再構築*涙と誓いの戴冠式
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凛月は客席に座った私を見てクスクスと笑う。「なに?」と少しいじけた声で言えば「ごめんごめん」と謝る。少し深呼吸して私の方に視線を向ける。
凛月「不思議だなぁって、いつも袖に目を向ければ目があった紡の顔が目の前の…それも客席にあるのって」
『そりゃ、いつも何かと文句をつけて君たちが私を舞台袖に入れるから…』
凛月「そう…でもそれが俺たちにいっぱい力と勇気を与えてくれたんだよ。ありがとう…。いつも俺たち『Knights』を…そして俺自身を、支えてくれてありがとうね。紡」
『改めて言われると…なんかむず痒いというか…』
凛月は、「この間の仕返しだから」とまたクスクス笑い始める。この『友達』いつも笑って変なことばっかり口にする。それが、気を許してくれる証拠なのか。それとも、からかいたいだけなのか…。でも、多くを語らなくても伝わってくるのが凛月っていう人間だから…。きっと、凛月も同じこと考えてくれてるんだよね?
『…私こそありがとう、凛月。これからも『友達』でいてね?』
凛月「うん♪こちらこそ、ずっと『友達』だよ。」
瀬名「はいはい、もう交代の時間だよぉ〜くまくん、時間取らないで」
凛月「え〜せっちゃんが紡と話したいだけでしょ?俺わりと手短だけどぉ?」
瀬名「はいはい、今回はそういうことにしといてあげるからさっさと行って〜」
凛月「ふふっ、素直なセッちゃん珍しい♪」
何故か、私は泉と凛月の漫才のようなやり取りを見せられている。流石に見兼ねたのか袖にはけたはずのナルちゃんが凛月を持ち上げて連れ去って行った。その様子を呆然と見ていると、泉が「ちょっとぉ」と声をかける
瀬名「俺の番なんだから、ちゃんと俺のこと見なよぉ」
『えぇ…こんな異様な光景見せられたら、そっちに目がいくでしょ…。』
瀬名「へぇ〜じゃあ俺の言葉はこのへんで」
『えぇ⁉︎うそうそ!泉のことしか見てない!見えない!話そう!』
瀬名「最初からそう言っとけばいいのにさぁ?」
『…あ…あははは』
最近は大人しくなってあまり見えていなかった泉の面倒な部分を見た気がすると苦笑いをこぼす。泉は他のみんなとは違い、誰もいなくなったステージの真ん中に立ち、王子様のように跪きマイクを通して話し出す。
瀬名「ようこそ、『Knights』のライブへ。お姫様?この後の曲も、俺のお姫様なら俺から目を離さないでねぇ〜!」
『おぉ…これがファンサービス…』
瀬名「紡!今まで支えてくれて本当にありがとう。俺はあんたのこともれおくんのことも勝手にわかったつもりでいたのかも、だから前にも言った通り本当の意味でわかりあっていきたい。俺は知っての通り、正直とか素直とかとは程遠いけど。それでも、俺もあんたに負けないくらい変わっていきたいし成長したい。だから、あんたは『戦友』であり『ライバル』だから。今日はお姫様扱いしてあげるけど、明日からそのつもりで…って聞いてるのぉ?」
『いやぁ…ステージ上から見るとこんな感じなんだねぇ…』
瀬名「アイドルに話しかけるなっての。まぁいいよ。だから、これからも末永くよろしくねぇ、『プロデューサー』」
『うん…お休みをもらってさらにパワーアップして帰ってくるよ!その時までに最高の『アイドル』になる準備しててよね!』
瀬名「そんな準備いつでもできてるに決まってるでしょ?だから、これからも俺たち『Knights』から目を離さないでよねぇ!」
泉はステージの上で歌うように高らかに宣言する。その自信に溢れたその表情が、これから日本だけじゃなくてフィレンツェで…世界へ…羽ばたいていくモデル……そしてアイドルの瀬名泉なんだなって思っていると『Knights』のみんながステージに集まって曲前のフォーメーションに入る。
すると、センターに立ったレオがこちらを真っ直ぐ見つめる。
月永「これから歌うのも新曲だ!紡からもらったこの数日で完璧にするのは大変だったんだぞ…?だから、ちゃんと聞いてくれ」
レオの真剣な声に私は声が出なくてコクリと頷く。それを確認したレオが、立ち位置を直しみんなと呼吸を合わせる。
Knights「貴方に逢えた奇跡がくれた〜♪〜♪」
みんなの声に合わせてかかった曲はレオの言う通り聞いたことがない新曲で、きっと彼の言葉から察するにここ数日で急ピッチで仕上げたものなんだと感じた。しかし、それにしてもクオリティはとても高い。息のあったダンスに歌声、たった一人の観客に対するファンサービスも怠らないのが『Knights』らしい。
5人で練習する時間を設けるために、決まっていた飛行機の時間をズラしてまで時間を作るなんて、それも私のためだけのこのライブのために…。
歌の歌詞は愛に溢れていて、まるで『好き』って全身で伝えられているようでレオが最後に『愛を込めて』と歌った時には私の視界はもう涙の海に沈んでまともにみんなのパフォーマンスを見ることもできなかった。
『なんなのぉ…こんなの無料で見ていいものじゃないよぉ…』
グズグズと鼻をすすりながら涙を拭う。曲が終われば、みんなが呼吸を整えて並ぶ。するとレオが前に出て私に微笑む。
月永「紡ごめんな、泣かせるつもりはなくて…。
おれたちなりのサプライズがしたかったんだ!感謝と敬愛と……とにかく伝えたくて!さっきお前も言ってたけど正面から見たことなかったと思って、見せたかった。ちゃんと『Knights』の姿を!
これがはじまりだ!お前が最高の『アイドル』にする『Knights』の姿だ。しっかり目に焼き付けておけ!そして、留学から帰ったらおれたちを最高の『アイドル』にしてくれ…ううん、最高の『アイドル』になろう!紡!」
『うん……うん…』
私はレオの言葉に頷く。そうだ、これが私の初めて見るアイドルの『Knights』で、この人たちを私が最高の『アイドル』にするんじゃない。一緒に最高の『アイドル』になるんだ。そのために、私たちはまたそれぞれの道を歩んで強くなる。そしてまた揃ったら、もうきっと負けなしだよね…
『みんながくれた『奇跡』を、私も信じていくから…一緒に最高の『アイドル』になろう』
奇跡がくれた
『貴方が…ううん、貴方たちが私の『奇跡』そのもの』
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