祝福!騎士達の微笑み
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車に揺られて数時間は経っただろうか、最初は司やナルちゃんとの世間話に花を咲かせていたはずなのに、時差ボケのせいか気づけば睡眠を貪り車内が広いことをいいことにしっかり上半身を横にしていた。
そして気づけば……
『森…?』
鳴上「じゃあ司ちゃんは打ち合わせ通りね♪」
朱桜「はい!お姉様また後で!」
『え?…うん…?』
私はナルちゃんに手を引かれ、司はまた車に乗り込み走り去ってしまった。
『ナルちゃん…?私、森のどこへ…まさか埋められる…』
鳴上「そんなわけないでしょォ♪司ちゃんへの誕生日プレゼントよ♪さぁ行くわよ!」
ナルちゃんは森の奥地へと足を進めていった、空港からすごく離れているという印象は受けなかったが、でも都会の喧騒はあまり感じないし山の奥というわけでもなさそうだ…。
ナルちゃんが嫌がらないあたり虫の多いような地域でもないらしい。上り坂とは言い難い程よい傾斜が私とナルちゃんの足を前へ前へと進めて行く。
鳴上「あら!見えてきたわねェ、さぁっ紡ちゃんはここから目隠しよ。」
『えっ⁉︎まだ何も見えてないよ!ナルちゃんっ!』
鳴上「プレゼント…あげるんでしょ?」
『司もいないのに…プレゼントって…もう!従う!従いま〜す!』
私は大人しくナルちゃんの目隠しを受け入れて案内されるままに手を引かれる。音的に講堂か洋館か…大きな建物の廊下のような音がする…。フィレンツェにいた時によくいったオペラ劇場の廊下と同じような音の響きだ。
『ナルちゃん、答えられる範囲でいいんだけど…ここはどこ?』
鳴上「ん〜そうねェ。乙女の憧れかしら…?」
『憧れ…?ええ?』
鳴上「うふふ♪大人しくされるがままになってなさい♪悪いようにはしないからっ♪」
『ナルちゃんが言うなら…いいけどさぁ…』
それ以上は何も言わずに大人しくされるがままに手を引かれ、どこかの部屋へと連れて行かれる。ゆっくりと椅子に座ればナルちゃんが目隠しを取った。
『…えっ…何これ…』
鳴上「もうっ!ドレスに決まってるでしょぉ⁉︎どう⁉︎素敵でしょォ」
『素敵だけど…誰が着るの』
鳴上「…はい?」
私の疑問にナルちゃんが少し濁った声で聞き返す。私の目の前に置かれた純白のAラインドレスは肩甲骨がバックリ空いていて、腰から下にまるで白のオーロラを作るように広がって後ろには純白の道を築いていた。
ウェディングドレスだ、どこをどう見ても…それに周りも木造ではあるが洋風の装飾が施され、様々なドレスや全身鏡にメイク台…これはまるで…
『控え室…?』
鳴上「ご名答♡じゃあ、あとはスタッフさんの言うことを絶対聞くのよォ♪アタシも準備してくるから」
『えっ…あの!』
ナルちゃんはそう言うと、控え室を退出し代わりにスタッフさんが「待ってました」と言わんばかりに入ってきて呆然と立ち尽くす私を取り囲み、それはアイドルの早替えのごとく着ていたものを脱がされ先ほどまでマネキンが着ていたウェディングドレスを着せられる。
どうせなら、ちゃんとマッサージにスキンケア…美容室にいって…色々したかったのに、着る予定もなかったから何もしていない…。
『あの…変じゃないですか…』
スタッフ1「いえ、お似合いですよ」
スタッフ2「これからもっと完璧にしますので!任せてください」
『ああぁ……』
スタッフさんなんて聞いてもどうせよいしょしかしない。こっちがいくら不安でも持ち上げることしかしなければ貶すことは絶対ない。私はされるがままに、ヘアメイクに小物を装着…気づけば完成の状態になっていてスタッフさんは満足げに退散していった。
