祝福!騎士達の微笑み
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撮影が終わって、『Knights』は明日のために解散し月永家とウチで豪華なディナーを楽しんだ。そして、私はレオと二人『我が家』へ帰宅した。
新築のマンションの香りが鼻いっぱいに広がって少し新鮮な気分が胸を満たす。
月永「どう?」
『レオが部屋を綺麗にキープできたことに感動してる。』
月永「ど〜いう意味だよ!おれだってできるの!」
『うん、そうだよね。』
手入れの行き届いた部屋に感動しながらキョロキョロしているとリビングに置いてあるソファーに彼が座る。おそらく作業場であろう部屋の真ん中には、おそらく私のピアノ置く用だったであろう綺麗なカーペットがポンッと広げたままで置かれていた。
『流石にピアノはダメだった?』
月永「階数の関係で持ち上げられないからNGだって、その代わり音質がいい電子ピアノ聞いて買った」
『聞いた…?誰に…』
月永「義父さん…」
『お父さんに…?ふたりで出かけたの?』
月永「流石に紡ママも入れて3人だ!」
『…いや、なんでうちの両親と出かけてんのあんた…』
仲がいいことは嬉しいけど、私を抜かして私の両親と出かけるなんてどういう心持ちなのか理解できない。確かに私もレオのパパとママとは仲は良いが流石に3人でおでかけしよう!とはならない。
複雑な気分なままキッチンに立ってコーヒーを入れようとすると、レオがやってきて夫婦茶碗ならぬ夫婦カップをレオが取り出して「これに入れて!」とイタズラに笑う。
『これは〜?買ったの?』
月永「ん〜ん!ナルがくれた!」
『ナルちゃんか…』
そのマグカップにはでかでかと「作曲バカ」「作詞バカ」と書かれていてどちらがどちらのものか一目でわかる。なんでこの人はこんなに嬉しそうにしてるのか…
『コーヒーブラックでいい?』
月永「うん!」
『持っていくから、ソファー座ってていいよ』
月永「え?……あっ…あぁ!」
レオは慌てたように元のソファーへと戻っていた。コーヒーを入れるためにお湯が沸くのをボーッと見つめているとカシャリと音がなる。前を見ると、先ほどまでソファーにいたレオがキッチンのカウンター越しに携帯をかまえていた。
『レオ、大人しく座ってられないの?』
月永「だって!紡と一緒に住めると思うと…なんかキッチンに立ってるだけで涙でそう」
『そんな、大げさな…』
月永「でも、これからは毎日見れるんだな」
レオは至極満足そうに笑い今度こそソファーへと戻っていった。私は少女漫画のように「ドキっ」となる感覚と同時にお湯を沸かしていたケトルが「カチ」と音を鳴らす。私は熱に浮かされてぼんやりしていた頭をフルフルと振り払う。
カップにお湯を注いで、満遍なく混ざるようにスプーンでくるくるとかき混ぜる。…あぁこれからもこの風景が日常になるんだと思うと、レオと同じように自然と笑みがこぼれてしまう。
ソファーの前にあるテーブルに持ってきたカップをふたつ置く。
月永「ありがと!」
『ん、熱いから気をつけてね』
月永「ふ〜っ!ふ〜っ!」
いつぞやみたいにまるで猫が威嚇するかのようにコーヒーに息を吹きかける様子が全然変わらない彼を思わせて幸せに思う。彼の隣に座って私も少しコーヒーを冷ますように息を吹きかける。
『あっ…霊感(インスピレーション)が湧いてきた…メモちょ…ウワァっ!』
穏やかな時間が少し新鮮で思いついたことをメモする為、メモ帳とペンを取ろうとコーヒーを置いてソファーを立ち上がった瞬間、彼の方にあった腕を捕まれギュンと引き寄せられる。
痛みに耐える為に強く瞑った目を開くとそこには変わらない光景と背後の謎の違和感。
『あの……レオさん…?これはいったい…』
月永「今日はもう疲れたから仕事はやめよう…?」
衝撃の瞬間っていうのはこういうことを言うんだと思った。彼にとって仕事であり、趣味である音楽。そんな彼が今日は音楽のことをやめようと言うんだから驚いた。長い付き合いの中でこんなこと言われたのは初めてだ。お互い霊感(インスピレーション)が湧いてくればそれを止めることはしないし、邪魔もしない。暗黙のルールであり、納得できる範囲の自我みたいなものだと思っていた。
でも、今彼がいったのは出会ってはじめて…いや、付き合ってから数回あったか…?でも、私に向かって「仕事はやめよう」と言ったのは初めてだ。
『ど…どうして…』
月永「…言わないとわからない…?」
レオは潤んだ目で後ろから瞳をのぞかせる。その目には逆らえないと思って目を逸らす。それと同時に頭を働かせる。彼がこんなに甘い雰囲気持ってくる要素がどこにあった…?
日本に留学を終えて帰ってきたから…?
結婚式をしたから…?
私がこの家にいるから…?
どれだ…どれが正解…?そしてこの溢れる霊感(インスピレーション)をどうすれば彼の腕を抜けてメモ帳に残せる…?
すると、痺れを切らした彼が私の体をソファーに押し倒す。私の手を自分の手で掴み押し付ける。驚く私の目の前にはレオの少し火照ったような顔が「限界」と訴えてくるようにこちらを見る。
『ふみゃっ!』
月永「待たせるな…正直、ずっと我慢してたから答え合わせも惜しい」
『えっ…あ…あの…』
もし、もしお客様の中に幼馴染と付き合ってる人がいれば教えてください。幼馴染兼恋人…兼旦那様との甘い時間の過ごし方になれる方法を…別になかったわけじゃない。夫婦になる前に何度かあったし…そのキスもしたことあればそれ以上だって経験したことある…。けどその度に私の心臓はありえないくらい正常に機能しなくなる。
『…す…するのでしょうか…』
月永「…一応、初夜だと思ってる」
私の脳内は大パニックだ『初夜』…?初めての夜…?新婚夫婦の最初の夜のこと…?確かに、今日成り行きとはいえ結婚式を行なったが、私たちは一年前から書面上は夫婦だ。混乱する脳内を静止するように彼の唇が私の唇を塞ぐ。
『…んっ…んん…ぁ』
月永「…正直、スオ〜のわがままがなかったら家にすぐ帰って襲ってた」
『おそっ…⁉︎』
月永「でも我慢した。だからもう我慢しなくていいよな?」
…あぁ、お客様…もう結構です。なんだか、私の混乱の時間も彼は許してくれないみたいなので…ここは大人しく彼の言う『初夜』に従おうと思います。
『せめて…、ベッドにして…』
月永「……!仰せのまま」
気づけば離れていた両手を彼の方に伸ばすと彼は笑ってお姫様抱っこして、ベッドルームへと連れてってくれた。もうあとは彼に全てを託して身を委ねよう。それと音楽のことは……また目が覚めたら考えよう。
帰ってきたら
『旦那様の仰せのまま』
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