祝福!騎士達の微笑み
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泉だけを残して、みんなは控え室を後にした。なぜか取り残された泉は時計を見て「とりあえず座れば?」と私に着席を促した。私はそれに従って席に座って、立ったままの泉をみる。
『泉は、どうしたの?』
瀬名「……あんたを案内するのが俺の仕事」
『え?』
瀬名「なるくんがここまで案内したでしょ?あれも仕事」
『ほへぇ…』
瀬名「…はぁ…チョ〜うざぁい!」
『どうして!』
泉は急に大きな声で怒り始めて、ズンズンと私に近付く。私は背もたれにグッと押し付ける。
瀬名「せっかく綺麗な格好してるんだから自信持って歩くんだよぉ!だらしない格好したら許さないから!」
『は…はい!』
瀬名「ほら立って!レッスンしてあげるから!」
『えっ…えぇ…⁉︎おっと…と…』
瀬名「あんた普段ヒールなんて履かないんだから低いからって魅せ方があるんだからねぇ!」
泉に椅子から立ち上がらせて、歩く練習をさせられる。何がムカつくのかわからないけどたまに笑うから、特別怒ったわけではないのだと思う。綺麗な歩き方やこれからあるであろうヴァージンロードの歩き方をなぜか二人で予習した。
そして、時間が来たのかふたりで廊下を歩く。
『泉、レオのワガママずっと聞いてたのに、言わないでくれてありがとうね』
瀬名「…気づいてたんだ」
『だって、あんなに式をしたいって言ってたレオが大人しく食い下がるなんて思わなかったし。それを聞いてくれるのは泉くらいしかいないでしょ?』
瀬名「ほ〜んと、ずっとうるさかったんだからねぇ?」
『でも言わないでいてくれたでしょ?黙っててくれた……嬉しかったよ』
瀬名「あっそ……でも、式……本当はしたかったんでしょ?」
『……まぁ、これでも女の子なんで…でも『アイドル』の嫁なんて多くを望んじゃいけないよ…』
目的の場所に到着したのか泉は足を止め、扉の前で彼と向き合う。泉は少し呆れた顔で私の肩を掴む。私はその真剣な目に背筋を伸ばす。
瀬名「違うよ、多くを望んでいいいんだよ。あんたがその古臭い考えを取っ払うんだよ。確かに『アイドル』は規制が多い、けど幸せに関しては規制されてたまるかって話」
『けど…っ!』
瀬名「…幸せになりなよ。紡」
『えっ…』
泉はギュッと私を抱きしめてから扉の向こうへと消えていった。そのかわりに現れたのが私の父と母だった。
紡母「紡ちゃん!可愛いわぁ!やっぱり見れてよかった!」
『…え…お父さん、お母さん…』
紡父「うっ…ううぅ…昔のママみたいだよぉ…綺麗ぃ…」
なんだか…年々レオと父の喜び方?が似てきている気がして少し気まずい。喜ぶのも束の間、スタッフさんがやってきて大まかな流れを説明され、両親が自分の両サイドに立つ。改めてドレスをセットされ、髪の毛をなおされる。いつも『Knights』にやっていることをされているからかどこかくすぐったく感じる。
スタッフ「では、アナウンスの合図で扉を開きます。」
扉の向こうのアナウンスと同時に扉がゆっくりと開くとそこには真っ赤な一本道とその先に大好きな彼が待っていた。私は母と向かい合いヴェールをかけられる。
紡母「紡ちゃん、とっても綺麗よ。」
『うん、ありがとう。…お母さん、大好きだよ』
一言ずつ交わしてギュッとハグをする。そして、少し前に立った父の元へと行き、父の腕に自分の手を乗せる。
引かれるまま、一歩…また一歩と赤い道を歩いて行く。会場内は大きさの割に人数はいなくてレオの家族と、両親が座るであろう席の他に『Knights』のみんなとあんずちゃんと斑が座っていて、私の音楽科の親友が二人だけ座っていた。本当に限られた人だけが私の歩みを拍手で迎えてくれた。
『お父さん、もう泣かないでよ…』
紡父「だって…紡ちゃんが綺麗なんだ…本当に…嬉しくて」
『……もう、恥ずかしいなぁ……
でも、ありがとう。大好きだよ、『パパ』』
そう呟くと、目の前には彼が手を差し伸べて待っていた。父は組んでいた腕を少しキュッとしてからゆっくりと離し、私の手を彼の方へと戻した。
月永「おいで、紡」
『うん…』
私は伸ばされた手に自分の手を乗せて低い階段を彼と一緒に登って行く。登り切ってから、彼と腕を組む。牧師の前に立てば、牧師を微笑んで手元の本を開く…。
牧師「月永レオさん
あなたは今紡さんを妻とし、神の導きによって夫婦になろうとしています
汝、健やかなるときも病めるときも喜びのときも悲しみのときも富めるときも貧しいときも。これを愛し敬い慰め遣え、共に助け合いその命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
月永「はい、誓います」
牧師「月永紡さん
あなたは今レオさんを夫とし、神の導きによって夫婦になろうとしています
汝、健やかなるときも病めるときも喜びのときも悲しみのときも富めるときも貧しいときも。これを愛し敬い慰め遣え、共に助け合いその命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
『はい、誓います』
牧師「それでは、指輪の交換です」
牧師の指示で二人は向かい合い、さっきぶりに視線を合わせる。レオはその目をギリギリまで潤ませていたのでリングが来る前にそれを拭ってあげる。
『まだ、泣く場面じゃないでしょ』
月永「だって…義父さんの泣き顔見てたら…」
『もらい泣きしないでよ…もう…あははっ、可愛いなぁ』
月永「可愛いって言うなよ…」
レオは少し膨れて扉の方へと視線を戻した。私もそれに倣って扉へと視線を移す。
幸せを諦めない
『多くを望んじゃいけない、そう思ってたのは私だけだった』
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