私はひとり全身鏡で自分の身なりを見つめる。前を向いても横を向いても後ろを向いても、純白のドレスを纏った自分の姿に相違ない。
『でも、なんでこれが司のプレゼント…?』
私の思考を止めるように扉がコンコンとノックされる。相手は何も答えないので「どうぞ」と声をかけるとギィッと扉が開くそこにいたのは
『ぁ…』
月永「すごい…綺麗…」
自分と同じ純白のタキシードに綺麗な薄オレンジの花を胸元に咲かせている月永レオの姿があった。レオは扉からゆっくりこちらに歩いてきて私の真正面で止まる。レオの後ろには泉、凛月…ナルちゃんと…続いて入ってくる。
『えっと…もっと早くいってくれればもっとちゃんと綺麗にしてきたのに…』
月永「ううん、綺麗だよ。本当に……世界で一番…」
『いや……ぅ…あの…』
月永「本当に世界で一番綺麗だ。紡」
『……レオも…かっこいいよ』
レオはいつもとは違い、少し編み込まれいつもの位置でいつもの乱雑に…ではなく、綺麗に結われていた。でもその凛々しい格好とは裏腹に彼の顔を涙で台無しになっていた。
『かっこいい…けど、情けない顔…しっかりしてよ』
月永「だってぇ…セナ!見て!俺の嫁!」
瀬名「えぇっ⁉︎急に俺にふらないでよぉ!」
月永「だから言っただろ!絶対似合うって!」
『っきゃぁ!ちょっと持ち上げないでよ!重いよぉ!』
鳴上「あらあら、ハシャいじゃって…♪」
月永「あはは☆大好きだっ!」
レオは私を持ち上げてまるで子供をあやすように振り回す。怖くてレオにギュッと抱きつけばレオは「あはは☆」と楽しそうに笑った。ゆっくりと降ろされてぐらつく体を支えられる。『Knights』のみんながぞろぞろと私の周りにやってくる。
月永「何度でも言うけど…本当に綺麗だよ。紡」
『…っ…レオも…かっこいいよ、えっと…世界一』
月永「一緒に幸せになろう…」
『…はい』
そう言って口づけをしようとするレオの顔が急に後ろへギュンと下がった。驚いていると、レオ越しに先ほどまで姿が見えなかった司が立っていた。
朱桜「あの…人前で”Kiss”をされるのはまだ早いのですが」
『つ…司!これはどういうことなの⁉︎』
朱桜「どういうこと…?見てわかりませんか?お二人の結婚式です」
『それは見ればわかるけど…どうしてこれが司の誕生日祝いに…』
朱桜「いい加減、レオさんに「嫁の花嫁姿が見たい!」と喚かれるのは迷惑なのですよ」
『え…それはご迷惑を』
朱桜「それに、お二人の結婚を隠すのも面倒になってきました。」
『面倒って…』
朱桜「私たち『Knights』は”member”の結婚で人気を揺るがすようなヤワな”Unit”ではないのですよ、お姉様」
『何を…言って…』
朱桜「レオさんの二十歳の誕生日プレゼントは『お姉様との結婚発表』という契約を締結いたしました」
『…いつ?』
朱桜「私の誕生日です」
『なんで言ってくれなかったの…』
朱桜「”producer”には相談致しました。」
『それあんずちゃん…!』
この後輩は、見ない間に大人になったというか無駄に頭が回るようになってしまったようで、私の方をドヤ顔で見てくる。もう、否定する気も私には出てこない。ならば、私にできるのは……今を楽しむことだけだ。
『はぁ…プロデューサーに戻ったらこんな勝手は許さないんだから…』
瀬名「まぁ…いいじゃん…今日くらい、ただの『紡』として楽しみなよぉ」
後輩へのプレゼント
『他人事なんだから…』
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