MainStory〜第一部〜
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放課後ーーー
天祥院くんから言われた通り、少し遅くはなったものの生徒会室へとやって来た。
すると、グッドタイミングだったようで北斗くんの声が聞こえる。
氷鷹「用件を聞きたい…」
『…あっ。やっぱりか…』
そう思い、ノックを三回して生徒会室に入ると案の定、あんずちゃんと『Trickstar』のみんな、そして生徒会の面々がいた。
『失礼します、あとお疲れ様『Trickstar』のみんな、』
あんず「紡先輩!お疲れ様です!」
『あんずちゃん、なんか久しぶりだね!顔が疲れてるけど大丈夫?』
あんずちゃんの顔は昨日よりさらに疲れた顔をしていたけど、私を見ると少し安心した顔で「大丈夫です!」と返したので北斗くんに話続けてっと目で合図する。
北斗くんもわかったのか頷くと天祥院くんに向き直る。
氷鷹「くだらん用事なら帰らせてもらうぞ、生徒会長」
天祥院「ふふ。そう突っ張るものじゃないよ。可愛いなぁ…
喧嘩腰にならないでほしいな、僕は君たちと親睦を深めたいんだから」
そう返す天祥院くんに北斗くんは喧嘩腰に返していく。
仲良くするだけなら、帰るとみんなに帰るように促す。緊張しすぎの真くんにキラキラがいっぱいだからと周りを見渡す緊張感のなさすぎるスバルくん。そして隣で私の制服の裾をしっかり握っているあんずちゃん。
まさにカオス、それを天祥院くんが面白いねと微笑む。
本当にお茶会だけなのか、絶対に裏がある。いや、私の言う裏というやつが天祥院くんの思う裏ではないかもしれない…私は静かに焦っていた。天祥院くんが口を開くたびに喉が乾く。カラカラになった声も出なくなりそうだ…
北斗くんと天祥院くんのやりとりを黙って見ることしか出来ない…。
天祥院「僕はずっと君たちのような革命児が現れるのを待ってたんだ」
氷鷹「…どういうことだ?」
天祥院「若い子はせっかちでいけないね。すぐに答えを求める、結論を急ぎすぎる。もっと、エレガントに振る舞うべき
とはいえ、ゆっくり寛ぐつもりはなさそうだし………。仕方がないから、単刀直入に用件を述べようかな?
とりあえず、『Trickstar』は解散しなさい」
氷鷹「……!?」
『……へ?』
みんなの驚きの声と共に北斗くんとスバルくんが抗議するのを蓮巳くんが制する。
『じゃあ同じ上級生がいうけど、いくら何でも横暴だと思うのだけど、生徒会の1ユニットが負けたくらいでそこまでするなんて皇帝陛下は随分部下思いなんだね』
蓮巳「夜永、お前も言い方が悪いぞ。とはいえ。俺もその言い分はどうかと思うぞ、英智?
昨日のドリフェスで『Trickstar』が生徒会を倒した、という事実は学院の内外に知れ渡っている。こいつらは、『英雄扱い』をされているのだ
ドリフェスで勝てなかった腹癒せに、生徒会が強制的にこいつらを解散させた……。などという構図になれば、恥を上塗りするだけだ」
『そうだよ、今考える限り最悪のやり口だと思う。負けた事実を受け入れて、正々堂々と『Trickstar』に勝負して勝った方が生徒会の名誉の回復にもなると思うけど』
蓮巳「そうだ…これは悪手だ、英智。度し難い」
そうだ、負けたからといって解散させるのは『Trickstar』を失うことになればこちらとしても都合が悪い。それに、生徒会も負けたから解散させたなんて噂されればそれこそ今までの積み上げたものは総崩れ…どちらにとってもいい状況にはなり得ない。この学院にとってもだ…
それでも私たちの声は天祥院くんには届かない。
彼はきっと何手先も読んでいる。
天祥院「わかってる。安心して、ちゃあんと考えてる。みんなが幸せになれる未来をね、僕は見据えているつもりだよ
この物語はきっとハッピーエンドになる」
『ハッピーエンド…になる…』
天祥院「さて
まず前提の話をしよう。賢い君たちは理解していると思うけど、昨日のドリフェスで君たちが勝てたのは奇跡だ、『まぐれ』だよ
