再構築*涙と誓いの戴冠式
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『戴冠式』は大盛況のうちに幕を閉じた。
物珍しさからか、海外のお客さんも多く。それに負けないほど日本人のお客さんも入っていて本当に日本のアイドルのライブにしては満遍ない客の入りだったと思う。
関係者も入っていたし、これで少しでもアイドルの瀬名泉の存在をこっちの業界人に見せつけることができたなら、作戦通りってところだろう。
そんなことを考えながらみんながステージから帰ってくるのを楽屋前で待っていると、スタッフがこちらにやってきてバラシの相談をされるので受け答えをする。すると、ステージにいたスタッフが急ぎ足で駆け寄ってくる。
「夜永さん!大変です!月永さんが、「ボイコットだ!客席にプロデューサーを呼ぶまでおれはここを動かない」って、『Knights』の皆さんが今揉めてて…、くわえて会場のスタッフがカンカンで…!」
『…えっ、そんな…』
冷や汗がブワッと身体を襲う。ここは、学校の現場と違って本物のプロしかいないプロの現場だ。メンバーの中で一番音楽のプロたちと関わりのあるレオがそんなワガママを言うなんて…と混乱していると、スタッフさんが私の腕を引いて「早く!」と客席に引っ張る。何も理解できないままされるがままに客席へと向かう。
客席に到着すればあたりは真っ暗で、私を連れてきたスタッフさんはすぐにどこかへ走って行ってしまった。遅れて入ったお客さんを案内するために持っていたライトを使って足元を照らす。そして、みんながいるであろうステージに向かって一段…また一段と階段を降りていく。しかし、ステージも真っ暗でレオの荒れた声はおろか、それを止めているであろう泉や司の声も聞こえない。もしかして、向かっている間に機嫌が変わって楽屋に戻ったのだろうか。と思いつつもステージの最前列に到着しステージを見れば、見慣れた影が並んでいる。
『レオ…?』
Knights「♪〜♪〜」
『え…なに…』
私が最前列に到着した瞬間ステージの明かりが一斉に点灯し、『Knights』のみんなが歌い出す。それも、私の知らない曲…。私の知らないダンス。私の知らない…レオの顔。
いつも袖からしか見たことなかった『Knights』というアイドルのステージ、アイドルの顔をするみんな…。
私は、ゆっくりと腰を座席に下ろす。まるで、ひとりの観客になった気分だった。みんなが、笑うたびにドキドキして目があうと「あっ…今私を見た」なんて思ったり…。静かに歌うと自分も聞かないと、という心理が湧いてくる。まるで、アイドルと一緒にパフォーマンスでもしてるのかと思うほどアイドルたちと心が一つになる感覚だった。
そんな感覚に浸りながら見ていると、曲が終わり。みんなが静かに客席に向かって一礼する。
私は、何も理解できていないままただみんなに拍手を送った。すると、司がみんなより少し前に出て話し出す。
朱桜「お姉様、ようこそ『Knights』のライブへ。
実は、ある方の提案でこのような場を設けさせていただきました。会場のスタッフの方にはこちらから話はつけてありますのでご安心ください。お姉様と同じように私たちもお姉様にお伝えしたいことがいっぱいありました。だから、アイドルらしく歌と踊りと…そして言葉でこの思いを伝えさせてください。
まずは、改めてですがご卒業おめでとうございます。そして、”Queen”という大役、ご苦労様でした。私としては、このまま私の”Queen”になっていただきたいのですが、それはレオさんが許してくれそうもないので諦めます…。ですが、新しい『王さま』を賜わったからには『Knights』を最高の『idol』にしてみせます。
お姉様に次会った時には立派な騎士…いえ『王さま』だと思っていただけるよう、私も努力いたします。
…お姉様、私と出会ってくださってありがとうございます。そして、『Knights』の一員として私を認めてくださってありがとうございます。お姉様と出会えて司は幸せ者です。愛しております、お姉様!
この感謝と愛は、全て今後の『Knights』と私自身の成長で見せつけます!だから今後も私のことを見守ってください!」
いつもこの子は真っ直ぐな目で私を見る。レオの大切で意味不明な部分を司は考えて辿り着く。私にも泉にもできなかったことをやり遂げた彼が私には眩しかった。それなのに、私をこんなに慕ってくれる…。だから私も君には負けられないって思っちゃう…。君にずっと慕ってもらえるようないいお姉様であれるようにその期待に応えられるように
『もう…スタッフさんがカンカンだっていうから結構焦ったのに…。なんのサプライズ…?』
朱桜「結末を早々に聞いては面白くありません。お姉様も得意な妄想で補ってください。
せっかく客席にいらっしゃるわけですし、”Fan”の皆様同様お姫様気分で聞いてくださいっ♪」
『えぇ…なにこれぇ…』
司の声に大人しく従うことしかできず、席に座ったまま視線をステージに向ければ話していた司が下がってナルちゃんがかわりに前に出る。
ナルちゃんは綺麗な衣装を着たままステージの端に腰かけて、私に「こっちにおいで」と声をかける。私も従うように席を立ち、ナルちゃんの目の前に立つ。
『綺麗な衣装が汚れちゃうよ?』
鳴上「あらヤダ、このステージの清掃は行き届いてないのォ?うちのプロデューサーはその辺手を抜かないんじゃない?」
『…うっ、確かに清掃も完璧にしてもらったし滑らないように加工もしてもらったけど…けどやっぱりその…地面に座るっていうのは…』
鳴上「いいのよォ…だってこの方がアタシたちの視線が近くなるでしょぉ?」
『…ふふ、そうだね。じゃあ次はナルちゃんが私に愛の言葉をくれるのかな?』
鳴上「んふふ、アタシはそんな安い挑発には乗らないわァ〜?アタシからいうことはそんなにないのよォ…」
『なにそれひどいなぁ…』
鳴上「だって、好きも大好きも紡ちゃんには目一杯伝えたつもりよォ?それに、『返礼祭』のあとに伝えてくれたことのすべてあなたに返しちゃいたいくらいなのよォ…?
本当は大好きもありがとうもこれからもよろしくも全部全部伝えたいけど、それよりもパフォーマンスやこれからの時間で返していくことにするわ。『これから』があるっていうこと事実だけで幸せでしょ?」
『うん、そうだね!これからも綺麗なナルちゃんが見れるってだけで幸せ♪』
鳴上「ウフフ、ありがとォ♪ただね、本当に求めてるものにすぐ嘘ついちゃう親友にアドバイスをあげるとしたら、今日は女王様最後の日なんだし『自分に正直になりなさい』ただそれだけよォ」
『…?うん?わかった…』
そういうと、ナルちゃんは立ち上がってみんなの元へ戻っていく。ステージに目を戻すと、先ほどまでいたはずのレオが居なくて、キョロキョロしていると何故かナルちゃんと司もはけていく。
そして、私の前に立ったのはーー
凛月「俺も手短に話すよぉ〜」
私の『友達』、朔間凛月だった。
本当に求めていた
『私の本当に求めているもの…?』
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