再構築*涙と誓いの戴冠式
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ーー時は戻って『戴冠式』に向かう車内
私は、運転に集中したいのに後部座席に乗ったこの男は、昼間にも関わらず饒舌にしゃべっている。
凛月「それで?なんでセッちゃんと紡がお隣同士なの?さっきは時間もあったし流したけど、俺の耳は誤魔化されないよ?」
瀬名「だからぁ、紡のご両親が心配して家賃援助するから生存確認してほしいって話があったのぉ〜。別に補助されなくてもそのくらいしますよって言ってもふたりとも話聞いてくれないからお言葉に甘えていい部屋に住まわせてもらってるってだけ。」
『そうそう、それで確認ついでにご飯を一緒に食べてるだけだよ』
凛月「それさぁ、よく月ぴ〜が怒らなかったねぇ?」
『怒ったよ?しかも、家族会議にまで参加して珍しくお父さんと言い合いしてた。ふたりとも感情的になることないのに不思議だよねぇ』
凛月「紡が理解してないのが今驚きだった。」
瀬名「そのあとに、俺まで呼ばれて家族会議させられるし一筋縄とはいかなかったけどねぇ〜、でも結局「自分が世界飛び回るのが悪い」っていう紡の一言で泣きながら了承したよ。…れおくんが…」
凛月「…月ぴ〜が」
『結局、泉のご両親とウチの両親の間でもう固まってたのをレオがぶち壊して荒らしただけで結果はなにも変わらなかったって話。』
凛月「…へぇ〜…月ぴ〜可哀想」
そう言われてもしょうがない。レオは世界を飛び回る作曲家で、私は舞台の勉強のために留学中の身、泉はフィレンツェを拠点にモデルをする。そうなれば、泉に白羽の矢が立つのは当然の話なんだから、それにフィレンツェで仕事があれば私の家にいるわけだし。なんの問題があるのか、よくわからない。
凛月「許してくれた分、月ぴ〜のこと目一杯甘やかしてあげなよ?じゃないと、可哀想すぎて楽屋での接し方わからなくなっちゃう」
『……甘やかしてると思うけど…』
瀬名「そうそう、それに意気地なしなアイツが悪いんだよ。かっこつけるような真似してウジウジしてるから「お前が悪い」なんて紡に言わせるんだよ」
『え…やっぱり言い方悪かったかなぁ…』
凛月「ふふっ、大丈夫だよ。月ぴ〜だって、ちゃんと考えてるよ。」
『考えてるってなにを…?』
疑問をそのまま聞けば凛月は「すぐわかるって」と濁す。泉の方を見れば「さぁね」と肩をすくめてから目を閉じる。なんだか、濁すのが上手かったり隠すのがうまい二人を乗せてしまったな、と後悔する。ここで、隣にいるのが司なら「えっと…」って言いながらポロリと本当のことを口にしてしまうのに…
『大人組乗せるとこれだから面白くないよねぇ〜』
瀬名「はぁ?俺が隣に乗ってるだけで幸福って気づきなよ」
凛月「そうそう、俺が後部座席で寝てることを幸せに感じなよ」
『あぁ〜、ナルちゃんが助手席が良かった!司くんが後部座席が良かったぁ〜!』
そんなことを大きな声でこぼせば、ふたりは「はいはい」と聞き流し寝る体制にはいった。もうすぐつくって言ったのに…もう下りるときに起こしてやらないからなと、呆れながらハンドルを握った。
これから『戴冠式』だっていうのに良くも悪くも緊張感のないふたりだなぁ…レオの車はどんな会話してるのだろうか、私もあっちに乗りたかった…
*鳴上said
レオくんの車は、思っていた以上に乗り心地も良く運転もスムーズで安心感があった。
レオくんが運転席で、アタシが助手席、後部座席には司ちゃんがお利口さんにして座っている。本当なら泉ちゃんがここにいるはずなのに、「そんなうるさそうな車乗るわけないでしょぉ〜」と紡ちゃんの車の助手席を陣取っていた。それに続いて凛月ちゃんも「そっちは寝れなさそうだし、俺はこっち〜」と泉ちゃんに続いて車に乗り込んだ。仕方なく司ちゃんとアタシでレオくんの車に乗り込んだけど…
言語の違うラジオが流れて誰も会話することなく車はスムーズに紡ちゃんの車の後を追う。
鳴上「ねぇ…レオくん、今は紡ちゃんの家に居候してるの?」
月永「…ん?あぁ、そう。家借りようと思ってたんだけど、紡が「私の部屋でよければきていいよ」っていうからお言葉に甘えて…」
鳴上「同棲してるってことォ⁉︎」
月永「うぉっ⁉︎ナル、危ないだろ〜。運転中だぞ…。
まぁ、同棲っていうのかな…。もともと家族同然に過ごしてたし、同棲って感じはあんましない…。」
鳴上「でも、一緒に寝てるってことでしょォ!」
月永「まぁ…?でも、ご飯とかセナも一緒だし、ベッドも一緒に寝るって言ってもどっちかが先に寝てるところにもう一人が入り込むって感じだし。あいつのベッドでかいし…。小さい頃の距離感に似てるからなぁ…」
鳴上「カップルらしいことは⁉︎一緒の空間にいたらするでしょォ⁉︎」
月永「もういいだろ!ほら着くぞ!」
鳴上「照れちゃってェ、ウフフ♪レオくんも可愛いところがあるのねェ」
すると、今まで黙って聞いていた。司ちゃんが前に顔を出してレオくんの顔を睨みつける。
朱桜「レオさん!うらやまs…いえ、破廉恥です!まだ、お姉様は結婚されていない未婚の女性!そのような方と…ど、同棲なんて!破廉恥です!いくらレオさんが…お姉様の彼氏と言えどです!」
鳴上「あらあら、紡ちゃんが留学中で会えないからって嫉妬してるのねェ…勝ち目のない勝負でも一生懸命、相手に食らいつこうとする司ちゃん…、か〜わいっ♪」
朱桜「からかわないでください、鳴上先輩!というか、聞いてるんですかっ、レオさん!」
月永「お〜い!紡〜!楽屋まで案内してくれ〜」
朱桜「くぁああっ!なぜ無視されるのですか!司は今大事な話を…!」
レオくんは、会場に到着して、すぐに運転席から離れ先に止まっていた。紡ちゃんの車に向かっていた。無視されたことを嘆く、司ちゃんの頭を撫でて慰める。
鳴上「諦めなさい、司ちゃん。レオくんは紡ちゃんのことしか考えていないみたいよォ。もうふたりの間に入れる男なんていないのよォ…。」
朱桜「そんなことはわかっています…。ただ、私はお姉様が心配なのです…。いえ、それは建前で本当は寂しいのかもしれません。大好きなお姉様が誰かのものになってしまうのが…」
鳴上「あらあら…」
本当は理解してたのね…。ふたりの間を邪魔できないことも、レオくんがこれからしようとしてることにも賛同してたものね…本当はわかってるのよ。けど、誰かのものになる寂しさを隠しきれなかったのね…。
鳴上「で〜も、司ちゃんにはアタシっていうお姉ちゃんがいるわぁ〜!喜びなさい!」
朱桜「鳴上先輩はお兄ちゃんではないのでしょうか…?…あっ!お姉様が呼んでいます!行きましょう!鳴上先輩!」
そういって、紡ちゃんが手を振る方へと車を降りて一目散に走っていく。アタシもそれに続いて、車を降りる…。ほんと、今日はいいお天気ねェ…『戴冠式』日和だわァ。
希望の城で待っていて
『ここが今回の私たちの『城(ステージ)』です!』
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