不意打ちであったこと、『UNDEAD』や『2wink』などの協力、転校生ちゃんの特別性、僕の不在…
そして、女王様の気まぐれだよ」
『私…?の気まぐれ…』
天祥院「そうだよ。君は依頼書の30%しかこなさないのに彼らには条件なしで曲を提供した、気まぐれといって遜色はないよね。
これらの要因が重なって運良く掴んだ、薄氷を踏みながらの勝利だった」
『違う。この子たちはこの子たちなりに努力した。運良くじゃない…』
天祥院「違わないよ。真っ向から、本気で僕らが君たちと戦ったら、君たちに勝機はない。
リベンジに燃える敬人の『紅月』や、僕の『fine』なら、君たちをかんたんに捻り潰せる」
『そんな…っ‼︎』
声をあげて反論しようとすると北斗くんが私の前に腕を出し、裾を掴んでいたあんずちゃんが私の腕を抱きしめていた。
そうだ、この子たちが一番わかっている。あれは奇跡や偶然の産物だ。正々堂々と勝負して勝てる見込みなんて今のこの子たちにはない、それをわかっていたのは私たちより彼ら自身だったようだ。
天祥院くんだってこの学院のトップにただ長くいたわけじゃないトップアイドルとして、生徒会長として確かな実力の元この学院を支配していた…。
『Trickstar』はまだまだ生まれたてだ。今の時点での実力差は明らかだ。それをどうこうするには時間が必要なのに…天祥院くんは彼らにその時間を与えるつもりはないらしい。
天祥院「『Trickstar』には、可哀想だけど解散してもらう。
けれどその構成メンバーは全て、もっと有力な『ユニット』に移籍してもらおうと思っている
電撃移籍だ。そうだね…氷鷹北斗くん、明星スバルくん
君たちには『Trickstar』なんて寄せ集めの、どこの馬の骨かもわからない『ユニット』なんてもったいない
僕の、『fine』に所属してもらおう。この夢ノ咲学院で、最強の『ユニット』にね
今日、君たちを呼び出したのは制裁のためじゃない、勧誘のため何だよ?
僕の身内になりなさい。そして、未来の『fine』を、夢ノ咲学院を、アイドル業界を担う逸材となってほしい
君たちには資質がある、光輝く才能がある。それは僕の敵としてではなく、味方として大きく咲き誇るべき尊き萌芽だ
芽生えたばかりのそれを、僕に踏みつぶさせないでほしい
愛でさせてほしい、育てさせてほしいんだ。
これはお願いだよ、この天祥院英智が頭を下げて頼もう。
君たちがほしい、喉が手がでるほどにね
可憐な花を、将来有望な若いアイドルを収穫する日を、僕はずっと待ってたんだ
もちろん…氷鷹くんと明星くんだけでなく、他のふたりのメンバーについても考えているからね。どうか、安心してほしい
まず衣更真緒くんは、彼を高く評価している敬人の『紅月』に所属してもらう
遊木真くんは、僕の知己が所属している『Knights』が『欲しい』と手を挙げてくれている」
『え…』
天祥院「瀬名泉くん…彼が、強く遊木くんの移籍を所望しているようだね
『Knights』は生徒会の勢力に属さないなかでは最大級の、有力な『ユニット』だ」
コイツは何を言っているんだ。彼らが欲しい?電撃移籍?若いアイドルの収穫?『Trickstar』という一連託生のユニットを崩壊させて自分のそばにつかせて動けと、コマになって将来のアイドル業界を勝手に担え、とそう言ってるのか。
彼らがやったことは全てごっこ遊びだ。と無意味なことだと笑うのか。
この私の身体中を駆け巡る熱いものが何なのか私には理解できない、ただ不安そうにこちらを見るあんずちゃんがしっかり腕を持っているから何とかまっすぐ立っている。
天祥院「君たちの夢を、僕の夢に取り込んであげる」
そんな彼の言葉が頭の中で鳴り響いた。
その後も、天祥院くんは大好きな1人語りを続けていた。
皇帝陛下のご命令
気づけば、私の騎士も関わっていたなんて
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