仕上げたとはいえ、クオリティとしてはまずまずな感じ…と私は思っているが、完璧には程遠い。修正回数を少なくするために今のうちにとブラッシュアップしておこう…。
転科して1ヶ月経過し、学科自体にも慣れてきたが新鮮に思うことも多い。朝登校して、泉に作曲の話をしたり『Knights』の予定を聞いたりするのは、去年までは文面でのやりとりだったが、今では口頭で朝からできる。
教室に入ればアイドル達が挨拶をし、世間話をしてくれる。音楽科の時は基本放課後にしか入れなかった校舎に朝からひどい時は深夜までいることができる…。そんなことが気づけば普通になりつつあった。…と言っても4月は今までにないほど目まぐるしかったのだが…、それでも気づけば非日常は普通の日常へと移ろっていく。
去年までを懐かしんでいると、音楽室のドアが音を立てて開く
凛月「あれぇ?女王様だ…ピアノ…やっぱ女王様だったんだね」
『凛月、おはよ。朝礼はいいの?』
凛月「いつものことでしょ?」
凛月はゆっくりと中に入ってきて、狭いピアノチェアに一緒に座ってくる。目の前にある楽譜を一度見て「これ弾いてたの?」と指をさす
『うん、でもこれは違うユニットの曲…本人達に見せる前にまたアレンジしてたの』
凛月「ふーん、『Knights』の曲は…順調?」
『…まだ、でもS1の時に書いたやつをメロディーだけつけて置いてある…また使う日が来るかなって…気に入ってるから発表はしたい』
凛月「気に入ってるんだ、それは楽しみだな…ふあぁ、ふ♪」
クスクスと凛月は笑ってから、あくびをする。またゆっくりと私から離れて音楽室の机に座って机に頭を乗せる。どうやら、ピアノの音なんて気にせずにお眠りになるようなので、私も気にせず作曲を続けることにした。
静かに、時間が過ぎていく中で定期的に時間を告げるチャイムが聞こえるーーー。気づけば、お昼になる頃で心配した泉が「どこ」と簡素なLINEをよこすのだった。それに「音楽室、凛月もいるよ」と返す。きっと泉のことだ。迎えにくるのだろう…
久しぶり感じる穏やかな時間に心が温まっていくのを感じた。
あとは『Knights』が元通り活動できるようになればいいーーー。
その願いを私は音楽へと昇華していく。
本当はもっと早く、別ユニットの曲を作らなければいけないのに私の頭の中には”5人”で歌う『Knights』の曲が定期的に頭を満たしていくのであった。
私が忙しく作曲に追われる中、『Knights』はというと天祥院くんに言われた通り、すでに校内ボランティアへと駆り出されているそうで、
泉や司くんは撮影アシスタントなど、機材を運んだり様々
ナルちゃんは庭仕事と言ってはなんだがお花に関わることをするとかなんとか…
凛月は今度学院祭の催しで使用されるお菓子のコンテストに出るとかなんとか…
そのボランティアの内容は多種多様、自分たちで選んだものから他のユニットに協力をお願いされて…など様々な仕事が彼らを待っていた。
そんな報告をそれぞれがすれ違った時やユニットで練習・打ち合わせを行うときに報告されては少し母になった気分を味わうこととなる。
司くんなんて顔を合わせればいの一番に「聞いてくださいお姉様!」と意気揚々と私の元へと走ってくる。
司くんは御曹司ということもあり、ボランティアやアルバイトと言った経験もなく新鮮に思うことも多くあるのだろう。
何かあるとすぐに報告をくれる姿がまた可愛らしく、頭を撫でる手が止まらなかった。
そうやって、私たち『Knights』の5月はスタートしたのだった。
仕事三昧
『よぉし!頑張ってお仕事するぞぉ〜♪』
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