祝福!騎士達の微笑み
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みんなが揃って並べばそれはそれは絵になった。私がいなければ…。
二人を入れて『Knights』のみんなと撮影した後に私は休憩のために一人椅子に座って、『Knights』が撮っている様子を眺めている。『Knights』が全員揃った写真、レオと司、レオとナルちゃん、レオと凛月……そして、レオと泉。
長年共にしてきた仲間との撮影にレオは笑って答える。幸せそうなその笑顔に自分の胸のあたりが温まる感覚がする。彼の言っていた「お前の笑顔が、おれの幸せで笑顔に繋がる」その言葉の意味がまるで体現されたような感覚がした。
鳴上「幸せに笑ってるわねェ…♪」
『ナルちゃん…』
撮影を終えたナルちゃんがこちらへと歩み寄ってくる。レオはというと泉に謎のポージング指導を受けててんやわんやと騒いでいる。ナルちゃんは傍に置いてあった椅子を持ってきて横に並ぶように座る。
鳴上「もう少しの辛抱よ。まぁお色直しもあるんだけどねェ♪」
『えぇ…もう着替えるのはやだよぉ…』
鳴上「あら…今日はこの教会貸切なのよォ?しっかり満喫しないと損よ!そ・ん…♪」
『ドレス重いんだよ…?私もともと体力そこまでないし…しかも帰ってきたばかりで疲れてるのに…』
鳴上「…でも着た方が良いわよ。もっとレオくんが喜ぶから♪」
『……レオが…?』
鳴上「うふふ♪さぁいきましょ!次は紡ちゃんと撮影よォ」
やっと終わったのか、レオと泉が戻ってきて代わりに私とナルちゃんがカメラの前に立つ。
ナルちゃんは私の腕を引くとギュッと後ろから抱きしめる。
鳴上「幸せになるのよ、紡ちゃん。」
『…びっくりした…』
鳴上「それで、早く『Knights』をあんずちゃんから取り戻してよねェ。レオくんだけじゃなくて司ちゃんも泉ちゃんも貴方がいなきゃ、ほ〜んと役に立たないんだから」
『えぇ…そこは何とかしてよ…』
数パターンほど撮るとカメラマンさんが「次を」と声かけるのでナルちゃんが離れ、司が前にやってくる。
朱桜「お姉様。本当にお綺麗です」
『ありがと…』
司は私の手を取ってまるで踊るようにポーズを決めていく。私はその流れに身を任せながら司の顔を見る。ファンサービスが苦手だった彼がこんなにも女性の扱いに慣れたように笑顔を決めカメラをまっすぐ見据えられるのは何か心の変化でもあったのか、それとも…
『強くなったんだね、『王さま』』
朱桜「……っ!はい」
撮影を終えて司は私を次のメンバーに渡すためにエスコートしてくれる。私の手を次に掴んでいたのは凛月で相変わらずのニヤリ顔で待っていた。
『なんなのその顔…』
凛月「い〜んや、疲れてるなぁって♪でも、最後はセッちゃんだからもっとシャンとしないと大変だよ」
『うゲェ…泉か…じゃあ凛月の枠、休憩に…』
凛月「するわけないでしょ?さぁ、行くよ」
凛月は意気揚々とポーズをキメる。私もそれに合わせて指示されたポーズをする。写真を撮っている間も凛月とやたら目が合うというよりは視線を感じる。
凛月「ねぇ、紡」
『なに?凛月』
凛月「約束、覚えてる?」
『約束?』
凛月「月ぴ〜と紡の子供できたら俺が一番に抱っこさせてねって」
『……へ』
突然の発言に固まってしまう。固まっていると、凛月は徐々に顔を近づけてその柔らかい唇を私の頬へと押し当てた。シャッター音が聞こえても、レオの怒りの声が聞こえても、何に反応することもなくただただ目の前にいる男の綺麗な顔面を見ることしかできなかった。
凛月「絶対だよ。や・く・そ・く♪」
『キスした…』
凛月「そのくらい慣れっ子でしょ…?」
『セクハラだ…』
凛月「頬はセクハラにはいりません」
そう言って凛月は満足したように私から離れていった。代わりに小走りでやってきた泉がハンカチで頬を拭う。
瀬名「あんたねぇ!油断しすぎ!バカじゃないのぉ」
『だって、凛月が変なこと言うから…』
瀬名「くまくんが変なこというのは今に始まったことじゃないでしょぉ…?」
『だって…ああ〜…もう頭が回らない』
瀬名「ちょっとぉ…俺との撮影なんだからしっかり頭回転させてよねぇ…それとも、上書きが必要…?」
『…なっ!そんなの…いらない…』
瀬名「はぁ?俺からのキスを拒むとか百億年早い」
『もう油断しろなのかするななのかどっちかにしてよ!』
泉は根が真面目だからそれが冗談なのかそうではないのかが、たまにわからない。けど、そうやって話している泉もどこかみんなと同じく高揚感に包まれたように…なんだか浮き足立っている。そんな気がした、からかうのもほどほどに泉が慣れたように指示されたポーズをするので私もそれに合わせる。私なんてただの一般人のような存在で、今やフィレンツェでも人気モデルの仲間入りしようとしている人間の隣に立つなんて普通に考えれば縁のない話なのに…。
なぜかこうやって写真を撮れているのが奇跡に思う。
『泉、『あの時』見てた未来は現実になった…?』
瀬名「……?……あんた、気づいてたの?」
『いや、気づいてたのはわりと最近引越しの準備してた時にね…それで、どう?』
瀬名「…あんたは今幸せ?」
『私?……うん、幸せだよ』
瀬名「あんたが幸せなら、きっと俺も幸せ」
泉はそう言って私のおでこに唇を落とした。ほんの一瞬の出来事だったけど、カメラマンはきっとその瞬間をとりこぼしはしないんだろう。フラッシュの光が消えるのと同時に泉が綺麗に微笑んでる気がして、私の目の奥が潤んでいくのを感じた。
気づいてからずっと言いたかった。貴方が隠した気持ちはもう隠さなくていいんだよ、とちゃんと私に届いたと言いたかった。
瀬名「大丈夫、俺はもう……ちゃんと前を見てるから」
『…うん、今度は泉が幸せになるんだよ』
瀬名「…じゃあまずは有名になってとっと日本に戻ってこないとねぇ」
『…泉ならできるよ。私の優秀な『騎士』だもの』
泉はクスリと笑って、その場を去っていった。少し長い時間の撮影にひと息つくように声がかかり、みんな控え室へと帰っていく。私はカメラのモニターの前で顎に手を置いて唸っている人の元へと歩み寄る。
『レオ、どうしたの?』
月永「どれもいい写真なんだけどなぁ…?なんか、これっておれと紡の結婚写真だろ?なんで、他の奴との方がカップルっぽい?」
『それはみんなの悪戯で……じゃあお願いしてみようか』
月永「…お願い?」
私は休憩に入ろうとしていたカメラさんに声をかけ相談する。その内容を聞いて、レオは大層嬉しそうに笑った。
仲間と私
『みんな、変にファンサービスが旺盛』
キスの意味
頬:親愛の情
おでこ:祝福
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